ベースライン時の肝硬変は TDF治療の転帰に影響しない

ベースライン時の肝硬変は
TDF治療の転帰に影響しない
By Shreeya Nanda, Senior medwireNews Reporter
2015; Advance online publication
medwireNews:慢性B型肝炎ウイルス
(HBV)感染
5年後にALT値の正常化が達成された患者は、
患者に対し、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩
肝硬 変群が79.7%、非肝硬変群が81.9%で、両群同
(TDF)
による治療を実施したところ、
ウイルス学的、
程度であった。
血清学的および組織学的転帰は、肝硬変の有無に
さらに、5年後の肝生検サンプルが得られた患者
かかわらず同程度であることが本研究によって示唆
(肝硬変群96例、非肝硬変群252例)で、ベースライン
された。
時と5年後の所見を比較した結果、両群で組織学的
研究チームは、
アデホビルジピボキシル(215例)
効 果が認められ、Knodell壊死炎症スコアの1単位
またはTDF(426例)を1年間投与し、その後最長
以 上 の 改 善は、肝 硬 変 群 の 9 3 . 8%、非 肝 硬 変 群 の
9年間TDFを非盲検下で投与した2件のランダム化
90.5%でみられた。
比較試験のデータ(計641例)を用いた。このうち
また、肝細胞癌(HCC)の発症率に関して、肝硬変群
ベースライン時の肝生検サンプルが得られた634
(4.0%)
と非肝硬変群(1.2%)の間で有意差が認めら
例を対象に、解析を実施した。
れた
(p=0.044 、Wilcoxonの順位和検定)。
治療5年後のウイルス学的効果
(血漿中HBV DNA
Maria Buti氏
(バルデブロン大学病院、バルセロナ、
量<69 IU/mL)の達成率は、ベースライン時に肝
スペイン)
らは、
ウイルス学的効果の達成率が肝硬変の
硬変を有していた患者
(肝硬変群;152例)
で99.2%、
有無にかかわらず同程度であったことから、
「研究期間中
非肝硬変患者
(非肝硬変群;482例)
で98.0%であり、
のHCCの発症には、治療後のウイルス量よりもベース
有意差は認められなかった(p=0.686、Wilcoxon
ライン時の肝硬変の存在が大きく寄与している可能性
の順位和検定)。
がある」
と主張している。
ベースライン時に血清HBe抗原陽性であった
「したがって、HBV DNAの増殖が抑制されていたと
患者のうち、5年後のHBe抗原消失率は肝硬変群で
しても、
HCCの定期的な検査を行うべきである」
と、
同氏
61.9%、非肝硬変群で45.4%であった。また、HBe
らは
抗原陽性患者における血清HBs抗原の消失率はそれ
ぞれ14.4%および8.3%で、有意な差は認められな
かった(Kaplan-Meier法により算出;p=0.188、
ログランク検定)。
誌で推奨している。
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http://link.springer.com/article/10.1007/s12072-015-9614-4
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