藤谷拓馬 靴下の履き口にはヒモを縫い付けます。ヒモ の長さは、首から下げたときに胸元よりも下に るというものです。 首から下げた靴下でタネを抱く、芽出しはバッチリ 牧之原市の本杉照代さんから、トマト、ナス のタネを発芽させるワザを教えてもらいまし から た。それは、履かなくなった靴下を首から下げ なるくらい。タネは、湿らせた ティッシュペーパーで包み、ジ ップロックの袋に密封してから この靴下の中に入れ、首からぶ ら下げます。 服の下でいつも素肌にふれた 状態の靴下は発芽にちょうどい い温度。一週間でナスやトマト の芽が出るそうです。 ﹁抱いていると子供のような気 がしてきて、かわいく思えるの よ﹂と話す本杉さんでした。 ( 35 ) 現代農業 2015.5 静岡 福島 佐藤嗣高 ﹁農業技術は小さいアイデアの連続だ﹂と 言うのは、須賀川市の青木正美さん。熱心 に直売野菜をつくっています。そんな青木 さんも六七歳。膝が痛み、腰が痛み、ジャ ガイモの植え付けも一苦労。なんとかラク にできないかと考えたのが、塩ビパイプ植 えです。 用意するのは、口径五〇㎜、長さ九〇㎝ の塩ビパイプと四〇㎝ほどの細い棒。パイ プの下部に、株間の目安をつけるための棒 を縛り付けます。パイプの端から棒の先ま では三〇㎝です。 植え付け用の溝にパイプを立て、上の口 から種イモを落としたら、足で土をかける。 定規代わりの棒を使いながらこれを繰り 返すことで、腰の痛みから解放されました。 現代農業 2015.5 ( 36 ) 腰がラクラク、ジャガイモの立ったまま定植 から サツマイモは、竹をかぶせるだけ定植で収量アップ 内田茉里 くだけでは苗づるに日光が当たり活着が悪いた 0 0 くだけの定植をしていました。しかし、石を置 浜田市三隅町の峠田等さんは、地域の野菜つ くりの先生。峠田さんが勧めるサツマイモの栽 め、全体が陰になる竹をかぶせるのがいいと峠 たお だ 培法は、定植時に苗づるを土に挿さず横にして 田さんは考えたそうです。 0 が 多 く、 土 が 少 な い の で 高 い ウ ネ は 作 れ ま せ 竹を使った峠田さんの栽培法にはこんな由来 があります。三隅町は海沿いの地域。畑には石 ほどつくそうです。 のやり方では、長いイモがまんべんなく一〇個 三、四個の丸いイモしかつかなかったのが、こ な い ん だ ﹂ と 峠 田 さ ん。 植 え る と 一 つ の 苗 に ﹁サツマイモは植えるからイモがたくさんでき もよいそうです。 ころから発根し、竹で日陰ができるから、活着 て、軽く押し付けるというもの。土に接したと 置き、節を抜いて六つに割った孟宗竹をかぶせ から ん。そこで昔は、苗づるの上に石を三つほど置 ( 37 ) 現代農業 2015.5 島根 成長痛に効く、あったかスギナ汁 汁を染みこませたタオルを巻くたびに、ピタリ れたのがこの方法。その後は、あったかスギナ く困っていたところ、姑の歌子さんが教えてく た。病院で処方された湿布を貼っても効果がな 今 か ら 三 〇 年 前、 当 時 小 学 生 だ っ た 娘 さ ん は、成長痛による膝の痛みで毎晩泣いていまし かく娘の成長痛が和らいだのよ﹂と幹子さん。 ﹁ 温 か い か ら な の か、 ス ギ ナ が 効 く の か、 と に ルにしみこませ、軽く絞って患部に巻きます。 三日ほど軒下で乾燥させたスギナを鍋で煮出 し、真っ黒なスギナ汁をとります。これをタオ ました。 紀ノ川市でブドウとモモをつくる榎本幹子さ んから、成長痛に効くスギナ汁の活用法を聞き から と泣きやんだそうです。 酒井 潮 現代農業 2015.5 ( 38 ) 和歌山 大分 勝見浩子 さが ら 日田市でトマトづくりに励む相 良 千代美さん。わき芽かきや誘引をし ていると手に黒いアクが付きます。 これが石けんで洗ってもなかなか落 ちないんです。 ある日の作業後、ハウスの脇に生 えていたヨモギで手をこすってみる と、ガンコなアクがカンタンに落ち たのだとか。それ以来、一日の仕事 の終わりにはヨモギで手を洗うのが 日課になりました。 ﹁ヨモギのアクがトマトのアクに効 くのかしら﹂と千代美さん。ヨモギ は汁が出るくらい揉むのがポイント だそうです。 ( 39 ) 現代農業 2015.5 トマトのアクは、ヨモギでキレイに落ちる から
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