保存適温の高いサツマイモなどを除けば,秋冬野菜の多くは低温ながら凍る心配がなく温 度変化の少ない冷蔵庫での保存に適しています。水分が失われないように,ポリエチレン製 のポリ袋やラップなどに包むのがコツ。ただし密閉せず適度に通気性を保つようにします。 とはいえ,菜園で育ったたくさんの野菜すべてを冷蔵庫に入れるわけにはいきません。そ こで野菜のもつ耐寒性を知り,さまざまな方法で冬越しさせます。 畑に置いて越冬 冬の畑では,真っ白に霜をかぶった野菜の葉を見かけます。寒さに強い冬野菜には,霜に あたっても日が高く昇って解けさえすればだいじょうぶなものが多くあるのです。 収穫せず,そのまま畑に置く方法は,保存というより越冬と呼んだほうがいいかもしれま せん。根を切らずに置ければ,乾燥してしおれることもなく,新鮮なまま長期間保てます。 ただし野菜のもつ耐寒性を超えた寒さにあたると,傷んで保存ができません。 たとえば葉もの類には,シュンギクのように霜にあたると傷むもの,コマツナやカブなど 強い霜にあたると傷むもの,タアサイやミズナのように比較的寒さに強いものとがあります。 耐寒性に合わせて収穫時期を決め,べた掛け資材を使うなどの工夫をします。 根菜類ではゴボウがもっとも寒さに強く,寒冷地を除けば,そのまま春先まで畑に置けま す。ニンジンは土寄せして肩を埋めて越冬,ダイコンはたっぷり土寄せして冬越しできます が,霜の強い地域では抜き取ったうえ,土中に寝かせて埋め直します。 同じ野菜でも,品種によって耐寒性は異なります。耐寒性の高い品種を選んで種をまくの もコツ。また,耐寒性とともにとう立ちの遅い品種を選べば,春先まで長く収穫できます。 保存温度が決め手 サトイモやサツマイモ,ショウガなどは保存適温が比較的高いため,畑に置いて越冬はで きません。これらは寒さで傷む前に収穫したうえで,穴に埋めて越冬させるのが伝統的な方 1 法です。土の中は温度が一定で凍る心配もなく,保存にぴったりの環境。寒さに弱いものほ ど深い穴に埋めます。穴には水がしみ込まないようにするのがコツです。 ジャガイモやカボチャは倉庫で保存できます。ただし冬まで保存可能な品種を選んでおく 必要があります。また,凍ると傷むので,とくに寒い地域では野菜を入れたコンテナに毛布 などをかけるようにします。 その他の秋冬野菜は,収穫したのち凍らないかぎり低温で保存すると長もちします。温度 が高いほど野菜の呼吸量が増えるため早く消耗し,蒸散によるしおれも進むのです。 ジャガイモと同じように倉庫に置いてもいいですが,保存期間の短い葉菜類などは玄関先 など家の中で一日じゅう寒い場所に置くほうが使いやすいでしょう。ただし日当たりのよい 部屋や,ストーブのある暖かい部屋は避けてください。温度が高すぎるだけでなく,昼夜の 温度変化が大きいことも加わって野菜は早く傷みます。 乾燥を防ぐ 収穫後の野菜は,水分を発散してしおれていきます。しおれるのを遅らせるには,凍らな い程度の低温に置くとともに,ポリ袋や新聞紙,紙袋などで包んで乾燥を防ぎます。 ポリ袋はポリエチレンという樹脂で作られ,空気や水蒸気を通すため,野菜の保存にも適 しています。通気性は厚みのある袋ほど低くなり,野菜保存用には厚さ0.3㍉以下の,家 庭で一般的に使われるポリ袋が最適。とはいえ,完全に密閉すると換気不足で野菜を傷める 原因にもなります。口は軽く閉じるのがコツです。 収穫後の根菜類では葉を取り除くと蒸散を抑えられるため,乾燥を多少遅くできます。土 を掘って埋める保存法は,土に含まれる適度な水分に触れる分,室内保存よりもみずみずし さを長く保てます。 ハクサイやキャベツなど結球する野菜は,ある程度,外葉を残したまま保存します。食べ る直前に傷んだ葉を取り除くと,内側の球はおいしさを保っているはずです。 冷蔵庫は温度が低温で安定しているため,出し入れしないかぎり野菜の保存に適していま す。このときも密閉しないポリ袋などに入れて野菜の乾燥を防いでください。 常温保存では洗わずに置いたほうが,乾燥が進みにくく,より長く鮮度を保てます。また, 洗うと表面に細かな傷がつき,ストレスから野菜の代謝が高まって傷みが進むともいます。 腐敗の原因になる雑菌も侵入しやすくなるでしょう。使いかけの野菜が切り口から傷むのも 同じ理由によるものです。切った野菜はラップなどで包んで冷蔵庫保存します。 みずみずしさを保つ手だてとは反対に,切り干し大根のように,積極的に乾燥させて保存 する知恵もあります。細く切って天日に干すだけで保存性が格段に高まるうえ,おいしさと ともに栄養分アップ。手軽で優れた方法です。 根菜類 土をたっぷりかけて凍結を防ぐ 土の中は冬でも凍結の心配がなく,野菜の保存にはぴったりの環境です。土中で育つ 根菜類は,畑にそのまま置いて,冬にも順次収穫できます。本格的な寒さの前に少し だけ手をかけて,凍結による傷みを防ぎましょう。 2 ダイコン 暖地では土寄せして越冬させます。真冬の最低気温がマイナス4~5℃まで下がる地 域では引き抜いて埋めます。このときはダイコンの肌に土が付くようにするのが,乾 燥を防ぐコツです。 ●12月下旬までに越冬のための土寄せを済ませます。葉が埋まるほど山盛りに。畝が複数 あるときは,畝1列を先に収穫すると,隣の畝に残したダイコンに土を寄せやすいです。 (林) ●私の畑では,土寄せだけでは肩が凍ります。土が風で飛ばされたり,じゅうぶんに埋める のも難しいですね。12月中旬にはすべて抜き取って1か所に集め,葉だけ外に出して土に 埋めます。籾殻やわらなどは入れず,重ねるときは間に土を入れてから。肌を土に触れさせ るのがみずみずしさを保つコツです。使う分だけ順次引き出し,葉は切り落として出荷しま す。これで春先までロスはありません。聖護院ダイコンは土寄せだけでだいじょうぶです。 (阿部) ●水道が凍らない程度の寒さなら土寄せして畑に置いたほうが,すが入らずおいしいです。 土の外に首が伸びやすい青首系よりも,白首系品種が適します。私の畑では寒い年は凍るた め,1畝おきに引き抜き,土に埋めて保存します。(寛) ●寒冷地なので30㌢以上の深さの穴を掘って,頭を上に斜めに寝かせて埋めます。葉は半 分くらい切っています。3月まで置くなら,頭を下にすれば芽が出る時期が遅れるため,春 先まで長めに保存できます。 早く食べる分は,作業しやすいように畝1列ごとに畑に置いて土寄せしています。 (大内) ニンジン 寒さに強く,畑にそのまま置いて冬越しします。冬の間じゅう,食べる分だけ少しず つ収穫できる野菜です。 ●肩が出ないようにしっかり土寄せして冬中収穫できます。肩まで潜る吸い込み系の品種で は,除草のときの土寄せだけでもじゅうぶんです。(阿部) ●肩が土から出たものから先に収穫し,冬越し用は葉が半分隠れるほどに土寄せを。こうし て畑に置くと,とう立ちの始まる3月までとれます。冷蔵庫に空きがあれば,暖かくなって 芽が動き出す前,2月に入ったらすべて引き抜いて葉を落とし,ビニール袋に入れて保存す ると5月ごろまで食べられます。(林) ゴボウ 土深く潜るゴボウは寒さに強い野菜の代表。畑にそのまま置いて順次収穫します。 ●食べる分だけ少しずつ掘り上げます。多く掘ったときは,ひもで束ねて横に並べて土に埋 めます。葉を付けたままだと傷むので切り落とし,ひもの端は取り出しやすいよう地面の上 に出しておくのがコツです。(林) 3 ●掘り上げたときは土に埋めます。春まで保存するなら頭を下向きに埋めると,とう立ちが 遅くなって長もちします。(大内) 葉菜類 野菜の個性に併せて上手に保存 葉菜類には結球性で比較的寒さに強いハクサイやキャベツ,耐寒性の高いホウレンソウやタ アサイなど,寒中に収穫しておいしい野菜がたくさんあります。上手に作り,寒さを避けて, 冬の味覚を楽しみましょう。 ハクサイ 大きく巻いたハクサイは寒さで外葉が傷んでも,中はおいしく食べられます。頭を縛 って畑に置くか,寒さの厳しい場所では1か所にまとめてわらなどで覆いましょう。 ●品種によって耐寒性が異なるため,秋どりから春先どりまで3種類作っています。晩生種 は冬から3月まで収穫が可能です。千葉では葉が開かないように頭をわらや麻ひもで縛って 畑で越冬できます。食べるときは根元にもういちど包丁を入れ,傷んだ外葉を取り除きます。 (林) ●12月初旬に収穫し,1か所にまとめてわらや毛布で上と横を覆い,シートをかけてぬれ を防ぎます。引っぱって根を付けたままとったほうがいいですね。一つ一つ新聞紙に包んで, 玄関先や納屋など,暖房がなく凍らない場所に保存する方法もあります。傷んだ外葉を2, 3枚外せば中は2月までもちます。 冬どりするのなら,頭を縛るだけで畑に置ける耐寒性のある品種を選んでください。この とき注意したいのは,凍っても昼間は解ける場所で作ることです。立ち木などの影響で朝や 夕方に陰ができるようでは,畑での冬どりはできません。(阿部) ●11月中旬に外葉を鉢巻き状に縛ります。これを怠ると傷むばかりか,寒さに生長も止ま ります。年末にはすべて収穫。以前は新聞紙で包み,納屋で保存しましたが,温暖化傾向の 最近は,野外で1か所に集め,まわりと頭をわら束で覆ったうえに屋根をかけたほうが,腐 らず上手に保存できます。(寛) ●根を付けたまま抜き取り,畑の一角にまとめてわらで厚さ20㌢ほどに覆い,まわりに波 トタンを立ててネズミを防ぎます。屋根はかけません。 ハクサイは立てて根を地面に着けておくのがみずみずしさを保つコツです。(大内) キャベツ 収穫後も,冬には比較的長もちするキャベツ。耐寒性の高い冬どり用品種を作れば, 3月初めまで順次収穫できます。 ●12月どりの早生種と,2~3月どりの晩生種を作っています。寒さに強いので,そのま ま畑に置いて必要な分だけ収穫できます。(林) ●収穫後は,新聞紙に包んで保存すれば意外ともちます。冷蔵庫保存なら2~3か月は大丈 夫です。保存用は強い霜があたって傷む前に,12月初旬に収穫しています。冬どり用品種 4 はかたく巻きすぎると寒さで傷みます。秋どり用よりも2~3週間遅く種をまくのがコツで す。(阿部) ●品種選びが重要。冬どり用品種は野菜の少ない真冬に重宝です。べた掛け資材を1枚かけ れば,春先まで順次収穫できます。なお,11月定植の越冬品種の収穫は4月末からです。 (寛) その他の葉菜類 結球しない葉菜類は,収穫したら長期間の保存はできません。ホウレンソウやタアサ イなど耐寒性が高い野菜を作れば,真冬でも収穫できます保温にはべた掛け資材を使 うのが手軽でおすすめです。 ●寒さに強いのはホウレンソウ,コマツナ,タアサイ,カラシナ。ミズナは小株で食べる早 生種は寒さに弱く,強いのは大株の晩生種です。カブは霜に何度もあたるとすかすかになっ て味が落ちます。いずれもべた掛け資材で保温すると,葉の傷みも少なくきれいなものがと れます。寒さに弱いチンゲンサイなどはべた掛けをしても1月半ばまで。シュンギクは3重 のべた掛けで12月までです。(阿部) ●真冬の葉菜は寒さのほかに鳥害を受けます。べた掛けが必要ないのは寒さに強く鳥害もな い晩生のミズナ,カラシナ,ルッコラです。(林) イモ類 ジャガイモは冷暗所に,サトイモ,サツマイモは土 中に ジャガイモは比較的低温に強いものの,サトイモやサツマイモは冬の低温で傷みます。保存 する量が多いのなら,温度の安定した土中に埋めましょう。 ジャガイモ 貯蔵適温は5℃で寒さには強く,凍らないかぎり冬も常温に置けます。太陽光を受けると緑 変するので,日が入らない納屋などに置くか,紙袋などに入れて保存します。 ●コンテナや紙の米袋などに入れて,日の当たらない倉庫で保存します。凍ると傷むので氷 点下になる場所ではコンテナの上から毛布やシートを1枚かけます。『男爵薯』や『キタア カリ』など早生の品種は,冬前から芽が出てくるため冬越し貯蔵には向きません。発芽が遅 いのは『トヨシロ』です。それでも春先に気温が上がると芽が出ます。できるだけ温度が上 がらない場所に置くのが遅くまでもたせるコツです。出た芽は調理する直前にかき取ってく ださい。 少量なら多少通気性のある袋に入れ,冷蔵庫に保存すると芽を出さずに長く置けます。 (阿 部) ●出た芽は早めにかき取ります。イモの水分が減ってしわになりますが,自分で食べるには 問題なく,4月ごろまで利用できます。こうしたひねジャガイモはコロッケに向きますよ。 (林) 5 サトイモ 7℃を下回ると傷みます。温暖地では畑に置いたまま土寄せし,その上にシートをか けるだけでも冬を越せますが,一般的にはいったん収穫したのち,畑に穴を掘り,地 面の下に埋めて保存します。 ●年内に食べる分は,土寄せして順次収穫します。冬越しさせる分は,茎が枯れる11月中 旬以降に収穫して穴を掘って埋めます。それ以前ではイモに水分が多く傷みます。 穴の下にはわらや籾殻を敷き,子イモと親イモを外さずに,塊のまま頭を下に向けて穴の 中に並べます。地面すれすれまで入れたら,籾殻とわらを載せ,空気抜きのわら束を差し, 土を30㌢ほどの厚さで,穴の上に山盛りしてください。(寛) ●穴を掘り,イモの塊をそのまま下向きに並べ,わらをかぶせて土を山に盛ります。塊から 外れたイモは傷みやすいので,保存せず先に食べます。 暖かい日中なら,穴を掘り返してイモを取り出し,ふたたび埋め戻してもだいじょうぶで す。上に雪が積もったら,雪が解けて穴に水がしみ込まないうちに除きます。(林) ●穴の底に籾殻を敷いてイモを入れ,水が入らないようにビニールシートをかけて,その上 に土を盛ります。わら束を差し込んでおくと,湿気も逃げるうえ,途中での掘り出しがしや すいです。(阿部) ●ビニールハウスの中に深さ60㌢ほどの穴を掘り,底に籾殻を敷いて,その上にサトイモ を入れます。イモの上からも籾殻をまき,さらにわらを置くだけです。ハウス内では土をか ぶせる必要がなく,途中の取り出しが楽になります。(大内) サツマイモ 寒さに弱く,10℃以下で黒変して傷みます。冬期保存は室内でも難しく,深めの穴 を掘って土の中に埋めるのが確実です。 ●正月までに食べる分は新聞紙を厚めに巻き,箱に入れて室内保存。残りは収穫後半日ほど 乾かした後,穴貯蔵して4月に掘り出し,6月まで食べます。 イモを地面から30㌢以上深く埋めるため,穴の深さは1㍍以上に。底にわらを敷き,イ モを入れ,隙間と上に籾殻を入れてわらを載せ,土を盛ります。上のわらは土が籾殻に混ざ らないようにするためです。また,サツマイモはサトイモ以上に呼吸します。空気抜きのわ ら束はかならず入れてください。(寛) ●サトイモと同じですが,籾殻を間にも入れ,一つ一つのイモが籾殻に囲まれている感じに します。上にかける籾殻も30㌢以上の厚さにしてくだい。蔓から外さずに貯蔵すると,傷 みにくいといわれますが,私は外しています。そのほうが小さい穴で済むからです。外すこ とによる損失は1割もありません。(阿部) ●サトイモと同じで,ハウス内に穴を掘り,上に土はかけません。上にかける籾殻の厚さが 30㌢ほどになるように。そのぶん,穴に入れるイモの量は少なめにします。(大内) 6 その他の野菜 収穫の少ない春先まで保存 ネギ類も寒さに強く,冬においしい野菜。長ネギは土寄せ,タマネギはつるして保存します。 ブロッコリーやカボチャは品種を選べば冬も楽しめる野菜。作っておくと重宝します。 ニンニク タマネギと同じように,軒下などにつり貯蔵できる。葉を付けたまま束ねるか,茎を少し残 して切り落とし,縛るかネットに入れて風通しのよい場所につり下げる。 タマネギ 5月下旬に収穫するタマネギ。保存性の高い品種なら,葉の付いたまま束ねて軒下などにつ るしておけば,冬を越して,翌春,芽が伸び始めるまで保存できる。 ネギ 畑に置いたまま土寄せし,必要な分だけ順次収穫する。最後の土寄せは本格的な寒さの前に。 葉の分かれ目の上までしっかりと土を盛り上げる。 ブロッコリー カボチャ 1~3月に収穫するには『エンデバー』(タキイ種苗)など夏まき冬どりの品種を選ぶ。収 穫後は冷凍保存してもよい。注意したいのは鳥の食害。餌の少ない真冬には,畑によっては 対策が要る。冬どり品種でも蕾は霜にあた ると傷むため,べた掛け資材をかけるのが, 防寒と鳥よけを兼ねた効果的な方法。『え びす』(タキイ種苗),『みやこ』(サカ タのタネ)など,緑色の濃いポピュラーな 品種は,収穫後1~2か月で食べきる。保 存性の高い品種として知られるのは『かち わり』で,納屋に置いて翌春まで食べられ る。『新土佐南瓜』なども長期保存向き。 貯蔵には凍らないかぎり低温がよく,春に 気温が上がると傷む。 『やさい畑』2011冬号(家の光協会) 7 8 『やさい畑』2010年冬号(家の光協会) 9 サツマイモが腐らない横穴式貯蔵法 薩摩川内市の長沼清さんに,冬の間サツマイモが腐らないという,とっておきの貯 蔵方法を教えてもらいました。 使うのはモミガラ。まずは土手などの斜面に,スコップで横穴を掘ります。穴の大 きさは,サツマイモの量にもよりますが,長沼さんの場合,直径は60㌢,奥行き6 0㌢くらいの穴を掘るそうです。自家消費用と春に植える種イモを合わせて,毎年だ いたい30~40㎏貯蔵できます。 穴の中に,モミガラを敷いたら,イモを並べて,また上にモミガラをかけるという ふうに,積み上げていきます。このとき隣同士や上下でイモとイモがくっつかないよ うにするのがコツ。 雨が吹き込まないように,穴の前にワラを並ベ て立てておきます。たったこれだけですが,モミ ガラは水をはじくのでイモは濡れず,保温効果で 霜に当たらないので腐りません。また通気性もい いのでイモがしっかり呼吸でき,春まできれいに 貯蔵できるというわけです。 『現代農業』平成21年(2009)11月号 サトイモは穴を掘らなくても,ビニール一枚で貯蔵できる 林 倉一郎 みやこ町の緒方喜久代さんから簡単なサトイモ貯蔵方法を教わりました。三反の サトイモをつくる喜久代さんは,なんと畑まるごとビニールで覆って保存するそう です。 コツは三つ。①透明で破れていないビニールを使うこと。ブルーシートでは雨が浸水して サトイモが腐る。②被覆のタイミングは霜や雪が降りだす前。地上部が残っていれば,鎌で 15㌢くらいの高さに切る。③サトイモが地表に出ているときは土をかけること。必要であ れば管理機で。 ビニールは,近くのイチゴ農家がハウスを張り替えるとき にもらってきます。畑にそのままかぶせて,端は土で重し。 ウネ一本分の収穫が終わったら,鎌でビニールを切り捨てる と,次のウネの収穫も簡単です。 この方法のおかげで喜久代さんは,真冬の間も毎日30~ 40株ほど収穫し,農協や直売所に出荷できるようになりま した。 『現代農業』平成24年(2012)1月号 10
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