1 学校研究全体計画 学び合いの中で,自分の考えを深めていく子の育成

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学校研究全体計画
1.研究主題
学び合いの中で,自分の考えを深めていく子の育成
~理科・生活科の授業の中で問題意識をもつことからはじめて~
2.主題設定の理由
本校では,平成24年度まで算数科の授業を通して,
「主体的に学ぶ」
「自分の考えをもつ」
「伝え合う」「学び合う」をキーワードにした研究を進めてきた。本校児童は,素直ではある
が受け身的な学習姿勢であること,そして学力調査等から見えてくる活用力の弱さがあげられ
たためである。
そんな中,昨年度,小松市教育委員会より2年間の理科教育推進校の指定を受けた。
本校は,天然記念物に指定されているギフチョウが校地内に生息する,カモシカの親子が見
られるといった自然豊かな地域にある。また,この自然を守る地域の方の協力もあって,竹の
子の収穫や観察,蛍の幼虫の放流等の活動も行っている。児童はそれぞれの生態を観察しなが
ら,命の素晴らしさも直に感じることができるといった,理科・生活科を行う上で,非常に恵
まれた地域と言える。この環境の中で「体験活動を大切にする理科・生活科の授業を通して」
という副題のもと,昨年度は研究を進めてきた。
1年間研究を進めてきて,以下のような反省が出てきた。
児童の側として)
・自由な発想に至らず,表現する力も弱い
・
「友達の考えを聞く」ということへの意識がまだまだ弱い
・児童の中に,学び合う必然性が薄い
・個人のレベルの差が大きく,全員が考えを持つことも難しい
・考えの深まりについてのふり返りが薄い
教師の側として)
・多様な考えや深まりのある場面をつくるのが難しい
・児童が本気で考えたくなる問題,考えるに値する問題を作ることが大切
・本時の問題にいかに興味を持たせたり,必然性を感じさせたりするかが難しい
そこで本年度は,学び合いをより深めていくためには問題づくりが重要ではないかという仮説
を立てた。授業の中で生まれた疑問を児童自身が「問題」としてとらえ,それを解決していく
という学習活動を通して「知りたい」
「解決したい」という意欲が生まれ,それが本校のめざ
す学び合いへとつながると考え,本研究主題を設定した。
3.研究の仮説
・落ち着いた雰囲気で学習に取り組み,自分の考えをもとうとしている。
・考え方に個人差が大きいため,深まりのある話し合い活動が充分でない。
児童の実態
・自信を持って話し合い活動に参加できない児童が多い。
・自由な発想に至らず,表現する力も弱い。
・児童の中に,学び合う必然性が薄い。
問題づくり
理科・生活科
他教科等
・日常生活や体験の中から「?」を見つける児童を育成
・児童が本気で「考えたい」と思う問題をつくる
・多様な考えが出せ,深まりのある問題をつくる
問題解決のプロセスを通して
・体験の中で,主体的学びが継続する問題の設定 (学び指2条)
・なぜそう予想したかを根拠や筋道を明確に表現させる(学び指 1 条)
・自らの思考をまとめていけるようなノート指導(学び指 4 条)
・互いの考えを聞くことで,自分の考えを再構築させる(学び指6条)
・話す,聴くスキルの向上(学び指 5 条)
・習得した知識と,日常生活での活用の場を結びつける(学び指3条)
・分かる喜び!
・授業が楽しい!
めざす児童の姿
学び合いの中で、自分の考えを深めて(再構築できる)いく子
4.
「学び合い」について
学び合いは,授業のめあてを達成するための手段であり,全体での学び合い,グループでの
学び合い等が考えられる。学び合いの中で,児童は自分たちで問題が解決できたという充実感
を感じたり,多様な考えを聞き合うことができる。また,自分の考えを確かめ,深めたり広げ
たりしてよりよいものに変えていくことができる。そこから,本校では「学び合う児童の姿」
を以下の4点と考えた。
・問題に対して自分の考えをもっていること。
本校の目指す学び合う児童の姿
・自分の考えを相手に分かるように伝えていること。
・友だちの考えを自分の考えと比べながら聞いていること。
・自分の考えの変容を振り返っていること。
5.研究の全体構想
学校教育目標
人間愛に基づき,豊かな心と健やかなからだを持ち,
自ら学び,創造力と実践力のある児童の育成
めざす児童像
すすんで学ぶ子・思いやりのある子・じょうぶな子
研究主題
学び合いの中で,自分の考えを深めていく子の育成
~理科・生活科の授業の中で問題意識をもつことからはじめて~
体験Ⅰ
↑
伝え合い(表現)
↑
問題意識を
持たせる
高まり
気づきの質の
振り返り(整理)
体験
言語活動の充実
・話す・聴くスキルの定着
授業力の向上
・教科のねらいの明確化
・読書活動の推進
・見通しを持たせる工夫
・全校一斉音読タイム
・学びを自覚できる評価
・書く活動の充実
・授業設計力
【共感的な学級づくり】
【自己肯定感を育む児童理解】
・生徒指導の3機能を意識した授業づくり
・QU による児童理解
【地域・家庭との連携】
地域
(保育所・中学・JA・かすかみ自然教室等)
体験Ⅱ
高校・大学、
JAXA等 との連携を通して、本物にふれ
言語活動Ⅱ
言語活動Ⅰ
生活科
させる
⑧まとめ
⑦考察
⑥結果の整理
⑤観察・実験
④観察・実験の計画
③予想・仮説を立てる
②問題の設定
①自然事象への働きかけ
体験活動
問題解決のプロセス
理科
6.研究の内容と方法
理科の目標
自然に親しみ,見通しをもって観察,実験などを行い,問題解決の能力と自然を愛する信
条を育てるとともに,自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り,科学的な見
方や考え方を養う。
生活科の目標
具体的な活動や体験を通して,自分と身近な人々,社会及び自然との関わりに関心をもち,
自分自身や自分の生活について考えさせるとともに,その過程において生活上必要な習慣
や技能を身に付けさせ,自立への基礎を養う。
(1)理科の授業づくり
(ア)問題づくり
・児童が本気で「考えたい!」と思う問題をつくる。
・多様な考えが出せ,深まりのある問題をつくる。
・児童の中から,
「次はこれについて考えたい」という意欲を持たせた授業づくり。
・導入が重要。また,単元の精選が必要。
(イ)単元構成の工夫
・各学年で学習した内容の系統性を整理し,つながりを明確にする。
・単元を通して身につけさせたい力を明確にする。
・レディネスチェックを行い,その単元に対する児童の現状を把握しておく。
・単元計画を,児童と共有する。
・各時間に身につけた見方や考え方の単元の中でのつながりを明確にし,位置づける。
(ウ)言語活動例
・体験したことを,図を用いて説明
・話し合いを通して,科学的な言葉や概念を習得
・イメージと現象を結びつけて表現
・自分の考えを立体図を用いて説明
・グラフを用いて,変化の要因を明確化
・モデル図を用いて説明
・ワークシートを活用しての討論
・きまりや法則を表現する活動
・推論した内容をモデル図で表現
・仮説を立体モデルで検証
(エ)連携
・中学・高校・大学や,JAXA等との連携を続け,本物にふれさせる機会を持ち,実感
を伴った理解につなげる。
・地域の方やJAの協力を得て,栽培の楽しさ・自然と関わる楽しさを実感させる。
(2)生活科の授業づくり
(ア)問題づくり
・日常生活や,体験活動の中から「?」を見つけることを意識する。
(イ)単元構成の工夫
・各学年で学習した内容の系統性を整理し,理科とのつながりを明確にする。
・単元を通して身につけさせたい力を明確にする。
(ウ)目的意識,相手意識をもった活動展開
・何のために栽培するのか,何のために活動に出かけるのかといった「目的意識」
,
この活動で誰に何を伝えるのかといった「相手意識」を児童に持たせた活動を行う。
(エ)生活科における活動例
・見つける,比べる,たとえるなど,多様な学習活動
・活動や体験したことを言葉や絵で表す表現活動
・自然の不思議さや面白さを実感するような遊びを取り入れた活動
・自然のすばらしさや生命の尊さを実感する内容
・児童が自らの成長を実感できるような活動
(3)言語活動の充実
・話す・聴くスキルの定着
・6年生児童による「目指す授業の姿」の共有
・相手を意識した対話,交流活動の実施
・読書活動の推進・・・毎週月曜日の朝の読み聞かせと,金曜日の読書
・水曜日の朝自習を全校一斉の音読の時間とし,声を出すことの楽しさを実感させる。
・ノートに考えをまとめる,字数制限のある文章作り,キーワードを使ったまとめ,ふり
返りなど,学年に応じた書く活動を行う。
(4)授業力の向上
・児童に「教えるのではなく,学ばせる」という意識を持って授業に臨む。
・予備実験や模擬授業を行い,授業設計力をつけていく。
・単元を見通しての計画を立て,児童自身が学びを自覚できる評価を行う。
・要請訪問等を利用し,部会・全体会で授業研究を行い,学習環境作りを進める。
・理科アンケートを行い(年2回程度)
,児童の理科・生活科に対する意識の変容をみる。
7.理科の授業の流れ
過程
導入
(体験Ⅰ)
児童の活動
つけたい問題解決の力
①自然事象への働きかけ
3年・・・比較する力
・身近な日常体験や,既習事項等
から「?」
(疑問)を持つ。
仮説
(言語活動Ⅰ)
身近な自然の事物・現象を比較し
ながら調べる力
②問題の設定
・本時に考えるべき問題を作る。
4年・・・関係づける力
自然の事物・現象を働きや時間な
③予想・仮説を立てる
・問題に対する予想を,根拠をもと
どと関係づけながら調べる力
に立てる。
5年・・・条件を制御する力
④観察・実験の計画
・予想を明らかにするための実験方
それぞれにかかわる条件に目を向
法を考える。
追究
(体験Ⅱ)
けながら調べる力
⑤観察・実験
・正しい方法で観察,実験を行い,
6年・・・推論する力
結果を正確に記録する。
結論
(言語活動Ⅱ)
自然の事物・現象の変化や働きを
自然の事物・現象についての要因
⑥結果の整理
・記録した結果を,グラフや図に
や規則性・関係を推論しながら調
べる力
まとめる。
(具体)
⑦考察
・得られた結果から,問題に対する
結論を導き出す。
(抽象)
⑧まとめ
・まとめた考えが,他の場面でも
当てはまるか確かめる。
(汎用)
8.研究の進め方
学校研究委員会が中心となって研究の方向や進め方を提案し,各部の連携を図りながら実践を
進める。
全体会
①全体協議の場で,研究の進め方について共通理解を図り,研究の方向・方法を決定する。
②研究主題や内容について,講師を招いたり,情報交換をしたりして学び合う。
③各部会の活動内容の協議や,授業研究会をして研究を深める。
部会
①低・中・高部会に分かれ,全体会・学校研究委員会の提案をもとに,授業研究を行う。
②それぞれの発達段階や児童の実態に合わせ,達成のための方策を探り,実践する。
学校研究委員会
運営委員会
三星・谷口
校長・教頭
木下・角谷
三星・谷口
研究全体会
研究組織
低学年部会
舟津・角谷・三星
中学年部会
竹中・木下・川村
高学年部会
北岡・谷口・梅田
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研修計画
提案授業を受け,授業の
4月
進め方,指導案の書き方
・研究の概要
等の共通理解を図る
・理科,生活科の年間単元計画
・ノート指導について
5月
・指導案の書き方
要請訪問(1)
全体研究授業(理科)
この3本については,
6月
当日公開のクラスが行っ
てはどうか
6年
要請訪問(2)
部会研究授業
低学年A(生活科)
7月
・1学期の取り組みの成果と課題
中学年A(理科)
・夏休み中の研修計画
高学年A(理科)
・科学作品研究物の指導
8月
・2学期の実践に向けて
指導案の作成
要請訪問(3)
指導案検討会
各部会
公開クラスを中心
9月
・小松市児童生徒科学作品展へ出展
要請訪問(4)
全体研究授業
公開授業のクラスが活か
低学年B(生活科)
せるよう,学習形態やW
中学年B(理科)
Bを使った提示等,公開
高学年B(理科)
授業とできる限り同じパ
10 月
ターンで取り組む
公開研究発表会(10/29)
低学年A(生活科)
中学年A(理科)
高学年A(理科)
11 月
12 月
・研究のまとめ方について
1月
・今年度の研究のまとめ
2月
3月
・次年度の研究に向けて
5/22 頃