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グローバル
2016年12月14日
為替ヘッジコストを巡る最近の動向
「為替ヘッジコストが高い」ことが話題となっています。この背景を、米ドルを例に、為替ヘッジコストを金利差部分とそ
れ以外の部分に分解して、要因を説明します。
通貨市場:為替ヘッジコストは上昇傾向も。
金利差から算出されるレートから乖離
為替変動リスクの低減に利用される為替ヘッジ、そのコスト
が対象通貨にもよりますが、高くなる傾向が見られます(図
表1参照)。例えば、フォワードレートから算出したヘッジコス
トは年率で1.8%程度です。一方、金利差から想定されるヘッ
ジコストは1%程度で、差異が見られます。
どこに注目すべきか:
為替ヘッジコスト、非ドル債発行、裁定取引
「為替ヘッジコストが高い」ことが話題となっています。この
背景を、米ドルを例に、為替ヘッジコストを金利差部分とそ
れ以外の部分に分解して、要因を説明します。
金利差部分(金利平価):
伝統的に為替ヘッジコストは2国間の金利差に相当すると
いわれています。例えば、米ドルであれば米国と日本の金
利差(3ヵ月物で1%程度)として算出されます。日米の金利
差拡大が最近のヘッジコストの「高さ」につながっています
が、主な背景は日米の金融政策の違い(日本は金融緩和、
米国は引き締め)と、米国のMMF(マネー・マーケット・ファ
ンド)に対する規制の影響で米国短期金利が上昇したこと
などによります(MMFについては「今日のヘッドライン2016
年10月6日号」をご参照ください)。
金利差以外(クロスカレンシー・ベーシス・スプレッド):
為替ヘッジコスト(特にドル)を金利差以外の要因で上昇さ
せた背景を知る上で、国際決済銀行(BIS)のレポートを参
考にします。まず、BISが指摘しているのは為替ヘッジに対
する需要が強まったためヘッジコストが上昇したと述べて
います。為替ヘッジへの需要が強まった例として機関投資
家による為替ヘッジ付きドル資産への投資の増大や米国
企業による非ドル債発行の為替ヘッジ需要があげられま
す。欧州中央銀行債券債購入プログラムで低コストとなっ
たユーロ建てで、米企業が社債を発行することが急増、こ
のユーロをヘッジするため為替ヘッジが使われた模様です。
ピクテ投信投資顧問株式会社
次に需要の増大で拡大した為替ヘッジコストが何故、裁定取
引などで低下しなかったか?為替ヘッジコストが金利差で説
明できたのは裁定取引(ドルのフォワードが割安なら、スポット
でドルを借りてフォワードを買う)が『無限に』できると仮定し、
金利平価に相当するレートに戻ると考えていました。しかし、
金融危機後、裁定取引の主役たる銀行が規制により『無限』
にバランスシートを拡大しにくくなっています。また為替派生取
引に必要な証拠金やカウンターパーティーリスク管理も求めら
れ、裁定取引の自由度が低下したため理論値(金利平価)に
戻りにくいという点が指摘されています。
最後に、ユーロ円を例に為替ヘッジコストを見ると、変動は見
られますが程度は小幅(図表2参照)です。為替ヘッジコストを
変動させる要因は様々で、市場や期間により差異が見られま
す。投資にあたり為替ヘッジコストへの配慮が必要です。
図表1:米ドルに対する概算為替ヘッジコストの推移
(日次、期間:2013年12月13日~2016年12月13日、3ヵ月物を使用)
2.0%
フォワードレートによるヘッジコスト
金利差によるヘッジコスト
1.5%
※金利差以外
1.0% ※フォワードレート(3ヵ月)から想
定される為替ヘッジコスト(年率)
0.5%
※金利差部分
0.0%
13年12月
14年12月
15年12月
16年12月
図表2:対ドル、ユーロのフォワードポイントの推移
(日次、期間:2014年12月12日~2016年12月13日)
20
0
-20
-40
-60
14年12月
ユーロ円3ヵ月
ドル円3ヵ月
15年12月
16年12月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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