Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 欧州 2016年12月19日 イタリア銀行問題、まだまだ波乱含みだが イタリアの銀行問題の先行きは依然不透明です。最大の問題の1つと見られるモンテパスキ銀の資本増強計画が 成功するかは予断を許さない状況です。それでも、イタリアの国債や信用力には足元落ち着きも見られます。 イタリアの大手銀行モンテ・パスキ:増資計画 で19日から投資家の申し込み受け付け イタリアの大手銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(以 降、モンテパスキ銀)は50億ユーロ(約6200億円)の増資計 画で2016年12月19日から投資家の申し込みを受け付ける と発表しました。同行は年内に増資を完了させることでイタ リア政府による救済を回避することを目指しています。 増資の条件は一部未公表で、価格と株数は投資家の需要 や別途実施されている債務の株式化の結果に基づいて判 断する模様です。発表資料にはモンテパスキ銀の増資計 画は35%が個人投資家、65%が機関投資家向けで、既存の 投資家は、個人投資家に割り振られた分の30%を他の投資 家よりも先に購入する機会が与えられると記されています。 どこに注目すべきか: 銀行問題、増資計画、BRRD、劣後債投資家 ピクテ投信投資顧問株式会社 図表1:イタリア国債利回りとCDSスプレッドの推移 (日次、期間:2013年12月16日~2016年12月16日) 5 % 4 ※1bp = 0.01% イタリア10年国債利回り(左軸) イタリアCDSスプレッド(右軸) 3 bp 210 140 2 1 13年12月 14年12月 15年12月 低 信用力 高 イタリアの銀行問題の先行きは依然不透明です。最大の問 題の1つと見られるモンテパスキ銀の資本増強計画が成功 するかは予断を許さない状況です。それでも、イタリアの国 債市場や信用力には足元落ち着きも見られます(図表1参 照)。イタリア個々の問題は深刻ながら、金融システム全体 に波及するリスクは低いと見られるためと思われます。 モンテパスキ銀は同行のホームページによると設立が1472 年(当時はイル・モンテ)です。この年は日本では戦国時代 にあたり、応仁の乱が繰り広げられていた時代であることか らも、その古さがうかがい知れます。 伝統あるモンテパスキ銀ですが生き残りをかけた戦いはこ れからが本番です。モンテパスキ銀の経営陣は民間部門に よる50億ユーロの増資(新株発行)を柱に、再建を目指して います。仮に増資に成功すれば、モンテパスキ銀は280億 ユーロ相当の不良債権を証券化し投資家に売却、増資の資 金は不良債権処理の損失埋め合わせに使用する模様です。 民間資金による資本増強がベストシナリオとするなら、リス クシナリオは増資が失敗した場合です(可能性はそれなりに 高いと思われます)。このケースでは、モンテパスキ銀はイタリ ア政府に支援を求める必要が生じます。欧州の銀行ルールで ある銀行再建・破綻処理指令(BRRD)では、救済に公的資金 を使う場合、株主および劣後債保有者に損失負担を強いる可 能性が高くなっています(シニア債権者は対象外と見られる)。 劣後債保有者には多数の個人が含まれ、政治的にきわめて 難しい判断が迫られます(報道では個人投資家の保有額は20 億ユーロ程度)。イタリア国民投票の否決を受けて生まれた基 盤の弱い新政権にとって、個人投資家への対応は足元をすく われかねないリスクもあるだけに慎重な対応が求められます。 そのため、イタリア政府は債券保有者の損失抑制を図るため、 予防的資本注入の可能性などを協議している模様です。 なお、イタリアの銀行すべてが問題含みでない点に注意が必 要です。例えば、最近イタリア最大手のウニクレディト銀行は 2017年1-3月期までに民間による資本増強完了見通しを公表 するなど健全な面も見られます。イタリアの「銀行問題」は個 別には深刻な問題も見られますが、問題となっている銀行は 国内事業が中心でユーロ圏全体がリスクにさらされる可能性 は低いと見る投資家が多いことが、市場を落ち着かせている 背景と思われます。 70 16年12月 ※CDS(クレジット・デフォルト・スワップ):信用リスクを対象としたデリバ ティブ商品のことでスプレッド上昇(低下)は信用力悪化(改善)の目安 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企 業の売買を推奨するものではありません。 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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