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欧州
2017年1月20日
ECB、据え置きでも悩みは尽きないのでは
今回の政策理事会でECBは金融政策を据え置き、ドラギ総裁の会見内容もノーコメントが多いため、新たな材料な
しという見方も可能な一方、別の見方では内憂外患で動くことが出来ないECBの苦悩を示唆したようにも見られます。
ECB政策理事会:金融政策を維持、インフレ
持続性の見極めを強調
欧州中央銀行(ECB)は2017年1月19日に開催した政策理事
会で、予想通り金融政策を据え置き、主要政策金利は
0.00%、下限の中銀預金金利はマイナス0.40%としています。
インフレ率の上昇傾向は見られるものの、インフレ率の回復
が持続するか見極めるための据え置きと説明しています。
なお、資産購入プログラム(APP)について2016年12月の決
定通り、月間の購入額は2017年3月までは800億ユーロ、
2017年4月以降は600億ユーロを2017年12月まで継続するこ
とが確認されました。また、プレスリリースで中銀預金金利を
下回る利回りで購入するのはおもに国債などを対象とした公
的部門証券購入プログラム(PSPP)のみで、社債やカバード
債の購入は想定していないことが示されました。
どこに注目すべきか:
Brexit、ユーロ圏インフレ率、テーパリング
今回の政策理事会で、ECBは市場予想通り金融政策を据え
置き、またドラギ総裁の会見内容もノーコメントが多かった
印象であるため、新たな材料はないという見方も可能な一
方、別の見方をすれば内憂外患で動くことが出来ない現在
のECBの次のような苦悩を示唆したようにも見られます。
まず、外部要因として米国のトランプ政権発足後の政策動
向や英国の欧州連合離脱問題(Brexit)の影響が不透明な
中、金融政策として語りにくい状況です。関心の高さから記
者会見で米国やBrexitに関連する質問も出ましたが、当然
のことながらこれらについてはノーコメントに終始しました。
次にユーロ圏内にも問題が見られます。例えばユーロ圏各
国のインフレ率に違いが目立ち始めてます(図表1参照)。
ユーロ圏全体のインフレ率は足元前年比で1.1%と、底打ちは
見られるも、ECBのインフレ目標を下回り、金融緩和政策の
継続に問題が無いように思われます。しかし、ドイツのように
インフレ率が急上昇している国もあります。ドラギ総裁も会
見でドイツに忍耐を求めています。ECBの決定発表後にドイ
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ツのショイブレ財務相は世界経済フォーラム年次総会開催中の
ダボスでのインタビューで、ECBの金融政策を国民に説明する
にあたり政治的な問題に直面すると述べています。ドイツは
ユーロ圏にいることで低金利、ユーロ安の恩恵を受けており、
ショイブレ財務相はユーロ圏全体として成功することがドイツの
国益と述べ理解は示しています。ただし、ドイツ国民がどのよう
に感じるかは別問題です。例えば、預金生活者が金利が低い
ことに不満を持つケースや緩和的な金融政策がユーロ圏の他
の国に必要な構造改革を遅らせる原因となっているといった批
判が声を強めることも考えられます。なお、2017年秋にドイツで
は重要な選挙が控えており、反ユーロ勢力の台頭がドイツでも
懸念されているだけに、政治と共に、金融政策も間接的に国民
の声に配慮を迫られる懸念もあります。
最後に、中長期的な話と思われますが、成長率やインフレ率が
異なる国で構成されるユーロ圏では、国債購入額の減額(テー
パリング)の伝え方にも困難が想定されます。米国のケースを
思い起こすまでもなく、中央銀行がテーパリングを口にすれば
国債利回りの急上昇が想定されます。インフレ率や成長率が
バラバラの状況では、一層の悪影響が懸念されます。ドラギ総
裁は会見でテーパリングは検討されていないと述べ、4月から
のAPPの購入額の600億ユーロへの減額は、経済状況が以前
600億ユーロであった頃に戻ったことによる「再調整」に過ぎず、
(減額だけが行われる)テーパリングとは異なると説明していま
す。確かにその通りですが、市場が誤解しないとも限らず、今
後も対話の重要性が問われるものと思われます。
図表1:ユーロ圏と主な国のインフレ率の推移
(月次、期間:2013年12月~2016年12月、前年同月比)
2.0
ドイツ
1.7%
%
1.5
ユーロ圏全体
1.1%
1.0
イタリア
0.5
0.5%
0.0
-0.5
-1.0
※インフレ率は欧州連合(EU)基準消費者物価指数(CPI)
13年12月
14年12月
15年12月
16年12月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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