農学部 K U SA B A 応用生物科学科 生物資源制御学講座 MOTO A K I 草場 基 章 准教授 「野生植物の菌をモデルとしたいもち病菌の越冬源の解明」 「卵胞子を起点としたタマネギべと病菌の発生生態の解明」 [キーワード] イネいもち病菌,エノコログサ,メヒシバ,タマネギべと病菌, 耐久生存,環境適応 一次伝染源の遮断による植物病原菌の完全防除に向けた研究 研究紹介 ◆研究概要 植物病原菌は,宿主となる植物が栽培されてい ない期間,自然界のどこかで耐久生存しており, 宿主が栽培されるとともに伝染(第一次伝染)を 開始します.したがって,耐久生存場からの第一 次伝染を遮断することで,病気の発生を完全に防 ぐことが可能となります.当研究室では,この考 え方を基に,完全防除に向けた研究を「イネいも ち病」と「タマネギべと病」を対象に取り組んで います. ◆野生植物いもち病菌の越冬源の解明 「イネいもち病菌」の生態は不明なことが多 く,防除を難しくする一因になっています.その 生態のひとつが野外での越冬です.「イネいもち 病菌」は,他の微生物との競合に弱く,野外での 越冬は不可能とされています.このことから伝染 元は,屋内で保管された栽培用種子に混入した 「イネいもち病菌」が越冬したものと考えれてい ます.しかしこれまでの研究において,その実態 は全く解明されていません. 改めて考えてみると,イネの栽培化が始まる前 (屋内保管が始まっていない時代)まで,「イネ いもち病菌」も野外で越冬していたはずです. 野生植物の「いもち病菌」は,そのような古代 の「イネいもち病菌」と同じ生活を送る『生き た化石』なのです. 当研究室では,野生植物の「いもち病菌」をモデル 系とし,その越冬源を特定することで, 「イネいも ち病菌」の野外での越冬様式の解明に取り組んで います. ◆タマネギべと病菌の発生生態の解明 近年, 「タマネギべと病」は全国的に大発生する ようになりました.特に,2016 年の春には前例 が無いほどの壊滅的な被害を佐賀県等のタマネギ 主産地にもたらしました.当研究室では,原因菌 である「タマネギべと病菌」の生態,特に卵胞子 (写真)を起点とした伝染環の解明により,本病 の制圧に向けた防除技術の開発を試みています. 写真.タマネギ組織中の卵胞子 掲載情報 2017 年 1 月現在 農業関係者へ 一言アピール 植物病原菌の生態解明は基礎的な研究ですが,農薬使用や抵抗性育種に変 わる次世代の防除法を生み出す可能性を秘めております. 産学・地域連携機構より 草場准教授は植物病原菌を対象として,自然界における生態や伝染メカニズムの解明を,分子 遺伝学的手法を用いて研究しています.これらの成果を応用し,植物病原菌の完全防除を目指 しています.本研究に興味がある方はお問合せください. 佐賀大学 佐賀大学 研究室訪問記 産学・地域連携機構 (佐賀県佐賀市本庄町1番地) (お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課 TEL:0952-28-8416 E-mail:[email protected]
© Copyright 2024 ExpyDoc