高级日语Ⅰ 辛夷の花 堀 辰雄 第2课 授業の内容 ●背景知識 ●単語の勉強 ●文法・表現の勉強 ●本文の解説 ●練習 ●本文の内容について考えよう 背景知識 作者について 堀辰雄(ほりたつお)、1904年東 京生まれ、1929年東京大学国文 学科卒業、1953年死去。芥川龍 之介の知遇を得て、文学に開眼し、 心理主義的作風に立つ作家として 活躍した。作品に「聖家族」「美しい 村」「風たちぬ」「かげろふの日記」 「曠野(あれの)」「菜穗子(なほこ)」 などがある。 辛夷の花についての物語 背景知識 辛夷の花 辛夷の花についての物語 背景知識 辛夷の花の由来 辛夷の名の由来は,牧野富太郎によると,辛夷は 蕾の形が〈拳(こぶし)〉に似るからだという。子 供のころ,ひとの顔の前に拳を突き出してパッと開 き,指をひらひらさせて,「辛夷の花」とさけぶ遊 びをしたことがある。「夜も青空辛夷千手の拳開く 」という句がある。 辛夷の花は近くで見ても楽しいが,遠くから眺め るのもおもしろい。 辛夷の花についての物語 背景知識 辛夷と白木蓮(はくもくれん)の花 辛夷と白木蓮(はくもくれん)の花は、外観がよ く似ています。咲く時期も同じです。白木蓮の花は 、上向きに閉じたような形で咲き全開しませんが、 辛夷の花は全開して垂れ下がります。白木蓮の花は 、辛夷の花よりやや大きめです。白木蓮の花はごく 淡い香りしか出しませんが、辛夷の花は芳香をはな ちます。辛夷の花の下には小さな葉っぱがあるが、 白木蓮にはありません。 背景知識 木 曾 路 背景知識 木曾の谷谷 背景知識 馬酔木の花 単語の勉強 【一】 さし(接尾語) 動詞の連用形につけて、名詞を作る。動作を途 中でやめている意味、またそのこと、ものを表す。 読みさしの新聞 飲みさしのミルク 食いさし 吸いさしのタバコ マッチの燃えさし 言いさし 単語の勉強 【二】とんだ(連体詞) ことや人を表す言葉の前について、それが予想 以外のことだという意味を表す。 ほんの冗談のつもりだったのに、これはどんだことにな ったぞ。 道には迷うし、雨には降られるし、まったくとんだ目にあ った。 泥棒に間違えられたとは、とんだ災難だったね。 ちょっと居眠りをしたばかりに、とんだ失敗をしでかして まった。 単語の勉強 【三】なんぞ(連語、副助詞) 「 なんぞ」は、疑問詞「なに」に「ぞ」が付いた「なにぞ」の 転じたもので、不確定のものやことを表す。場合によって軽 蔑のニューアンスも伴う。「なんか」「なにか」に似ている。 人を家来かなんぞのように扱う。 なんぞ面白いことはないか。 人の遭遇というものは、紹介状やなんぞで得られるも のではない。 俺なんぞはいくらいたずらしたって、潔白なものだ。 文法・表現の勉強 【一】 ~からして 体言を受けて、時間的、空間的起点、現状認識 における起点を表す。 あの言い方からして、わたしはあの人に嫌われているよ うだ。 あの態度からして、彼女は引き下がる気がまったくない ようだ。 その口ぶりからして、彼はもうそのことを知っているだろ うな。 文法・表現の勉強 【二】体言は(も)+同一体言で 「 体言は(も)+同一体言で」は、ある事柄をとり上げて、ほ かの事と対比しながら、その事柄について述べるという場合 に用いられる。 家は家で、好きなだけテレビが見られるし、学校は学校で、本をいっ ぱいよめるから。 兄は陸上競技で金メダルを取り、妹は妹で、日本語スピーチコンテ ストで優勝をした 冬は冬で、日本海側は電車が豪雪に立ち往生しているのに、太平 洋沿岸は空っ風がふきまくる。 文法・表現の勉強 【二】体言は(も)+同一体言で 「用言ば+用言た+で」の形もある。 金というものは、なければ困るが、あればあったで、やっかいなも のだ。(钱这东西没有不行,有了也麻烦。) 長雨が降り続けば続いたで、秋の取入れを心配する。(雨下久了 吧,又怕影响秋收。) ローンを借りてマイホームを買えば買ったで、月月月給の半分を 返済にあてるのもつらいことだ。(贷款买房,每个月拿出一半来还 贷,这也受不了。) 文法・表現の勉強 【三】 ~でもするように 比喻表現である。動詞連用形につけて、ある動作、行為 を取り上げて、いかにもそのように見えるという意味を表す 小林は相手の調子と顔付を、噛んで味わいでもするように、しばらく 間を置いて黙っていた。 デザインサンプルを選択するだけで、着せ替えでもするように、簡 単な操作でデザインを切り替えることができる。 まるで飯でも食うように、瞬きでもするように、簡単に殺した。 何か捜しでもするように、愕然として辺りを見回した。 文法・表現の勉強 【四】 ~はずみに(で) 「ある動作の余勢で」という意味で、予想しないこと、 意図しないことが起こることを表す。 転んだはずみに財布を落としてしまったらしい。 衝突のはずみで、乗客は車外に放り出された。 自分から言うつもりはなかったが、話のはずみに、つい 彼女のことを彼に話してしまった。 誰でももののはずみでうそをついてしまった経験が一度 はあると思う。 文法・表現の勉強 【五】~ったらない 用言の終止形、体言につけて、程度が激しいこと を表す。くだけた話し言葉。 うちのおやじ、うるさいったらない。 あのときのあいつのあわてかたったらなかったよ。 春の半ばだというのに、これはまたひどい荒れよ うだ。その寒いったらない。 文法・表現の勉強 【六】耳に挟む ちらっと聞く。ふと耳に入る。聞くともなしに聞く。 ●小耳に挟む 変なうわさを耳に挟んだ。 ひょいとしたはずみで、僕は隣りの夫婦づれの低い 話声を耳にはさんだ。 ★顔や額、まゆ根などにしわを寄せる。苦痛や不快 、心配などによる感情を表情に表わす意味が強い。 [英] to frown [使い方] 〔しかめる〕(マ下一)▽あまり の痛さに顔をしかめる▽悪いうわさに人々はまゆを しかめた▽父は顔をしかめて子を叱(しか)った 文法・表現の勉強 【七】顔をしかめる 顔や額、まゆ根などにしわを寄せる。苦痛や不快 、心配などによる感情を表情に表わす意味が強い。 あまりの痛さに顔をしかめる。 悪いうわさに人々はまゆをしかめた。 父は顔をしかめて子を叱(しか)った。 それ(足を踏み鳴らす)がはじまると、その隣りの 席で向うむきになって自分の外套で脚をつつみなが ら本をよんでいた妻が僕のほうをふり向いては、ち ょっと顔をしかめて見せた。 練習 【一】本文の内容に基づいて次の質問に答えよう。 本文に「……」が多く使われているが、それぞれ 何を意味しているか、またどんな働きをしているか。 本文に「そんな」「その」といった指示語が多く使 われているが、それぞれ何を意味しているか、また どんな働きをしているか。 「いいと思えば本当に具合よくいってると」と筆者 が考えるのはなぜか。 練習 「自分がうつけたようになっている」とは、筆者の どのような気持ちを表す。 「旅先の哀れを味わってみたかった」とはどういう ことなのか。 練習 【二】次の日本語を中国語に訳しなさい。 1、 僕だけ、まだ時々思い出したように雪が紛々と散ってい る木曾の谷や川へたえず目をやりながら、こちらの窓際 に強情にがんばっていた。 (只有我一个人还固执地坐在这边靠近车窗的座位上,一 直望着那木曾的山川谷壑(峡谷),雪像是发神经似的 不时地纷纷扬扬下一阵儿。) 練習 【二】次の日本語を中国語に訳しなさい。 2、いま、僕たちの乗った汽車の走っている、この木 曾の谷の向うには、すっかり春めいた、明かるい空 が広がっているか、それとも、うっとうしいような 雨空(あまぞら)か、僕は時々それが気になりでも するように、窓の顔をくっつけるようにしながら、 谷の上方を見上げてみたが、山々に遮られた狭い空 じゅう、どこからともなく飛んてきては盛んに舞い 狂っている無数の雪のほかにはなんにも見えない。 練習 【二】次の日本語を中国語に訳しなさい。 (此时,我们乘坐的火车正驰骋在木曾的峡谷中,峡 谷的外边是一片春光明媚的辽阔蓝天呢,还是沉闷欲 雨的云雾世界,我似乎总在惦记着这些,不时地把脸 贴在车窗上仰望峡谷上方。然而,被群峰遮住了的狭 窄天空中只有不知从何处不断飞来的雪花狂风乱舞, 其它什么也看不见。) 練習 3、だが、それまで1人でぼんやりと自分の窓にもたれてい た僕が急にそんなふうにきょときょととそこいらを見回し 出したので、隣で夫婦のほうでも何事かといったような 顔つきで僕のほうを見始めた。 (可是,因为我一直倚窗独坐,突然毛毛怔怔向对面的 山上东张西望,坐在旁边的夫妇俩不知出了什么事, 以疑惑不解的眼神朝我看来。) 練習 4、もう木曾路ともお別れだ。気まぐれな雪よ、旅人の去っ たあとも、もう少し木曾の山々に降っておれ。もう少しの 間でいい、旅人がおまえの雪の降っている姿をどこか平 原の一角から振り返えってしみじみと見入ることができ るまで。 (和木曾路就要告别了,啊!反复无常的雪呀,在我们 这些客人离开之后,你再往木曾的群山下一会儿吧, 一点儿就行。以便我们能从平原的一角回首细细地眺 望你那漫天飞舞的风姿——。 練習 5、 僕はもう観念して、しばらくじっと目を合わせていた。と うとうこの目で見られなかった、雪国の春に真っ先に咲く というその辛夷の花が、今、どこぞの山の端にくっきりと 立っている姿を、ただ、心の内に浮かべてみていた。 (我失望地闭目静坐了一会儿,我终究未能亲眼看到想象 中的雪国春天最先开放的木莲花。我只有在脑海中浮 现出(描绘出)她醒目地屹立在一个山峰上。) 本文の内容について考えよう ●辛夷の花に対する筆者の執着を考えること。 ●この文章を読んだ感想を述べてみよう。
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