Document

高级日语Ⅰ
第6课
自然と人間
内山節
授業の内容
●背景知識
●単語の勉強
●文法・表現の勉強
●本文の解説
●練習
●本文の内容について考えよう
背景知識
作者について
内山 節(うちやまたかし)、1950年
東京生まれ。哲学者。労働論から出発
し、人間の存在の自由という問題を一
貫して追及する。70年代からは、群馬
県上野村にしばしば滞在し、自らの体
験を踏まえ、自然と人間の交流を媒介
するものとしての労働の変容の問題に
思索を深めてきた。主な著書に『自然と
労働』『哲学の冒険』『自然と人間の哲
学』『自由論』などがある。
背景知識
ソメイヨシノ
清 水 寺
背景知識
ヤマザクラ
背景知識
ヤドカリ
背景知識
ヤドカリ
単語の勉強
【一】くりだす 【繰り出す 】
(動五)
1、糸などを繰って順々に引き出す。

管の先から糸を繰り出す。
2、次々に送り出す。

次から次へと新手(あらて)を繰り出す。

救援部隊を繰り出す。
3、(自動詞的に)大勢揃って勢いよく出かける。

町内の連中が花見に繰り出す。
単語の勉強
【二】 やりすごす 【 遣り過ごす 】 (動五)
1、後ろから来たものを前へ行き過ぎさせる。
 相手をやり過ごす。
 自動車をやりすごす
2、限度を越えてする。やり過ぎる。
 酒をやりすごして体を壊す。
 この遊びはおもしろいのでどうしてもやり過ごす。
単語の勉強
【三】さしかかる【差し掛かる】 (動五)
1、そのすぐ前まで来るその場に臨む。

汽車がトンネルへさしかかる。
2、その時期になる。ちょうどその状況、場面に臨む。

約束の日がさしかかってきた。

そろそろ雨季にさしかかろうという時でした。
3、上から覆いかぶさる。

木の枝が屋根にさしかかっている。

斜めから日がさしかかってまぶしい。
単語の勉強
【四】狂わす【くるわす】 (動五)
1、(考えや物事の状態を)普通でなくする。正確さを失わせ
る。
 気を狂わす。
 時計をわざと一時間狂わす。
2、(予定していたことなどを)はずれさせる。変更する。
 列車のダイヤを狂わす。
 敵の作戦計画を狂わす。
文法・表現の勉強
【一】
気がしてならない (連語)
慣用句「気がする」の活用形「気がして」に「ならない」の付いたもの。
また、自発動詞および感情を表す形容詞の連用形に接続助詞「て」の
付いたものを受けて、どうしてもそうなる状態を表す。「~てたまらない」
の意。



見た目コカコーラなんですけど、なんだかクスリを飲まされている気
がしてならないです。
どうも週明けの月曜日に雨の日が多い気がしてならない。
最近妙に忙しい気がしてならなかったが、友人に相談してみたとこ
ろ、やっぱりちょっと尋常じゃない忙しさといえるらしい。
文法・表現の勉強
【二】動詞連体形+かのようだ




動詞の連体形を受け、実際はそうでないのに、そうであるかのよ
うに振舞ったり、感じたりする様子を表す。事実と矛盾したり、仮想
的な事柄をたとえに挙げて言う場合が多い。
海の中でゆらゆらゆれる月は、まるで私の恋をそのままの形で映
しだしたかのようだ。
雨は何かを洗い流すかのように、昨日一晩降り続いた。
雪は、彼を覆い隠すかのように、どんどん彼を白く染めてゆく。
ゴ ールデンウィークからこっち、そのまま初夏になだれ込んでしま
ったかのような、爽やかで明るい晴天の日和が続いていた。
文法・表現の勉強
【三】 動詞連体形+ことなき+体言



「ことなき」は「ことがない」の意味である。「なき」は否定を表す形
容詞「なし」の連体形である。前に来る動詞の示す事態がないとい
う意味を表す。
橋本治先生の言うように「社会の寄生虫」がインテリなら、私は紛
うことなきインテリである。
たゆむことなき地道な行動力と忍耐力で徹底した力を発揮する。
何ものにも屈伏することなきその精神をまのあたりにして、われわ
れは深い感動を禁じ得ない。
文法・表現の勉強
【三】 動詞連体形+ことなく




書き言葉で、「~ないで」や「~ず(に)」という意味に近いが、また「
そうする/そうなる可能性もあるが、そうしない/そうならない」とい
う意味あいで使われる。/不…。没有…。
彼らは、限られた時間を無駄にすることなく、勉強にまたそのほか
のさまざまな活動に情熱を燃やし、充実した日々を送っている。
鑑真はふたたび、故郷の唐へ帰ることもなく、十年ほど経ってから
、その寺(唐招提寺)で一生を終わりました。
迎え入れてくれる海を目ざして、迷うことなく道を急いでいた。それ
はヤドカリの自由への逃走(とうそう)であった。/毫不犹豫地赶往
迎接自己的大海,那是寄居蟹通往自由的大逃亡。
文法・表現の勉強
【四】 なり(に)




ある状態がそのまま持続している意味を表す。「~したまま」に言
い換えられる。動作動詞の場合は「~たなり(に)」の形、状態動詞
の場合は「~ているなり(に)」の形で用いられる。やや古めかしい
言い方。
住民の反対に遭って、工事は中断されたなり解決のめどもついて
いない。
お辞儀をしたなり何も言わずに部屋を出て行った。
知ってれば知ってるなりに、知らなければ知らないなりに書くこと。
帰りも例の事故の影響があったが、混んでるなりに楽に帰ること
ができた。
練習
【一】本文の内容に基づいて、次の質問に答えなさい。
『季節』について






筆者の「解放感」とは、どこからの「解放感」なのか。具体的に述べ
なさい。
「文明の発達度が低い証」を説明しなさい。
「自然を克服する」ことについて、筆者はどういう主張なのか。その
理由を述べなさい。
「人間は歴史の皮肉」とは、文章の中でどういうことを意味するか。
筆者は「春を楽しむ」ということをどのように実感しているか。
「自然と人間の関係をつなぐものの一つに、」という表現から何が感
じられるか。
練習
『ヤドカリ』について







ヤドカリの「自由への逃走」とは、何を意味するか。
「何度か躊躇した後で」とあるが、筆者は何を躊躇したのか。
筆者はヤドカリの逃走に「羡望の思いを持っていた」理由は何か。
「ブラックボックス」「空白の円」という比喩は何を意味するか。
「ドーナツ」という比喩は何を意味するか。
「しだいに真ん中の空白は……ような気がする」とあるが、筆者は
何を言いたいのか。
「人間の持つ本質的な悲しさ」とは、どういうことか。
練習
【二】次の日本語を中国語に訳しなさい。
1、春になって木や草や鳥や虫たちがいっせいに活動しは
じめるさまは、まるで土や大気や水の中から命が湧きだ
してくるかのようだ。そのころ山里の人々の活動も始まっ
ていて、自然が生命活動を閉じる晩秋に山里は静寂を
迎える。
( 春天到了,草木虫鸟一起活动起来,那情形仿佛
生命从土地、大气、水中喷涌而出。这时节,山里的人
们也开始劳作。时至晚秋,生命凋敝,山里也迎来了寂
静。 )
練習
【二】次の日本語を中国語に訳しなさい。
2、文明の発達度が低いほど、季節として現れる一年の時
間の流れと人間の暮らしが調和していたというのは、人
間の歴史の皮肉でもある。いや、それ以上に人間たち
はいまでは、季節という時間の流れを克服した自然をつ
くりだそうとしているのかもしれない。
(越是文明程度低,人类生活和四季的变迁反而越
步调一致,这是对人类历史的讽刺。如今,人类甚至在
试图创造一个突破四季约束的自然。 )
練習
3、昔の人々と同じように、生命がわき上がってくる春を楽
しむ。自然と人間の関係をつなぐもののひとつに、四季
という時間の流れがあることを、そのとき私たちはあらた
めて再発見しているのである。
( 像过去的人们那样,体味生命萌芽的春季。那一
刻,我们再度发现,在联系自然与人类的纽带中,还有
四季的变更。)
練習
4、海岸に立つと、夏の太平洋の香りの強い浜風が僕の服
をバタつかせた。かつてよくサザエ取りに訪れた岩場ま
で来ると、ヤドカリは渾身の力を振り絞って僕の手を押し
ひろげた。そうして岩の上へと飛び降りていった。体じゅ
うに波を浴びて、岩陰に隠れ去っていった。
( 站在海边,太平洋夏日的熏风扑面而来,吹得衣服
“哗哗”作响。来到曾经常拾海螺的岩石滩上,寄居蟹便
全力“推开”我的手,跳到岩石滩上,全身沐浴着海水,
便躲藏到岩石底下去了。 )
練習


5、季節と付き合い、やりすごしながら、季節に助けられ
て暮らす生活を忘れることは、自然を忘れることである。
(我们是在季节变化中生活的,并受到季节的恩惠。忘
记这种生活就是忘记自然。)
練習


6、人間が肉体的に生きている、それは自分の生命のバ
ランスがまだ保たれているということである。
しかしそれもまた人間の悲しさであった。僕の体に与え
られたさまざまな出来事が、体を狂わしていく。しかし人
間の体は狂っていくなりに、それでも生きようとする自然
の力が働いて、体の中に錘(おもり)をつくり骨を曲げて
、生きるためのバランスをとりつづけていくのである。屈
折を重ねながら、どんなにみじめな状態でも人の体は生
きていこうとする。
練習


(人肉体还活着,这只是指还维持着生命的平衡。
然而,这也是人类的悲哀,发生在我身上的种种事情让
我身体失常。然而,人类失常的身体却有一种求生的自
然力量,在体内制造重物,压弯骨头,以此取得生存的
平衡。无论经历什么挫折,无论在多么悲惨的状态下,
人的身体都要顽强地生存下去。)
本文の内容について考えよう
『季節』


文明の発達と人間の暮らし方の関係に関する筆者の考え方を読み
取ってみよう。
自然と人間の関係の立場から、筆者の「近代文明」への批判意識
を理解してみよう。
『ヤドカリ』


文体の特色、特に擬人法のもたらした効果を考え
てみよう。
ヤドカリと現代の人間とはどのように対比されて
いるか、考えてみよう。