高级日语Ⅱ 第7课 文章について 芳賀 綏 授業の内容 ●作者について ●本文の解説 ●単語の勉強 ●文法・表現の勉強 ●練習 ●本文の内容について考えよう 作者について 熊本県熊本市出身。1953年東 京大学文学部卒業。1957年東 洋大学助教授、藤女子大学助 教授、法政大学助教授、東京 工業大学教授、1992年定年退 官、静岡県立大学教授。その 間西独ルール大学客員教授、 NHK部外解説委員。保守派的 な立場での政治評論も多く書い た。 芳賀 綏(はがやすし、1928年 - ) 本文の解説 【一】「翻って思うに」「また思うに」: ここの「に」は格助詞ではなく、古文の接続助詞で、主に文 章表現に使われる堅い表現。意味は「~と」と似ている。現 代語では「思うに」「考えるに」「言うに」「要するに」など、い くつかの慣用的表現に使われるだけ。 本文の解説 ★思うに、国際情勢は悪化の一途をたどっている。 ★考えてみるに庶民のための政治は当分望めそうにない。 ★私が考えるに、この案には問題がある。 ★その男が言うには、歓待を受けて、いつまでもここで暮し てはどうかと勧められたそうです。 本文の解説 【二】「恐るべく」「隠すより現る」: 「恐(おそ)る」も「現(あらわ)る」も古文の下二段活用動 詞で、意味はそれぞれ現代語の「恐れる」「現れる」と同 じである。このような古形は現在、主に新聞記事の題や 諺に使われるだけ。 本文の解説 ★朝小編集部に忍者現る!?(朝日小学生新聞) ★女探偵登場す (姿なき女・高木彬光) ★「敵艦見ゆ」(NHK SPドラマ「坂の上の雲 第3部」第12回) ★後生畏る可(べ)し。(諺) ★天は自ら助くるものを助く。(諺) 本文の解説 【三】「恐るべく、慎むべきことである」: 「~べきで、~べきことである」という言い方もあるが、微妙 に意味が違うことに注意。 本文の解説 べき (助動)〔助動詞「べし」の連体形〕 推量の助動詞「べし」の残存形として,現代語でも次のように 用いられる。 (1)当然のなりゆき,あるいは,そうなるはずの事柄を述べる。「 いま満開のこの花もやがては散る〈べき〉運命にある」「最近 における少年犯罪の増加は恐る〈べき〉ことだ」 (2)〔「べきだ」「べきである」などの形で〕 義務づける意味を表す。「この件についての責任はすべて幹 部がとる〈べき〉だ」「無責任な批判はなす〈べき〉ではない」 (『大辞林』) 本文の解説 【四】「内にあふれるものが行間に読み取れることもある代 わりに、内に何が欠けているかが見えすいて、読者を寒々 とさせることもある。」 一度中国語に翻訳してみるとよく分かるように、中国語では 「A+A」型の繰り返し表現を多用するのに対して、日本語は より頻繁に単語や表現を変える。 本文の解説 もう一つの実際例: ★人との結びつきの最も強い鳥が住みにくいところは、人間 にとってはどうなのか。あなたの町のツバメは、どんな生活を しているかに目を向けることから見えてくるかもしれない。食 べているもの、食べ物を探している場所、水はどこで調達して いるか。こんな所からツバメの目からあなたの町がどのように 見えるか分かるであろう。(标准日本语中级 下册 第三十二 课 ツバメ) 它们在吃什么东西?在哪找食物?怎样找水? 本文の解説 【五】「貧困」と「貧乏」: 【貧困】[0] (名・形動)[文]ナリ (1)まずしくて生活に困っている・こと(さま)。 「―家庭」「―な生活」 (2)必要なもの,大事なものがとぼしいこと。また,そのさま。 「―な発想」「政治の―」 本文の解説 【貧乏】[1] (名・形動)スル[文]ナリ 財産や収入が少なく,生活が苦しい・こと(さま)。 「―な暮らし」 「―所帯」 「若くて―していた頃」 本文の解説 【六】「業(ごう)」の意味:(『大辞林』による) (1)〔仏〕〔梵 karman〕 身体・言語・心による人間の働き・行為。行為は必ずその結 果をもたらし,また現在の事態は必ずそれを生む行為を過去 に持っているとする思想は,インド思想に広く見られる。カル マ。羯磨(カツマ)。 ⇔果報 (2)人が担っている運命や制約。主に悪運をいう。 「~が深い」 (“罪孽深重”ー『小学館・日中辞典』による) 本文の解説 【七】「甘え」: 『大辞泉』: 人の好意をあてにする気持ち。 「考え方に―が残る」 本文の解説 オフィスでカラードキュメントを扱うことが多くなり、従来のモ ノクロ機からカラー機への転換をお考えのお客様が多い。し かし、1色でなく4色の画像を作るための機構はより複雑で、 従来のカラー複合機ではモノクロ機と同じウォームアップタ イムにはならなかったのだ。 「カラー機だから、という甘えを捨てなければいけないと思い ました」と稲葉(注:リコー社企画スタッフ)。 本文の解説 吃音(きつおん)は特定の遺伝子で遺伝するという根拠を 説明してみろ。 その思い込みと甘えを捨てなければ、吃音はなおらない ぞ。 本文の解説 【八】「小さくしていくよう心掛けたい」: ここの「たい」は: 「ある」「である」「なさる」「くださる」や尊敬の助動詞「れる」 「られる」に付いて、他に対する希望・要求を表す。 →『大辞泉』 「れ・られ」「なされ」などの敬語に付けて)相手の行為に対 する希望をあらわす。文章語の用法。…してほしい、また、 …であってほしい。 →『国語大辞典』 本文の解説 ★別表を参照されたい。 ★正直者がばかを見ない世の中でありたい。 ★この件について再検討されたい。 本文の解説 【九】「『言語不信』などと言う人に限って…」 「限って」:(至少;偏偏) 特にそれと限定する意を表す。…だけは。…だけ特に。 ★うちの息子に―そんなことはしない。(~に限って言えば) ★彼に―嘘をいうはずはない。 ★こんな時に―外出している。 ★彼って忙しいときに― 、会社を休むんだね。 ★彼はいつも家にいるのに、今日に―留守だった。 ★努力しない者に― 、失敗した時、人のせいにしたがるものさ。 本文の解説 類似表現に「~に限り」があり、意味が違うのに注意。 ★女性同伴に限り半額にサービスするっていうのは、男女 平等に反すると思わない? ★本日に限り、先着五十名様にコーヒーを無料サービスい たします。 単語の勉強 【一】「投ずる」:(古)投ず 古文のサ変動詞で、現代語の口頭表現では普通それに対 応する上一段活用動詞「投じる」を使う。 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 とうぜ とうじ とうず とうずる とうずれ とうぜよ 単語の勉強 【分類】: このようなサ変動詞には主に二つの種類がある。 一、漢字一文字で、その発音が撥音で終わるもの 感ずる 散ずる 禁ずる 信ずる 歎ずる 訓ずる 混ずる 難ずる 陳ずる 案ずる 判ずる 任ずる 単語の勉強 二、漢字一文字で、その発音が長音で終わるもの 投ずる 通ずる 乗ずる 応ずる 映ずる 長ずる 講ずる 詠ずる 動ずる 報ずる 生ずる 命ずる 単語の勉強 【二】「歴然」: 昔の古文の「たり」形容動詞、現代語では「タルト 形容動詞」とも言われる。次のようなものがある。 一、漢字一文字+「然」: 悠然 嫣然 依然 愕然 泰然 断然 平然 呆然 単語の勉強 二、漢字の繰り返し 堂々 煌々 淡々 滔々 坦々 濛々 燦々 茫々 単語の勉強 三、中国の所謂「連綿詞」: 荒涼 暗澹 蒼茫 宛転 惨憺 汪洋 安閑 矍鑠 単語の勉強 四、漢字一文字+「乎」: 確乎 断乎 五、漢字一文字: 杳 頑 主 恬 文法・表現の勉強 【一】「べく」: 文語の推量助動詞「べし」は現代語にも意志、当然、可能 など、色々な意味で使われている。 ★これは、皆様のお肌に合わせるべく、長年の研究によっ て完成した、高級化粧品でございます。 ★あの人は科学者になるべくしてなったような人だ。頭もよ いし、勤勉で、少しもたゆまない根気の持ち主だ。 ★少ない出張費では、飛行機で行くよう贅沢は望むべくも なかった。 文法・表現の勉強 【二】「~つもり」: 状態を表す言葉の後に付く「~つもり」は「自分で 勝手にそう思う・考える」のような意味で、動作を表 す動詞の後に付く場合とまったく違うので要注意。 文法・表現の勉強 ★この物置小屋に立派なマンションのつもりで住みついた。 ★私はよく彼の心を見抜いていたつもりだったが、騙されて しまったとは。 ★面白いつもりで冗談を言ったのに、誰も笑ってくれなかっ た。 ★彼は宝くじに当たらなかったつもりでその大金をガン研 究センターに寄付した。 練習 次の括弧に適当な表現を入れなさい。 行くなら 行ったら 1、今度京都へ__友達に会います。 2、__勝手に行って来なさい。俺は此の部屋で寝てる。 3、京都へ__一二月だ。 4、フランスへ__、俺のために、向うの労働運動を調べて みてくれ。 本文の内容について考えよう ●「文章を書くことは恐ろしい」のはなぜか。 ●「隠すより現る」の意味を説明してみなさい。
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