現代日本語

高级日语Ⅲ
第9课
手作り幻想
川田順造
授業の内容
●背景知識
●単語の勉強
●文法・表現の勉強
●本文の解説
●練習
●本文の内容について考えよう
背景知識
作者について
川田順造(かわだ じゅんぞう)、1934年東京生ま
れ、東京大学教養学部教養学科文化人類学分科
卒業、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。
パリ第5大学でアフリカ研究では日本人として初め
て博士号を受ける。東京外国語大学アジア・アフリ
カ言語文化研究所教授、広島市立大学国際学部
教授を経て、現在 、神奈川大学大学院歴史民俗資
料学研究科教授、神奈川大学日本常民文化研究所
所員。主な著書に『マグレブ紀行』『曠野から――ア
フリカで考える』『無文字社会の歴史『 サバンナの音
の世界』などがある。
背景知識
餅 つ き
背景知識
臼
背景知識
餅 つ き
背景知識
餅
単語の勉強
【一】 いたちごっこ (名)
2人が互いに相手の手の甲をつねって自分の手をその
上に載せ、「いたちごっこ、ねずみごっこ」と唱え、交互に繰
り返す子供の遊戯。転じて、元来冶まつているべき両者の
関連が調和を欠き、事あるごとにエスカレ一トして対抗を繰
リ返すという悪循環。つまり、双方が同じ事を繰り返すばか
りで無益なことを表す。
○ コンピューターのウイルス作者とアンチウイルス・ベン
ダーのいたちごっこは当分続く。
単語の勉強
○ ウイルスとウイルス撃退のいたちごっこの様子は、畑
の現場での害虫と新しい農薬のいたちごっこに似ていて
、農家のオヤジの世間話を思い出します。
○ 注意をすると翌日にはやりませんが、また新たなことを
やるので、諸注意はまるでいたちごっこです。
単語の勉強
【二】 富める【とめる】 (動下一)
文語表現。文語四段活用の動詞「富む」の已然形(一説
に命令形)の「富め」に、完了、存続の助動詞「り」の連体形
「る」が付いたもの。連体詞的に働くことが多い。「富んでい
る……」の意。
○ 日本は今や富める国の仲間入りをしていますが、以前は違いまし
た。
○ 貧しいか富めるかということは、やはり金銭や物の多少によっては
、決められないものでありましょう。
○ バブル崩壊から十数年、世界は富める者と貧しき者の二極分化が
急激に進み、日本もまたその例外ではなかった。
単語の勉強
【三】さく【割く・裂く】 (動五)
1、一部を分けて、ほかの用途に当てる。
○ 忙しい中から貴重な時間を割いて出席してくれた。
2、刃物などで切り割る。引っ張って離す。
○ 包丁で魚を二つに割く。
3、関係している二人の人間を無理に隔てて関係
させないようにする。
○ 生木を裂くように二人の仲を裂く。
○ 兄弟の仲を裂く。
単語の勉強
【四】 張り【はり】 (名)
1、引っ張る力。またその程度。
○ この弓ははりが強い。
2、たるみがなく、引き締まっていること。
○ 彼の声ははりがある。
○ 近ごろ肌にはりがない。
3、(自分の行動に張り合いや手ごたえを感じて)心が引き
締まり、勢いを待つ状態。
○ 前より仕事にはりがでてきた。
○ 息子をなくして、すっかり心のはりがなくなった。
文法・表現の勉強
【一】 ~ようでいて
「見かけではこのような印象だが」という意味を表す。「一見/見かけ
は~ようで、実際は~」などとなることが多く、実際の性質は異なってい
ることを表す。「~ようだが」ということもある。
○ 一見ノンフィクションのようでいて、実はフィクションである、といった
不思議な味わいの短篇である。
○ ポケットに入れて持ち歩けるハーモニカは、まるでおもちゃのようで
いて、聴く人の心をゆさぶる素晴らしい楽器です。
○ 普段はおとなしいようでいて、いざとなるとなかなか決断力に富ん
だ女性だ。
文法・表現の勉強
【二】 動詞未然形+ずして
慣用的で文語的表現である。「~しないで」という意味を
表す。
○ 飛行機が無事に着陸すると、乗客の中から期せずして拍手が湧き
起こった。
○ 「棚からぼた餅」とは、思いがけず、労せずして幸運が舞い込んで
くるという意味である。
○ 敗けて元々、勝訴すれば、労せずして大儲けができる。
○ 貴殿は、みかんの粒数を皮を剥かずして簡単に知ることのできる
方法をご存知だろうか。
文法・表現の勉強
【三】 ~どころではない(「Nどころではない」「V~ているど
ころではない」)
そのような活動ができる状況、場合ではない。
○ この一か月は来客が続き、勉強どころではなかった。
○ こう天気悪くては海水浴どころではない。
○ 仕事が残っていて、酒を飲んでいるどころではないん
です。
練習
【一】本文の内容に基づいて次の質問に答えよう。
○ 現代の「手仕事」「手作り」の盛況の要因を述べてみなさい。
○ 産業化社会や技術の高度化によってもたらされた弊害を、具体的
に述べなさい。
○ 「労働における人間の疎外」とはどういう意味か。
○ 「池の底から水面の喧躁を見上げるような気持ち」とは・具体的に
どのような気持ちなのか。
○ 「時代の全般的な精神衰弱」とあるが、このことばに込められた筆
者の主張をまとめてみなさい。
練習
【二】次の日本語を中国語に訳しなさい。
1、 現実に存在する物質上の不平等がもたらす不幸、量
産が可能にした豊かな物質生活と労働における人間
の疎外との軋轢は、社会体制を越えた、工葉化の不
徹底な過渡期の現象であると言えるのだろうか?
( 一方面,现实存在的物资上的不平等带来不幸;
另一方面,量产使富足的物资生活成为可能,也将
人工劳动排斥在外。这些问题能否说是超越社会
体制、工业化尚不彻底的过渡期特有的现象呢?)
2、変化の激しい日本に戻った当初の私が、うろたえさせら
れることの多かった中で、些事ながら今も忘れないのは
、年の瀬で雑踏する東京の街を歩いていて、食品売り場
で「杵つき餅」と大書したビラが目に入ったときの、いぶ
かしさの混じった驚きの気持ちだった。
(刚刚回到巨变的日本时,很多事情令我诧异。其中有
一件事虽小却至今难忘。走在年末熙熙攘攘的东京街
头,忽然,食品专柜张贴的“杵捣年糕”几个大字映入眼
帘,我简直不敢相信自己的眼睛。)
練習
3、 蒸籠の湯気のこもった土間に臼を据え、松薪でも割る
ような張りのある杵の音と、こね取りの掛け声もろとも
つき上がる、私の少年時代にまだあった餅は、辛味餅
にしても、のし餅にして雑煮に作っても、粘りからして
違ったものだ。
(弥漫着蒸笼水汽的泥地屋子里,摆放着一台臼,劈材
般刚劲有力的杵捣声,揉和年糕的伙计们的吆喝声,
此起彼伏——这已是儿时的情景。那时的年糕,无论是
咸味小年糕,还是切成大片绘年糕,黏劲绝对不一样
。)
4、 だが、期待の後の失望から私が邪推せずに
いられなかったのは、手作りだからこそ手を抜い
てあるのではないかということだった。
(可期待落空之后的失望,令我不禁往坏处猜
测,会不会因为手工制作,就偷工减料呢?)
練習
5、かくて、押し戻しようもない流れの中で、感傷的に夢想
され求められる「手作り」が露呈するのは、一方では「
手作り」という名目の悪しき商品化であり、他方では、
かつての手仕事の社会的な意味がはがれ落ちたあげ
句の骨董化なのである。
(人们就这般,在这无法倒退的大潮中,一味感伤地追
逐、幻想“手工制作”。最终暴露的,一是“手工制作”
名义下无法掩盖的商品化潮流,二是完全丧失传统“
手工制作”的社会意义的一种复古潮流。)
6、手仕事の問題も一つの現れにすぎないこうした
時代の全般的な精神衰弱に直面して、私たちが
今、自分たちの文化と思い込んでいるものの身
のあかしを、時間をさかのぼって、いくらか執念
深く追究してみることも意味があろう。
( “手工制作”的问题,不过是现代社会全民精
神衰落的一个体现。直面现状,带着几分执着,
追溯历史,试图为我们深信的自己文化验明正
身,也不乏意义。)
本文の内容について考えよう



「手仕事」の問題が文化全体の問題になっていることを
把握してみよう。
本文の対比的な構造を読みとり、論旨を理解してみよう
日本社会のあり方について考えてみよう。