熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 日本における有機酸代謝異常症と尿素サイクル異常症の 管理に関する研究 Author(s) 藤澤, 大輔 Citation Issue date 2016-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/34545 Right 藤 澤 大 輔 氏 の 学 位 論 文 審 査 の 要 旨 論文題 目 日本 に お け る 有 機 酸 代 謝 異 常 症 と尿 素 サ イ ク ル 異 常 症 の 管 理 に 関 す る 研 究 (Investigation of the management of organic acidemias and urea cycle disorders in Japan) 先 天 性 代 謝 異 常 症 の 中 で 頻 度 の 多 い メ チ ル マ ロ ン 酸 血 症 と プ ロ ピオ ン 酸 血 症 に 関 して 、 タ ン デ ム マ ス ・ス ク リー ニ ング が 広 く普 及 す る 以 前 の 現 状 を 明 らか に す る と と も に 、選 択 的代 謝 ス ク リー ニ ン グ に よ り新 生 児 期 の 代 謝 管 理 を 行 っ た オ ル ニ チ ン トラ ンス カ ル バ ミ ラ ー ゼ(OTC)欠 損 症 の 家 系 に つ い て 検 討 す る こ と に よ り、本 邦 に お け る 有 機 酸 代 謝 異 常 症 と尿 素 サ イ ク ル 異 常 症 につ い て の 管 理 の 現 状 と 問 題 点 を 明 らか に しそ れ らの 疾 患 の 予 後 につ いて 検 討 す る こ と を 目的 と した 。 有 機 酸 代 謝 異 常 症 を 診 察 し得 る 全 国 の928施 経 験 が あ る と 回 答 した201施 に 、 前 述 の41施 設 に質 問 状 を 送 付 し、ア ンケ ー ト調 査 を施 行 した 。診 療 設 に二 次 調 査 を 実 施 し詳 細 な 情 報 を41施 設 よ り得 た 。 さ ら にそ の3年 後 設 に 対 して 追 加 調 査 を 実 施 し 回答 を 解 析 した 。 ア ン ケ ー ト集 計 の 結 果 、119名 の 有 機 酸 代 謝 異 常症 患 者 の 臨 床 情 報 が 得 られ た 。 メ チ ル マ ロ ン 酸 血 症 が 最 も 多 く65名 で あ り、 次 に プ ロ ピオ ン酸 血 症 が30名 メ チ ル マ ロ ン酸 血 症 が69.8%、 が95.8%で あ った 。 総 計17名 ビタ ミ ンB12反 で あ っ た 。20年 生 存 率 は ビタ ミ ンB12不 応 症 メ チ ル マ ロ ン酸 血 症 が94.4%、 が 死 亡 し、 う ち13名 応性 プ ロ ピオ ン 酸 血 症 は メ チ ル マ ロ ン酸 血 症 患 者 で あ っ た 。 成 長 障 害 、 低 血 糖 、膵 炎 が 本 症 の 死 亡 症 例 と 関 連 して い た 。 本 調 査 は 、 タ ンデ ム マ ス ・ス ク リー ニ ング が 広 く実 施 され る 以 前 の 状 態 を 反 映 して お り、各 疾 患 の 割 合 は 今 後 の 新 生 児 ス ク リー ニ ン グ の 変 遷 によ り変 化 す る もの と考 え られ る 。 ま た ス ク リー ニ ング が 広 く 実 施 され る 以 前 で は 、 生 涯 にわ た り発 症 す る こ との な い 最 軽 症 の 症 例 数 は あ ま り含 ま れ て い な い 可 能 性 が 考 え られ た 。 メ チ ル マ ロ ン 酸 血 症 の 予 後 は 、移 植 医 療 を 含 む 安 全 な 長 期 管 理 に よ りま だ 改 善 の 見 込 み が あ り、成 長 障 害 を 来 す 蛋 白制 限 を 可 能 な 限 り短 期 間 と す る こ とで 予 後 改 善 に繋 が る 可 能 性 が あ る と 考 え られ た 。 審 査 で は 、1)タ ン デ ム マ ス とGCマ 症 の 診 断 の 手 が か り、3)新 ス の 違 い 、 感 度 、 特 異 度 、 改 良 す べ き 問 題 点 、2)OCT欠 生 児 型 、 間 欠 型 、 遅 発 型 が あ る 理 由 、4)胎 発 症 者 の 治 療 の 意 義 と 必 要 性 、6)phenotype、genotypeが 子 、 因 子 関 与 の 可 能 性 、7)統 の 臨 床 症 状 と の 関 連 、10)移 損 児 診 断 の 可 能 性 、5)未 一 致 しな い理 由 の 説 明 と して 修 飾 遺 伝 計 学 的 手 法 の 妥 当 性 、8)本 調 査 の 回 答 率 の 妥 当 性 、9)VitB12 植 治 療 の 現 状 な ど に つ い て の 質 疑 が な さ れ 、 申 請 者 よ り概 ね 的 確 な 回答 が な され た 。 本 研 究 の 結 果 、タ ン デ ム マ ス ・ス ク リー ニ ン グ 普 及 前 の 患 者 の 実 態 や 治 療 、予 後 な ど の 実 態 が 明 らか と な り、 今 後 の 診 療 や 研 究 に 示 唆 を 与 え る 結 果 が 得 られ た 。 本 研 究 は有 機 酸 代 謝 異 常 症 と尿 素 サ イ クル 異 常 症 へ の 選 択 的 代 謝 ス ク リー ニ ン グ の 普 及 が 、 未 発 症 患 者 、 発 症 早 期 患 者 へ の 早 期 治 療 介 入 を 可 能 と し 得 る こ と を 明 らか に した 重 要 な 研 究 で あ り、 学 位 に相 当 す る と 判 断 され た 。 審査委員長 神… 学担当教授を 蜘 均喜 雄
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