熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title アクチビンは胚性幹細胞から造血性内皮細胞への分化を 促進する Author(s) 廣田, 冴香 Citation Issue date 2016-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/34622 Right 廣 田 冴 香 氏 の学 位 論 文 審 査 の 要 旨 論 文題 目 ア ク チ ビ ン は 胚 性 幹 細 胞 か ら造 血 性 内 皮 細 胞 へ の 分 化 を 促 進 す る (Activinfacilitateshemogenicendothelialcelldifferentiationfromembryonicstemcells) マ ウス の個 体発 生 に お い て は 、成 体 型 造 血幹 細 胞 は 、胎 生10 .5日 目に.・.-gonad-mesonephros(AGM)領 域 の背 側 大 動 脈 に存 在 す る造 血 性 内皮 細 胞 か ら発 生 して くる。 こ の造 血 性 内皮 細 胞 は 、側 板 中胚 葉 細 胞 由来 で あ る。 これ らの血 液 細胞 の 発 生 経 路 は、 マ ウス胚 性 幹(ES)細 胞 とOP9ス トロー マ 細胞 との 共 培 養 に よ る分 化 誘 導 に よっ て再 現 す る こ とが で き る。い くつ か の増 殖 因子 が側 板 中胚 葉 細胞 の発 生 に 関 わ る こ とが 知 られ て い る。 そ の 中 の1つ ア クチ ビンAは 中胚 葉 誘 導 や 内胚 葉 誘 導 に使 用 され るが 、造 血 発 生 に対 す る効 果 は これ ま で の報 告 で は 、培 養 条件 に よ り異 な る。本 研 究 はOP9ス チ ビンAが トロー マ 細胞 とES細 胞 の 共 培 養 で ア ク 血 管 内皮 細 胞 の 血 液 細 胞 分 化 能 力 に与 え る影 響 に つ い て解 析 した。 ア クチ ビンA存 在 下 でES細 胞 をOP9ス トロー マ 細 胞 上 で分 化 誘 導 す る と、CD41+内 皮 細 胞 の 分 化 が促 進 され た 。CD41+内 皮 細 胞 は 、CD41一 内 皮 細 胞 に比 べ 著 し く高 い血 液 細 胞 分 化 能 力 を示 した。 ア クチ ビ ンA は、Flk-1+PDGFRα+(F+P+)未 分 化 中胚 葉 細 胞 とFlk-1+PDGFRα れ らの 中胚 葉 細 胞 か らCD41+造 血 性 内皮 細 胞 が分 化 した。F+P+中 胚 葉 細胞 とF+P一 中胚 葉細 胞 を 、それ ぞ れ OP9ス 一(F+P-)側 板 中胚 葉 細 胞 を増 加 させ 、 こ トロー マ細 胞 と凝 集 体 を作 製 し培 養 した 結 果 、F+P+中 胚 葉 細 胞 は 多 くの 血 液 前 駆 細胞 に分 化 し、 そ の 動 態 は 二峰 性の パ ター ンを 示 した。 一 方 、F+P一 中胚 葉 細 胞 か らは 、 ご く少 数 の 血 液 前駆 細胞 しか発 生 し なか った。 ア クチ ビンAを 用 い て誘 導 され た 中胚 葉 細 胞 は血 液 細 胞 に分 化 しない とい う報 告 が あ る が 、本 研 究 で は ア クチ ビンAとOP9ス トロー マ 細 胞 の組 み 合 わ せ の 場 合 、 造血 性 内皮 細 胞 が 効 率 よ く誘 導 で き る こ とが 示 され た 。ま た 、ア クチ ビンAに よ って誘 導 され るFlk-1+中 胚 葉 細 胞 は 、血 液 細 胞 系 列 を発 生 させ る 複 数 の独 立 した 前 駆 細 胞 を含 む こ とが示 唆 され た。 この研 究 で 、 ア クチ ビ ンAはOP9ス 的 にFlk-1+中 胚 葉 細 胞 の発 生 を促 進 し、高 い血 液 分化 能 を示 すCD41+内 トロー マ 細 胞 依 存 皮 細 胞 を増加 させ る こ とが 明 らか と な り、ES細 胞 か ら造 血性 内皮 細 胞 を効 率 よ く分 化誘 導 す る の に有 用 で あ る こ とが示 され た と言 え る。 審査 で ぽ1)Primitiveとdefinitiveの い て 、3)ア クチ ビ ンAの 点 に っ い て 、5)OP9を どち らの血 球 が 出 現す るの カ\2)移 作用 機 序、標 的 分 子 につ い て 、4)ア 使 っ た理 由 に つ い て 、6)凝 ア ウ トの解 析 結 果 でFACSパ クチ ビンAの 植 実 験 のpositivecontrolにつ 濃度 に よ って 作 用 が 異 な る 集 体 を使 っ た培 養 方 法 につ い て 、7)SCLの ター ンが 正 常 と異 な る点 につ い て 、8)培 の方 法 で誘 導 した 血 管 内皮 細 胞 との違 い につ い て 、10)今 ノ ック 養 細 胞 の移 植 方 法 につ い て、9)他 後 どの よ うに研 究 を展 開 して い くか の プ ラ ン に つ い て 、等 、 多 角 的 な視 点 か ら質 問が 出 され 、 申請 者 か らは概 ね 適 切 な説 明 が な され た。 本 研 究 に よ っ て 、 多能 性幹 細 胞 か ら血 液 産 生 能 力 の あ る血 管 内皮 細 胞 を誘 導 す る に あ た りア クチ ビンA の役 割 が 明 らか とな っ た。今 後 、こ の知 見 を使 っ て の多 能 性幹 細 胞 か ら造 血幹 細 胞 を誘 導 す る方 法へ の応 用 を考 え る とき 、本 研 究 成 果 は 重 要 な知 見 とな り得 る。 以 上 よ り、 学 位 に値 す る と判 断 され た。 ぢ 審査委員長 幹糸 麟 鶉 鞭,L釈 須
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