熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title マクロファージ泡沫化阻害物質の探索 : 海綿から単離し たManzamineとBastadinの構造と活性 Author(s) 江口, 啓介 Citation Issue date 2015-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/32189 Right 江口啓介 論文題目 論文審査の要旨 マクロファージ泡沫化阻害物質の探索 -海綿から単離した Manzamine と B a s t a d i n の構造と活性- 審査内容 本論文は、ヒトマクロファージ泡沫化阻害活性を指標としたスクリーニングで得られ た海綿の抽出液から活性成分を単離・構造決定し、それらのマクロファージ泡沫化阻害 活性を評価した研究成果を記したものである 。 1 ) 単離した化合物の構造決定について c a n t h o s t r o g y l o p h o r ai n g e n sのエタノール抽出液 インドネシア近海で単離された海綿 A から 7種の化合物を、また、 l a n t h e l l ab a s t aのエタノール抽出液から 8種の化合物を単離 した。 NMR スペクトルをはじめとする機器データをもとに、それらの構造をすべて決 定することができた。 2 ) マクロファージ泡沫化阻害活性について 単離された化合物に関してマクロファージ泡沫化阻害活性の作用点を調べたところ、 マンザミン A が最も高い活性を持つことが分かつた。さらにそれが a c y l C o A :c h o l e s t e r o l a c y l t r a n s f e r a s e(ACAT)の酵素活性を抑制するためであることを明らかにした。 3 ) 研究の発展性について マンザミン A をアテローム性動脈硬化症モデルマウスに経口投与したところ、コレス テロール値の減少、さらにはモデルマウスの大動脈洞内膜のマクロファージによる肥厚 の著しい減少が観察された。 これは、将来的に、本化合物が ACAT-2特異的阻害剤とし てアテローム性動脈硬化症の治療薬開発研究に活用される可能性を示唆している 。 上記のように、本研究は、マンザミン類がマクロファージ泡沫化阻害活性を有すこと を初めて見出し、さらに、泡沫化のどの過程を抑制しているかを明確にしたという点で 非常に興味深いものである 。 従って、本論文は博士論文として十分に値するものと判断 した。 ロ 貝 委 査 審 審査委員 分子薬化学分野 教授 中島誠 生命分析化学分野 教授 森岡弘志 生体機能分子合成学分野准教授 藤田美歌子 ③総司 審査委員
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