2016年1〜3 期実質GDP(第1次速報値)について

2016年1〜3⽉期実質GDP(第1次速報値)について
―実質GDP成⻑率は前期⽐年率+1.7%と2四半期ぶりの増加―
―13⽇夜発表の消費総合指数と同様、個⼈消費はしっかりした伸び率に―
―政府経済⾒通し+1.7%達成に16年度各四半期・前期⽐年率+2.4%必要―
客員エコノミスト 宅森昭吉 コメント
●16年1〜3⽉期実質GDP成⻑率・第1次速報値は前期⽐+0.4%、前期⽐年率+1.7%と、
2四半期ぶりのプラス成⻑になった。住宅投資、設備投資は前期⽐マイナスになったが、個⼈消費が前期⽐+0.
5%とプラスの伸び率になったことや、純輸出の前期⽐寄与度が+0.2%とプラス寄与になったことを主因に増
加した。国内景気は緩やかな回復基調が続いていることを裏付ける内容になった。
●1〜3⽉期の名⽬GDP成⻑率は前期⽐+0.5%、前期⽐年率+2.0%と、こちらも2四半期ぶりの
プラス成⻑になった。
●1〜3⽉期第1次速報値でGDPの約6割を占める個⼈消費(⺠間最終消費⽀出)は+0.5%と、98
年以来の強いエルニーニョ現象による暖冬の影響で前期が落ち込んだ反動と、うるう年効果で、しっかりした伸び率
になったようだ。先週までは前期⽐微増という予測が多かったが、5⽉13⽇夜に発表された内閣府の消費総合
指数(GDP統計の実質個⼈消費に近い考え⽅で算出されている指数)で1⽉分が前⽉⽐+0.5%から
+0.6%に、2⽉分が同▲0.2%から+0.1%に⼤きく上⽅修正され、3⽉分が前⽉⽐▲0.1%
でも、1〜3⽉期の前期⽐が+0.4%になっていた。この時点で GDP の個⼈消費は予測対⽐上振れる可能
性がありそうなことは認識されていたとみられる。
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本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に
関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。
このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載
された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
最近の消費総合指数と⺠間最終消費⽀出の前期⽐の動き
⺠間最終消費⽀出(3/8)
消費総合指数(5/13)
(%)
⺠間最終消費⽀出(5/18)
2013年 1〜3⽉期
0.7
0.8
0.7
4〜6⽉期
0.9
1.0
0.9
7〜9⽉期
0.3
0.3
0.3
10〜12⽉期
0.0
0.1
0.1
2014年 1〜3⽉期
2.3
2.4
2.3
4〜6⽉期
7〜9⽉期
▲5.0
0.0
▲4.9
0.1
▲4.9
0.0
0.7
0.9
0.6
2015年 1〜3⽉期
10〜12⽉期
0.2
0.3
0.2
4〜6⽉期
▲0.8
▲0.8
▲0.8
7〜9⽉期
0.4
0.4
0.5
▲0.9
―
▲0.8
0.4
▲0.8
0.5
10〜12⽉期
2016年 1〜3⽉期
(出所)内閣府
●雇⽤者報酬の前期⽐は名⽬+0.6%、実質+1.3%と、名⽬は10四半期連続、実質は7四半期連
続で前期⽐増加となった。所得が伸びないことが消費の悪化要因だというようなコメントもあるが、GDPの雇⽤者
報酬の動きから⾒ると、所得の動向は個⼈消費の下⽀え要因になっているようだ。
●実質個⼈消費の内訳をみると、耐久財の前期⽐は+5.0%と2四半期ぶりの増加になった。半耐久財の前
期⽐は+0.7%と2四半期ぶりの減少になった。⾮耐久財の前期⽐は▲0.0%と4四半期連続の減少
になった。サービスの前期⽐は+0.2%と2四半期ぶりの増加になった。
●実質設備投資1〜3⽉期の前期⽐は▲1.4%と3四半期ぶりの減少になった。名⽬の前期⽐(季節調整
済み)は▲2.2%とこちらも3四半期ぶりの減少になった。名⽬の前年同期⽐は▲1.5%で11四半期ぶ
りの減少になった。
●供給サイドのデータに基づいて算出した、名⽬設備投資の供給側推計値の名⽬原系列前期⽐は+6.3%で、
需要側推計値(仮置き値)の名⽬原系列前期⽐は+25.7%であると公表された。法⼈企業統計が出たと
きに⽐較することで、16年1〜3⽉期実質GDP成⻑率・第2次速報値での設備投資予測の参考となる数
字だ。仮置き値より⾼めの伸び率になる可能性もあると考えられる。なお、法⼈企業統計の類似データと⾔われてい
る建設物価調査会・設備投資調査は12⽉調査(調査時点12⽉1⽇)の発表さえ⼤幅に遅れている。5
⽉中には発表したいとのことで、3⽉調査(調査時点3⽉1⽇)の集計はその後になるので、今回も法⼈企業
統計の予測などには使えない。
●実質住宅投資は前期⽐▲0.8%と、2四半期連続の減少になった。
●⺠間在庫投資の実質・前期⽐寄与度は▲0.0%だった。⺠間在庫投資の内訳をみると、製品在庫が前期⽐
寄与度▲0.1%、仮置き値の原材料在庫は前期⽐寄与度▲0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は▲
0.1%、残る流通在庫は前期⽐寄与度+0.2%だった。
(次⾴)
本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に
関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。
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された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
●実質政府最終消費は前期⽐+0.7%と7四半期連続増加。実質公共投資は、前期⽐+0.3%と3四
半期ぶりの増加だった。公的在庫投資の実質・前期⽐寄与度は0.0%であった。
●外需(純輸出)の前期⽐寄与度は+0.2%と3四半期連続のプラス寄与になった。実質輸出は前期⽐+
0.6%と2四半期ぶりの増加になった。財は前期⽐+0.8%の増加と10〜12⽉期に続いて⽇銀の実
質輸出と逆⽅向に動いた。サービスは前期⽐▲0.5%と2四半期連続の減少になった。輸出に計上されるイン
バウンド消費の前期⽐寄与度は+0.1%だった。実質輸⼊の前期⽐は▲0.5%と2四半期連続の減少に
なった。財に関しては前期⽐▲0.0%と2四半期連続の減少、サービスは前期⽐▲2.4%と2四半期ぶり
の減少になった。
●実質GDPに海外からの実質純所得と交易利得を加えた実質GNI(国⺠総所得)は前期⽐+0.3%の増加に
なった。6四半期連続の増加である。
●1〜3⽉期のGDPデフレーターの前年同期⽐は+0.9%で、9四半期連続プラスの伸び率になった。国内
需要デフレーターの前年同期⽐は▲0.5%と、3四半期連続マイナスの伸び率になった。⼀⽅、1〜3⽉期の
季節調整済み前期⽐をみると、GDPデフレーターは+0.1%で6四半期連続のプラス、国内需要デフレータ
ーの前期⽐は▲0.5%になった。マイナスは4四半期ぶりだ。
●15年の実質GDP成⻑率は+0.6%と2年ぶりのプラスの伸び率になった。15年10〜12⽉期第1
次速報値段階で+0.4%、第2次速報値段階で+0.5%だったので、発表の度ごとに上⽅修正されてい
る。
2016年度各四半期の伸び率と、実質GDP成⻑率との関係
(%)
2016年度各四半期
2016年度
1.5
4.0
1.0
2.7
0.9
2.5
0.8
2.2
0.7
2.0
0.6
1.7
0.58
1.7
0.5
1.4
0.4
1.2
0.3
0.9
0.2
0.7
0.1
0.4
0.0
0.2
▲0.5
▲1.1
*2016年1〜3⽉期第1次速報値現在
(出所)内閣府
(次⾴)
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●15年度実質GDP成⻑率は+0.8%と2年度ぶりのプラスの伸び率になった。政府⾒通し実績⾒込み+
1.2%の達成はできなかった。16年度の政府経済⾒通しは+1.7%。各4四半期前期⽐年率+2.
4%(前期⽐+0.58%)が必要だ。15年度から16年度へのゲタは+0.2%だ。
●16年度の実質GDP成⻑率は各四半期が前期⽐+0.4%なら、前期⽐年率+1.2%になる。4〜
6⽉期は熊本地震の影響で⾜踏み状態が続きそうだが、夏以降の持ち直しに期待したいところだ。
●6⽉8⽇に発表される1〜3⽉期第2次速報値では6⽉1⽇の法⼈企業統計の発表を受けて、設備投資や
在庫投資などを中⼼に改定されるので、法⼈企業統計の内容が注⽬される。
●法⼈企業統計では在庫投資の伸び率は名⽬の前年同期⽐で発表される。GDPの第1次速報値では在庫投
資・名⽬原数値・前年同期⽐寄与度は+0.1%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、
原材料在庫と製品在庫が前年同期⽐マイナス寄与だった模様だ。そのうち原材料在庫は⼤きなマイナス寄与だっ
たようだ。流通在庫と仕掛品在庫はプラス寄与で、流通在庫のプラス寄与度が⼤きかった模様だ。
(5⽉18⽇現在)
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