2016年4 分鉱 業 産指数・速報値について

-2016年4⽉分鉱⼯業⽣産指数・速報値について-
-4⽉分鉱⼯業⽣産指数・前⽉⽐+0.3%と熊本地震乗り越え2カ⽉連続増加-
-基調判断は「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」に据え置き-
-4〜6⽉期の鉱⼯業⽣産指数や実質GDPは前期⽐プラスの可能性⾼まる-
-景気動向指数・⼀致CIによる景気判断早ければ7/7に「改善」に上⽅修正も
-
客員エコノミスト 宅森昭吉 コメント
鉱⼯業⽣産指数
(上段*季調済前期(⽉)⽐、下段:前年同期(⽉)⽐、%)
2015年
1〜3⽉期
+ 1.1
▲ 2.3
2016年
1⽉
+ 2.5
▲ 4.2
2016年
10〜12⽉期
1〜3⽉期
+ 0.1
▲ 1.0
▲ 0.8
▲ 1.6
4〜6⽉期
▲ 1.3
▲ 0.8
7〜9⽉期
▲ 1.0
▲ 0.9
2⽉
▲ 5.2
3⽉
+ 3.8
4⽉P
+ 0.3
▲ 1.2
+ 0.2
▲ 3.5
4〜6⽉期
<+ 1.0>
-
5⽉
<+ 0.0>
6⽉
<+ 0.3>
-
-
・< >内は5⽉分先⾏き試算値最頻値前⽉⽐(0.0%)、6⽉分製造⼯業予測指数前⽉⽐(+0.3%)で延⻑した場合の試算値
(出所)経済産業省
(鉱⼯業⽣産)
●鉱⼯業⽣産指数・4⽉分速報値は様々なビックリポンをもたらす明るい内容になった。
●鉱⼯業⽣産指数・4⽉分速報値前⽉⽐は+0.3%となった。熊本地震発⽣にもかかわらず、2カ⽉連続の
増加である。前年同⽉⽐は▲3.5%と2カ⽉ぶりの減少になった。4⽉29⽇の祭⽇が⾦曜⽇になるなど、
曜⽇要因も前⽉⽐にプラスに働いた⾯もありそうだ。
●4⽉分の⽣産を業種別にみると、15業種のうち増加が7業種、横這いが1業種、減少が7業種だった。化学
⼯業(除.医薬品)、電気機械⼯業、はん⽤・⽣産⽤・業務⽤機械⼯業などが増加し、⾦属製品⼯業、輸
送機械⼯業、繊維⼯業などが減少した。
●前回の製造⼯業⽣産予測調査によると、4⽉分前⽉⽐は+2.6%増加であったが、熊本地震発⽣の影響
も加わり実現率は▲5.9%の下振れだった。製造⼯業⽣産予測調査ベースの4⽉分前⽉⽐は▲3.4%
の減少だった。予測調査対象外のところが底堅く、鉱⼯業⽣産ベースではしっかりだった感がある。
(次⾴へ)
本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に
関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。
このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載
された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
●今回の製造⼯業⽣産予測調査によると、5⽉分前⽉⽐は+2.2%、6⽉分は同+0.3%の⾒通しであ
る。
●経済産業省が公表している鉱⼯業⽣産指数の先⾏き試算値を経済産業省が公表するようになった。熊本地震
発⽣前の計算による4⽉分の前⽉⽐は最頻値で+0.8%だったので、0.5ポイントの下振れで済んだことに
なった。
●5⽉分の前⽉⽐は最頻値で0.0%、90%の確率に収まる範囲で▲1.0%〜+1.0%になる⾒通
しだ。
●先⾏きの鉱⼯業⽣産指数を、5⽉分先⾏き試算値最頻値前⽉⽐(0.0%)で、6⽉分を製造⼯業予測
指数前⽉⽐(+0.3%)で延⻑した場合、4〜6⽉期の前期⽐は+1.0%の増加になる⾒込みだ。
●4⽉分速報値の鉱⼯業出荷指数・前⽉⽐は+1.5%と2カ⽉連続の増加になった。鉱⼯業在庫指数は前
⽉⽐▲1.7%と2カ⽉ぶりの減少になった。鉱⼯業在庫率指数は115.7で前⽉⽐▲2.2%と2カ
⽉ぶりの低下になった。
●⼤きな動きをチェックするために、鉱⼯業全体での縦軸に在庫の前年⽐をとった在庫サイクル図をみると14年1
〜3⽉期では、出荷の前年⽐が+7.4%、在庫が同▲1.2%、と45度線を下回っていた。しかし、14
年4〜6⽉期では、在庫が前年同期⽐増加に転じ、出荷の前年⽐が+0.9%、在庫が同+3.1%、と
45度線を上回ってしまい、在庫積み上がり局⾯に⼊った。15年10〜12⽉期では、出荷の前年⽐が▲0.
8%、在庫が同0.0%、と近づいたものの45度線をやや上回った。16年1〜3⽉期でも出荷の前年⽐が
▲2.4%、在庫が同+1.8%だった。4⽉分では、出荷の前年⽐が▲3.6%、在庫が同+0.1%
と45度線を上回ったままとなっている。
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在庫サイクル図
15
鉱
⼯
業
在
庫
指
数
前
年
同
期
⽐
%
10
12年1-3月
15年1-3月
5
16年4月
0
-5
13年1-3月
13年10-12月
-10
-15
-15
-10
-5
0
5
10
15
鉱⼯業出荷指数 前年同期⽐%
(出所)経済産業省
本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に
関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。
このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載
された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
●経済産業省の基調判断は14年12⽉分で「総じてみれば、⽣産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」に3カ
⽉ぶりに上⽅修正された。15年1⽉分・2⽉分・3⽉分・4⽉分でも「総じてみれば、⽣産は緩やかな持ち直
しの動きがみられる」で据え置きだった。しかし、5⽉分では「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」に1
1カ⽉ぶりに下⽅修正された。「⼀進⼀退」の表現は14年11⽉分以来6カ⽉ぶりだった。6⽉分に続き7⽉
分でも判断は「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」に据え置かれた。8⽉分では14年8⽉分以
来の「弱含み」に下⽅修正され、表現は「総じてみれば、⽣産は弱含んでいる」となった。
●その後、15年9⽉分では「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」と上⽅修正され、7⽉分までの判
断に戻るという明るい結果になった。10⽉分・11⽉分・12⽉分・16年1⽉分・2⽉分・3⽉分に続き、
4⽉分でも「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」という判断で据え置きになった。
(4〜6⽉期のGDP予測)
●個⼈消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4⽉分の対1〜3⽉分平均⽐は+1.
9%の増加になった。⾮耐久消費財出荷指数は同+1.8%の増加だ。同じく供給サイドの関連データである
商業動態統計・⼩売業販売額指数の4⽉分の対1〜3⽉分平均⽐は+0.2%の増加だ。⼀⽅、需要サ
イドの関連データでは、家計調査・⼆⼈以上世帯・実質消費⽀出(除く住居等)の4⽉分の対1〜3⽉分平
均⽐は+2.8%の増加だ。乗⽤⾞販売台数の4⽉分の対1〜3⽉分平均⽐は+10.1%の増加だ。
GDP統計の実質個⼈消費と関連性が⾼い消費総合指数(⽉次ベース)の1〜3⽉期から4〜6⽉期⽐へ
のゲタは0.0%だ。まだ5・6⽉分について予断を持つことなく⾒る必要はあるが、4⽉分の好スタートから判断
すると、4〜6⽉期第1次速報値では個⼈消費の前期⽐はプラスの伸び率になる可能性が⼤きいだろう。
●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4⽉分の対1〜3⽉分平均⽐は+3.6%の増加になった。
資本財(除.輸送機械)は同+4.9%の増加である。また、建設財は同+1.0%の増加になった。供給
サイドから推計される4〜6⽉期第1次速報値の実質設備投資・前期⽐は4⽉分の好スタートのデータを⾒る
限りプラスの伸び率になる可能性が⼤きいとみられる。
●実質輸出⼊の動向をみると輸出の4⽉分の対1〜3⽉分平均⽐は▲0.6%の減少になった。輸⼊は同▲
5.0%の減少になっている。モノの4⽉分の動向だけからみると、4〜6⽉期第1次速報値の外需はプラス寄
与になりそうだ。
●8⽉15⽇に発表される4〜6⽉期の実質GDP第1次速報値・前期⽐は予想外にしっかりしたプラスの伸び
率になる可能性が出てきた。
(次⾴へ)
本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に
関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。
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(4⽉分景気動向指数予測)
●4⽉分の景気動向指数・速報値では、先⾏CIが前⽉差+1.4程度と2カ⽉連続の上昇になると予測す
る。速報値からデータが利⽤可能な9系列で、5⽉31⽇午前9時時点で数値が判明しているのは、最終需
要財在庫率指数、鉱⼯業⽣産財在庫率指数、新規求⼈数、消費者態度指数、⽇経商品指数、マネーストッ
ク、東証株価指数、中⼩企業売上げ⾒通しDIの8系列で、最終需要財在庫率指数、鉱⼯業⽣産財在庫
率指数、新規求⼈数、⽇経商品指数、マネーストック、中⼩企業売上げ⾒通しDIの6系列が前⽉差プラス
寄与に、消費者態度指数、東証株価指数の2系列が前⽉差マイナス寄与になることが判明している。残る新設
住宅着⼯床⾯積1系列の前⽉差はマイナス寄与になると予測した。
●4⽉分の⼀致CIは前⽉差+1.9程度と2カ⽉連続の上昇になると予測する。速報値からデータが利⽤可
能な8系列で、5⽉31⽇午前9時時点で数値が判明している、⽣産指数、鉱⼯業⽣産財出荷指数、耐
久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・⼩売業、商業販売額指数・卸売業、有効求⼈倍
率の7系列全てが前⽉差プラス寄与になることが判明している。残る、中⼩企業出荷指数1系列も前⽉差プラ
ス寄与になる可能性が⼤きいとみた。
●⼀致CIを使った景気の基調判断は4⽉分でも、景気拡張の動きが⾜踏み状態になっている可能性が⾼いこと
を⽰す「⾜踏み」の判断が継続しそうだ。
●基調判断が景気拡張の可能性が⾼いことを⽰す「改善」に戻るには、「当⽉の前⽉差の符号がプラス。かつ原則と
して3カ⽉以上連続して3カ⽉後⽅移動平均が上昇する」ことが必要だ。4⽉分⼀致CIの3カ⽉後⽅移動平
均前⽉差は+0.23程度と2カ⽉連続の上昇になろう。熊本地震の影響を乗り越え4⽉分でも3カ⽉後⽅
移動平均前⽉差は上昇しそうだ。5⽉分も3カ⽉後⽅移動平均は上昇しよう。「改善」に戻る条件を満たすのは、
⼀致CIが0.1ポイントでも上昇となれば7⽉7⽇発表の5⽉分になろう。
●⼀⽅、景気の基調判断が「下⽅への局⾯変化」に悪化するには、「当⽉の前⽉差の符号がマイナス。かつ7カ⽉
後⽅移動平均(前⽉差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ⽉、2カ⽉、または3カ⽉の累積)が1
標準偏差分(0.85)以上」であることが必要だ。4⽉分⼀致CIの7カ⽉後⽅移動平均前⽉差はプラス
に転じ、3カ⽉の累積でも▲0.14程度にとどまるものとみられ、景気の基調判断の下⽅修正はないとみる。
●4⽉分の先⾏DIは残る新設住宅着⼯床⾯積がプラス符号になれば55.6%程度で10カ⽉ぶりに景気
の分岐点である50%超になる。速報値からデータが利⽤可能な9系列中、5⽉31⽇午前9時時点で数値
が判明しているのは8系列で、そのうち最終需要財在庫率指数、新規求⼈数、⽇経商品指数、マネーストック、
中⼩企業売上げ⾒通しDIの4系列が前⽉差プラス符号に、鉱⼯業⽣産財在庫率指数、消費者態度指数、
東証株価指数、中⼩企業売上げ⾒通しDIの4系列がマイナス符号になることが判明している。先⾏DIは4
4.4%以上55.6以下が既に確定している。残る、新設住宅着⼯床⾯積はプラス符号になると予測する。
(次⾴へ)
本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に
関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。
このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載
された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
●4⽉分の⼀致DIは25.0%程度で5カ⽉連続の50%割れというもたついた数字になると予測する。速
報値からデータが利⽤可能な8系列で、商業販売額指数・卸売業、有効求⼈倍率の2系列がプラス符号に、⽣
産指数、鉱⼯業⽣産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・⼩売業の5
系列がマイナス符号になることが判明している。⼀致DIは25.0%以上37.5%以下と50%割れが既
に確定している。残る、中⼩企業出荷指数1系列は微妙だがマイナス符号になると予測する。
(5⽉31⽇午前9時現在)
本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に
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