-2016年5⽉分鉱⼯業⽣産指数・速報値について- -5⽉分鉱⼯業⽣産指数・前⽉⽐▲2.3%と3カ⽉ぶり減少- -経済産業省先⾏き試算値5⽉分前⽉⽐90%の確率に収まる範囲を下回る- -基調判断は「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」に据え置き- -景気動向指数・⼀致CIによる景気判断5⽉分も「⾜踏み」継続か- 客員エコノミスト 宅森昭吉 コメント 鉱⼯業⽣産指数 (上段*季調済前期(⽉)⽐、下段:前年同期(⽉)⽐、%) 2015年 1〜3⽉期 + 1.1 ▲ 2.3 2016年 2⽉ ▲ 5.2 ▲ 1.2 2016年 10〜12⽉期 1〜3⽉期 + 0.1 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 1.6 4〜6⽉期 ▲ 1.3 ▲ 0.8 7〜9⽉期 ▲ 1.0 ▲ 0.9 3⽉ + 3.8 4⽉ + 0.5 5⽉P ▲ 2.3 + 0.2 ▲ 3.3 ▲ 0.1 4〜6⽉期 <+0.2> OR [▲0.2] - 6⽉ (+1.7) 7⽉ (+1.3) - - ・( )内は、6⽉分・7⽉分の製造⼯業予測指数の前⽉⽐ ・< >内は、6⽉分を製造⼯業予測指数前⽉⽐(+1.7%)で延⻑した場合の試算値 ・[ ]内は6⽉分を先⾏き試算値最頻値前⽉⽐(+0.5%)で延⻑した場合の試算値 (出所)経済産業省 (鉱⼯業⽣産) ●鉱⼯業⽣産指数・5⽉分速報値前⽉⽐は▲2.3%となった。3カ⽉ぶりの減少である。⼀⽅、前年同⽉⽐ は▲0.1%と僅かに減少、2カ⽉連続の減少になった。熊本地震の影響はほとんど⾒られないようだ。中国⼈ の爆買いが弱まった影響か、ファンデーションが前⽉⽐▲17.0%の減少となるなど化学⼯業製品の減少が⽬ ⽴つ。4⽉29⽇の祭⽇が⾦曜⽇になるなど、曜⽇要因の反動も前⽉⽐マイナスに働いた⾯もありそうだ。なお、 製造⼯業⽣産予測調査ベースの5⽉分速報値前⽉⽐は▲0.3%なので、予測調査対象外の変動が⼤き いように感じられる。 ●5⽉分の⽣産を業種別にみると、15業種のうち増加が4業種、減少が11業種だった。定期修理があった化 学⼯業(除.医薬品)、はん⽤・⽣産⽤・業務⽤機械⼯業、モス型半導体集積回路などが減少に寄与した電 ⼦部品・デバイス⼯業などが減少し、輸送機械⼯業などが増加した。なお、駆動伝導・操縦装置部品など⾃動⾞ 部品は、5⽉分は減少した。 (次⾴へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●今回の製造⼯業⽣産予測調査によると、6⽉分前⽉⽐は+1.7%、7⽉分は同+1.3%の⾒通しであ る。 ●経済産業省が公表している鉱⼯業⽣産指数の先⾏き試算値で、5⽉分の前⽉⽐は最頻値で0.0%、9 0%の確率に収まる範囲で▲1.0%〜+1.0%になる⾒通しだったので、5⽉分前⽉⽐実績の▲2. 3%は予想外に下振れた減少率だったと⾔える。 ●鉱⼯業⽣産指数の先⾏き試算値で、6⽉分の前⽉⽐は最頻値で+0.5%、90%の確率に収まる範囲で ▲0.5%〜+1.5%になる⾒通しだ。 ●先⾏きの鉱⼯業⽣産指数を、6⽉分製造⼯業⽣産予測指数前⽉⽐(+1.7%)で延⻑した場合、4〜 6⽉期の前期⽐は+0.2%の増加になる⾒込みだ。また6⽉分先⾏き試算値最頻値前⽉⽐(+0. 5%)で延⻑した場合、4〜6⽉期の前期⽐は▲0.2%の減少になる⾒込みだ。5⽉分の確報値がどうな るかも含めて不透明だが、4〜6⽉期の前期⽐は横這い圏となる⾒込みだ。 ●7⽉分の鉱⼯業⽣産指数を製造⼯業⽣産予測指数前⽉⽐(+1.3%)で延⻑した場合、7⽉分の4 〜6⽉分平均⽐は、前述の2ケースの場合、+1.7%あるいは+0.8%といずれも増加になる。猛暑効 果も加わり、7〜9⽉期に⽣産がはっきりした持ち直し基調に戻るかどうか、製造⼯業⽣産予測の調査時点6⽉ 10⽇の後に⽣じた英国のEU離脱による円⾼基調の影響なども踏まえて、予断を持つことなく⾒守りたい局⾯ だ。 ●5⽉分速報値の鉱⼯業出荷指数・前⽉⽐は▲2.3%と3カ⽉ぶりの減少になった。鉱⼯業在庫指数は前 ⽉⽐+0.3%と2カ⽉ぶりの増加になった。鉱⼯業在庫率指数は117.2で前⽉⽐+1.3%と2カ ⽉ぶりの上昇になった。 (次⾴へ) 在庫サイクル図 15 鉱 ⼯ 業 在 庫 指 数 前 年 同 期 ⽐ % 10 12年1-3月 15年1-3月 5 16年4-5月 0 -5 13年1-3月 13年10-12月 -10 -15 -15 -10 -5 0 5 10 15 鉱⼯業出荷指数 前年同期⽐% (出所)経済産業省 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●⼤きな動きをチェックするために、鉱⼯業全体での縦軸に在庫の前年⽐をとった在庫サイクル図をみると14年1 〜3⽉期では、出荷の前年⽐が+7.4%、在庫が同▲1.2%、と45度線を下回っていた。しかし、14 年4〜6⽉期では、在庫が前年同期⽐増加に転じ、出荷の前年⽐が+0.9%、在庫が同+3.1%、と 45度線を上回ってしまい、在庫積み上がり局⾯に⼊った。15年10〜12⽉期では、出荷の前年⽐が▲0. 8%、在庫が同0.0%、と近づいたものの45度線をやや上回った。16年1〜3⽉期でも出荷の前年⽐が ▲2.4%、在庫が同+1.8%だった。4〜5⽉分では、出荷の前年⽐が▲2.2%、在庫が同+0. 6%と45度線を上回ったままとなっている。 ●経済産業省の基調判断は14年12⽉分で「総じてみれば、⽣産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」に3カ ⽉ぶりに上⽅修正された。15年1⽉分・2⽉分・3⽉分・4⽉分でも「総じてみれば、⽣産は緩やかな持ち直 しの動きがみられる」で据え置きだった。しかし、5⽉分では「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」に1 1カ⽉ぶりに下⽅修正された。「⼀進⼀退」の表現は14年11⽉分以来6カ⽉ぶりだった。6⽉分に続き7⽉ 分でも判断は「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」に据え置かれた。8⽉分では14年8⽉分以 来の「弱含み」に下⽅修正され、表現は「総じてみれば、⽣産は弱含んでいる」となった。 ●その後、15年9⽉分では「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」と上⽅修正され、7⽉分までの判 断に戻るという明るい結果になった。10⽉分・11⽉分・12⽉分・16年1⽉分・2⽉分・3⽉分・4⽉分 に続き、5⽉分でも「総じてみれば、⽣産は⼀進⼀退で推移している」という判断で据え置きになった。 (4〜6⽉期のGDP予測) ●個⼈消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4〜5⽉分平均⽐対1〜3⽉分平均⽐は ▲1.3%の減少になった。逆に⾮耐久消費財出荷指数は同+2.5%の増加だ。同じく供給サイドの関連 データである商業動態統計・⼩売業販売額指数の4〜5⽉分平均⽐対1〜3⽉分平均⽐は+0.1%の 増加だ。⼀⽅、需要サイドの関連データでは、家計調査・⼆⼈以上世帯・実質消費⽀出(除く住居等)の4⽉ 分の対1〜3⽉分平均⽐は+2.8%の増加だ。乗⽤⾞販売台数の4〜5⽉分平均⽐対1〜3⽉分平 均⽐は+6.9%の増加だ。GDP統計の実質個⼈消費と関連性が⾼い消費総合指数(⽉次ベース)の4⽉ 分の対1〜3⽉分平均⽐は+0.3%の増加だ。予断を持つことなく⾒る必要はあるが、4⽉分と5⽉分の⼀ 部のデータから判断すると、4〜6⽉期第1次速報値では個⼈消費の前期⽐が1〜3⽉期増加の反動で⼤ 幅なマイナスの伸び率になる可能性は⼩さいだろう。 ●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4〜5⽉分平均⽐対1〜3⽉分平均⽐は+3.8%の増 加になった。資本財(除.輸送機械)は同+3.3%の増加である。また、建設財は同▲0.9%の減少にな った。供給サイドから推計される4〜6⽉期第1次速報値の実質設備投資・前期⽐は4⽉分・5⽉分のデータ を⾒る限りプラスの伸び率になる可能性が⼤きいとみられる。 (次⾴へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●実質輸出⼊の動向をみると輸出の4〜5⽉分平均⽐対1〜3⽉分平均⽐は▲0.3%の減少になった。輸 ⼊は同▲2.3%の減少になっている。モノの4⽉分・5⽉分の動向だけからみると、4〜6⽉期第1次速報 値の外需はプラス寄与になりそうだ。 ●8⽉15⽇に発表される4〜6⽉期の実質GDP第1次速報値・前期⽐は、4⽉分・5⽉分のデータを⾒る 限りプラスの伸び率になる可能性を排除できない。 (5⽉分景気動向指数予測) ●5⽉分の景気動向指数・速報値では、先⾏CIが前⽉差▲0.8程度と3カ⽉ぶりの下降になると予測する。 速報値からデータが利⽤可能な9系列で、6⽉30⽇午前9時時点で数値が判明しているのは、最終需要 財在庫率指数、鉱⼯業⽣産財在庫率指数、消費者態度指数、⽇経商品指数、マネーストック、東証株価指 数、中⼩企業売上げ⾒通しDIの7系列で、消費者態度指数、⽇経商品指数の2系列が前⽉差プラス寄 与に、最終需要財在庫率指数、鉱⼯業⽣産財在庫率指数、マネーストック、東証株価指数、中⼩企業売上 げ⾒通しDIの5系列が前⽉差マイナス寄与になることが判明している。残る新規求⼈数、新設住宅着⼯床 ⾯積の2系列の前⽉差はマイナス寄与になると予測した。 ●5⽉分の⼀致CIは前⽉差▲2.2程度と3カ⽉ぶりの下降になると予測する。速報値からデータが利⽤可 能な8系列で、6⽉30⽇午前9時時点で数値が判明している、⽣産指数、鉱⼯業⽣産財出荷指数、耐 久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・⼩売業、商業販売額指数・卸売業、有効求⼈倍 率の7系列全てが前⽉差プラス寄与になることが判明している。残る、中⼩企業出荷指数1系列も前⽉差プラ ス寄与になる可能性が⼤きいとみた。 ●⼀致CIを使った景気の基調判断は5⽉分でも、景気拡張の動きが⾜踏み状態になっている可能性が⾼いこと を⽰す「⾜踏み」の判断が継続しそうだ。 ●基調判断が景気拡張の可能性が⾼いことを⽰す「改善」に戻るには、「当⽉の前⽉差の符号がプラス。かつ原則と して3カ⽉以上連続して3カ⽉後⽅移動平均が上昇する」ことが必要だ。5⽉分⼀致CIの3カ⽉後⽅移動平 均前⽉差は2カ⽉ぶりの下降になってしまいそうだ。3カ⽉後⽅移動平均前⽉差の3カ⽉連続上昇は、6⽉分 をスタートとして、いちからやり直しになりそうだ。英国のEU離脱による円⾼進展の影響などのマイナス要因がどう働 くかも気懸かりだ。 ●⼀⽅、景気の基調判断が「下⽅への局⾯変化」に悪化するには、「当⽉の前⽉差の符号がマイナス。かつ7カ⽉ 後⽅移動平均(前⽉差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ⽉、2カ⽉、または3カ⽉の累積)が1 標準偏差分(0.84)以上」であることが必要だ。4⽉分⼀致CIの7カ⽉後⽅移動平均前⽉差はプラス だ。このため、5⽉分の⼀致CIの7カ⽉後⽅移動平均前⽉差がマイナスになっても、3カ⽉の累積が▲0.8 4以上になることはなく、景気の基調判断の下⽅修正はないとみる。 (次⾴へ) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。 ●5⽉分の先⾏DIは微妙だが、55.6%程度で11カ⽉ぶりに景気の分岐点である50%超になると予測 する。速報値からデータが利⽤可能な9系列中、6⽉30⽇午前9時時点で数値が判明しているのは7系列 で、そのうち消費者態度指数、⽇経商品指数、マネーストック、東証株価指数の4系列が前⽉差プラス符号に、 最終需要財在庫率指数、鉱⼯業⽣産財在庫率指数、中⼩企業売上げ⾒通しDIの3系列がマイナス符号に なることが判明している。先⾏DIは44.4%以上66.7以下が既に確定している。残る、新規求⼈数は マイナス符号に、新設住宅着⼯床⾯積はプラス符号になると予測する。 ●5⽉分の⼀致DIは50.0%程度になると予測する。速報値からデータが利⽤可能な8系列で、⽣産指数、 鉱⼯業⽣産財出荷指数、投資財出荷指数の3系列がプラス符号に、耐久消費財出荷指数、商業販売額指 数・⼩売業、商業販売額指数・卸売業の3系列がマイナス符号になることが判明している。⼀致DIは37. 5%以上62.5%以下が既に確定している。残る、中⼩企業出荷指数はマイナス符号に、有効求⼈倍率は プラス符号になると予測する。 (6⽉30⽇午前9時現在) 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断に 関しましては、お客様ご自身の判断でなさるようお願い致します。 このレポートに記載された内容は今後予告なく変更されることがあります。また、SMBCフレンド証券は、このレポートに記載 された内容に関し、正確性・完全性を保証するものではありませんのでご了承ください。
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