調査速報浜銀総合研究所調査部産業調査室 2016.4.28 タイ自動車市場月次統計（2016年３月）３月国内生産は大幅増：「造り過ぎ」で４月以降の生産にブレーキがかかる可能性 ○国内販売は持ち直したが、輸出の減少基調が続いていることは引き続き懸念材料・タイ工業連盟（Federation of Thai Industries：FTI）が発表した 2016 年３月の四輪車総生産台数は、前年同月比 8.2％増と４か月ぶりに増加に転じ、季節調整済年率換算値(当社試算、以下 SAAR)も前月比 10.3％増の 200.3 万台と大幅に増加した（図表１）。・３月の強い増産の背景には、タイ最大規模の自動車見本市「バンコク国際モーターショー」（３月 21 日∼４月３月開催）での販売増を見込んだ在庫積み増しがあったと考えられるが、同見本市での受注台数は前年比 12％減と期待外れに終わった。過剰在庫が積み上がり、４月以降の生産に対し在庫調整圧力が加わる可能性が高まっており、要注意である。・３月の総輸出台数は前年同月比 14.3％減と、２か月連続の前年割れとなり、SAAR も前月比 5.5％減の 109.7 万台と２か月連続で減少した。なお、 16 年１∼３月の平均 SAAR は 118 万台となり、15 暦年実績 120 万台を下回る水準で推移している（図表２）。・３月の国内販売台数は前年同月比 2.3％減と３か月連続の前年割れとなったが、SAAR は前月比 6.7％増の 75.4 万台と持ち直した。（図表３）。３月の統計を見る限り、税制改正後（１月１日に新自動車税制導入）に落ち込んだ国内販売には底打ち感が出ている。業界では税制改正がどれだけ国内需要の反動減に繋がるかが注目されているが、16 年１∼３月平均 SAAR は 73 万台となっており、大手メーカーの 16 年国内販売見通し（前年比 1 割減の 72 万台）に近い台数であったことから、内需減少は想定の範囲内であったと言えよう。もっとも、国内販売が依然として低水準にあることには変わりはなく、消費者の景況感が悪化している中では、先行きは予断を許さない状況にある（図表４）。・国内販売の水準が低く、輸出の減少基調が続いている上に、在庫調整リスクが高まっていることから、目先、国内生産に対しては下方圧力の強い状況が続くと考えられる。図表１３月の生産（SAAR）は大幅な増加季調済、千台タイ四輪車総生産台数 3,000 前年同月比、％ 100 季節調整済年率換算値：SAAR（左軸）３か月後方移動平均値（左軸）前年同月比（右軸） 2,500 60 16年3月SAAR 200.3万台前月比＋10.3％ 2,000 80 40 20 1,500 0 -20 1,000 500 -40 -60 2012年 245万台 2013年 246万台 2014年 188万台 2015年 191万台 -80 0 -100 . 12 13 14 15 16 2011年注１：赤塗りマーカーは各年の１月実績値。注２： SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。出所： Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 1 図表３国内販売は持ち直し図表２３月の輸出台数は２か月連続の減少タイ四輪車総輸出台数前年同月比、％季調済、千台 80 1,600 季節調整済年率換算値：SAAR（左軸） 16年3月SAAR 109.7万台３か月後方移動平均値（左軸）前月比▲5.5％ 60 1,400 1,800 1,200 40 1,400 1,000 20 1,200 季調済、千台 0 600 -20 400 -40 2012年 103万台 2013年 113万台 2014年 113万台 2015年 120万台 2011年 12 13 14 15 800 -20 600 -40 400 -60 -60 200 -80 0 2012年 143万台 2013年 133万台 2014年 88万台 2015年 80万台 16 タイ四輪車総販売台数（SAAR）と消費者信頼感指数の推移季調済、千台 2,000 100 消費者信頼感指数（右軸） 90 四輪車総販売台数SAAR（左軸） 1,400 1,200 80 1,000 800 70 600 400 60 . 2012年 13 14 15 -100 12 13 14 15 16 2011年注１：赤塗りマーカーは各年の１月実績値。注２： SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。出所： Federation of Thai Industriesのデータを基に作成図表４景況感の悪化も国内販売の足かせに 1,600 -80 . 注１：赤塗りマーカーは各年の１月実績値。注２： SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。出所： Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 1,800 20 0 . 0 40 16年3月SAAR 75.4万台前月比＋6.7％ 1,000 800 200 季節調整済年率換算値：SAAR（左軸） 80 ３か月後方移動平均値（左軸） 60 前年同月比（右軸） 1,600 前年同月比（右軸）前年同月比、％タイ四輪車総販売台数 16 注１：赤塗りマーカーは各年の１月実績値。注２： SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。出所： Federation of Thai Industries、University of the Thai Chamber of Commerceのデータを基に作成担当：調査部産業調査室深尾三四郎 Tel: 045-225-2375 Email: [email protected] 本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。 2