調 査 速 報 浜銀総合研究所 調査部 産業調査室 2016.2.26 タイ自動車市場月次統計(2016年1月) 1月国内販売は年率73万台:税制改正による内需減少は今のところ想定の範囲内 ○輸出増加が販売減少を吸収し、生産は微減に止まる ・タイ工業連盟(Federation of Thai Industries:FTI)が発表した 2016 年1月の四輪車総生産 台数は、前年同月比 11.7%減と2か月連続で減少し、季節調整済年率換算値(当社試算、 以下 SAAR)は前月比 3.7%減の 181.9 万台となった(図表1) 。1月1日に新自動車税制 が導入されたことに伴い、国内販売は大きく落ち込んだが、メーカーによる輸出増加が内 需減少を吸収し、生産の減少は小幅なものとなった。 ・1月の総輸出台数は前年同月比 1.4%増と3か月ぶりにプラスに転じ、SAAR は前月比 13.6%増の 128.3 万台となった(図表2) 。15 年終盤に失速していた輸出は、1月に反転 増加し、3か月移動平均値は前月比で微増した。 ・業界では税制改正がどれだけ国内需要の反動減に繋がるかが注目されているが、1月の国 内販売台数は前年同月比 13.2%減と3か月ぶりにマイナスに転じ、SAAR は前月比 19.1% 減の 72.9 万台と大幅減となった。 (図表3) 。 ・なお、セグメント別の1月の販売台数(SAAR)は、乗用車が前月比 19.5%減、ピックアッ プトラック(ピックアップトラックベースの SUV である PPV を含む)が同 18.2%減、SUV (乗用車ベース)が同 44.1%減、貨物車・バスが同 4.6%減と全車種が減少した(図表4) 。 ・1月の需要反動減は厳しいものとなったが、SAAR は大手メーカーの 16 年国内販売見通し (前年比 1 割減の 72 万台)に近い台数となり、今のところ、内需減少は想定の範囲内と 判断できよう。もっとも、取材情報を基にすると、昨年末の増税前の駆け込み受注の解消 分が1月の販売台数に含まれており、向こう数か月に亘って税制改正に伴う販売へのマイ ナス影響が残ると思われる。 ・加えて、輸出は1月こそ持ち直したものの、今後も新興国を中心とした海外市場の景気悪 化の逆風が下押し圧力となろう。国内販売と輸出は共に予断を許さない状況であり、タイ 自動車生産は、目先、重苦しい展開が続こう。 図表1 1月の生産は前月比微減に止まる 季調済、千台 タイ四輪車総生産台数 3,000 前年同月比、% 100 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 2,500 80 60 16年1月SAAR 181.9万台 前月比▲3.7% 2,000 40 20 1,500 0 -20 1,000 -40 -60 500 0 2012年 245万台 2013年 246万台 2014年 188万台 2015年 191万台 -80 -100 . 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 1 図表2 1月の輸出台数は反転増加 タイ四輪車総輸出台数 季調済、千台 1,600 1,400 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 前年同月比、% 80 16年1月SAAR 128.3万台 前月比+13.6% 60 1,200 40 1,000 20 800 0 600 -20 400 -40 200 2013年 113万台 2014年 113万台 -60 2015年 120万台 -80 . 0 2012年 103万台 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 図表3 税制改正に伴い国内販売は大幅減 タイ四輪車総販売台数 季調済、千台 前年同月比、% 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 80 3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 60 1,800 1,600 1,400 40 16年1月SAAR 72.9万台 前月比▲19.1% 1,200 20 1,000 0 800 -20 600 -40 400 -60 200 0 2012年 143万台 2013年 133万台 2014年 88万台 2015年 80万台 -80 -100 . 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 2 図表4 全車両セグメントで販売が減少 季調済、千台 1,200 乗用車販売台数 前年同月比、% 季調済、千台 100 900 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 3か月後方移動平均値(左軸) 80 800 前年同月比(右軸) 60 700 16年1月SAAR 24.1万台 40 600 前月比▲19.5% 20 500 0 400 -20 300 -40 -60 200 1,000 800 600 400 200 0 2012年 67万台 2013年 63万台 2014年 37万台 2015年 30万台 80 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 60 3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 40 20 0 -20 -40 16年1月SAAR 39.1万台 前月比▲18.2% 2012年 67万台 -80 100 -100 ピックアップトラック販売台数(PPV含む) 前年同月比、% 2013年 59万台 2014年 42万台 -80 -100 0 . . 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 2011年 12 13 14 15 16 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 前年同月比、% 貨物車/バス販売台数 前年同月比、% 季調済、千台 80 120 120 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 100 110 3か月後方移動平均値(左軸) 60 100 前年同月比(右軸) 80 16年1月SAAR 4.6万台 40 90 60 前月比▲4.6% 80 40 20 70 20 0 60 0 -20 50 -20 -40 40 16年1月SAAR 3.8万台 -40 -60 30 前月比▲44.1% -80 20 -60 2012年 2013年 2014年 2015年 2012年 2013年 2014年 2015年 -100 10 7.2万台 7.5万台 5.0万台 4.7万台 2.6万台 3.7万台 4.2万台 5.7万台 -80 0 -120 . . 12 13 14 15 16 2011年 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 出所: Federation of Thai Industriesのデータを基に作成 季調済、千台 SUV(乗用車ベース)販売台数 100 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 3か月後方移動平均値(左軸) 90 前年同月比(右軸) 80 70 60 50 40 30 20 10 0 -60 2015年 40万台 担当:調査部 産業調査室 深尾三四郎 Tel: 045-225-2375 Email: [email protected] 本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が 信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。 3
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