調 査 速 報 浜銀総合研究所 調査部 産業調査室 2016.7.1 国内新車販売統計(2016年6月) 英国のEU離脱に伴う新興国向けODA減少と円高進行が日本自動車産業に逆風となる ○6月新車販売(SAAR)は前月比 2.2%減の 467 万台:5か月連続の年率 500 万台割れ ・7月1日発表の6月の国内新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む)は前年同月比 4.9%減と2か月連続の減少となった。季調済年率換算値(X-12-ARIMA にて当社試算、以 下 SAAR)でみた6月の販売台数も前月比 2.2%減の 467 万台となり、4∼6月平均 SAAR は 472 万台と 15 年度実績(494 万台)を下回る水準で、内需の低迷が続いている(図表1) 。 ・内訳をみると、6月の乗用車(登録車+軽)販売台数の SAAR は前月比 5.5%減の 384 万 台となった(図表2) 。このうち、登録乗用車は同 6.5%減の 276 万台(図表3) 、軽乗用 車の販売台数(SAAR)も前月比 2.7%減の 107 万台と3か月連続で減少した(図表4) 。 ・貨物車(普通+小型トラック)販売台数の6月の SAAR は前月比 0.1%増の 43 万台とほぼ 横ばいの推移となった。貨物車の販売も 16 年に入ってから一進一退の不安定な動きが続 き、力強さに欠けている(図表5) 。 ・4月の熊本地震に伴う完成車工場の一時的な操業停止や稼働抑制が終了し、稼働を再開し たにも関わらず、5月の生産は2か月連続で前月比減少となった。後述するが、輸出の減 少が生産の足を引っ張った形だ。在庫は前月比で若干の増加となったが、健全な水準であ る。もっとも、軽乗用車に関しては、需要低迷により在庫が再び増加するリスクが依然と して高いことから、先行きは予断を許さない状況が続くと予想する。 ・中古乗用車の5月の輸出台数 (SAAR)は前月比 3.5%減の 90 万台と4か月連続で減少し、 輸出金額も前年同月比 20.1%減と3か月連続の大幅減となり、中古車輸出市場を取り巻く 環境は厳しさを増している。 ・英国の EU 離脱は日本の中古車輸出市場に大きな逆風となる。中古車輸出市場の更なる減 速は、日本国内の中古車需給の緩和とそれに伴う中古車市況の軟化を通じて、新車市場に とっても足かせ要因となる可能性があるからだ。10 ページで詳述するが、英 EU 離脱がも たらす中古車輸出市場への悪影響は、①円高・新興国通貨安の進行が日本からの中古車輸 出を押し下げる要因になり、また、②英国から旧植民地国への政府開発援助(ODA)が減 少し、被援助国の景気悪化が進むことで中古車需要を一層減退させることになる。 図表1 6月国内新車販売 SAAR は前月比 2.2%減の 467 万台と 500 万台割れ続く 季調済、千台 7,000 新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む) 前年同月比、% 100 6,500 80 16年6月SAAR 467万台 前月比▲2.2% 6,000 5,500 60 40 5,000 20 4,500 0 4,000 -20 3,500 3,000 -40 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 前年同月比(右軸) -60 2,500 -80 . 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会より作成 1 図表2 乗用車販売(SAAR)は前月比減少 季調済、千台 6,500 乗用車新車販売台数(登録車+軽) 6,000 図表3 登録乗用車販売の減少が大きい 前年同月比、% 16年6月SAAR 384万台 前月比▲5.5% 5,500 4,500 100 4,000 80 5,000 季調済、千台 120 60 登録乗用車新車販売台数 前年同月比、% 100 80 16年6月SAAR 276万台 前月比▲6.5% 3,500 60 4,500 40 3,000 4,000 20 2,500 20 3,500 0 2,000 0 3,000 -20 2,500 -40 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 前年同月比(右軸) 2,000 1,500 1,500 -60 1,000 -80 500 . 季調済、千台 500 前年同月比、% 80 20 1,000 0 300 0 80 60 40 16年6月SAAR 43万台 前月比+0.1% 20 0 250 -20 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 前年同月比(右軸) 前年同月比、% 100 400 40 1,500 貨物車販売台数 450 60 16年6月SAAR 107万台 前月比▲2.7% 350 500 -60 図表5 貨物車販売は横ばい推移で勢いに欠ける 2,500 2,000 -40 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 日本自動車販売協会連合会より作成 図表4 軽乗用車販売の減少が続く 軽乗用車販売台数 -20 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 前年同月比(右軸) . 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 日本自動車販売協会連合会及び全国軽自動車協会連合会より作成 季調済、千台 3,000 40 200 -40 150 . 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) -20 -40 . 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 全国軽自動車協会連合会より作成 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 日本自動車販売協会連合会より作成 2 ○地震による減産が終了し稼働再開したにも関わらず、輸出減少が響き5月生産は更に減少 ・鉱工業指数(速報値)を見ると、4月の熊本地震に伴う完成車工場の一時的な操業停止や 稼働抑制が終了し、稼働を再開したにも関わらず、5月の生産は2か月連続で前月比減少 となった。後述するが、輸出の減少が生産の足を引っ張った形だ。在庫は前月比で若干の 増加となった。在庫循環図上では(注)、4月に続き5月も乗用車生産は「意図せざる在庫減 局面」にあり、在庫水準は健全である(図表6) 。もっとも、依然として同局面にとどまっ ている乗用車の生産は、三菱自動車の燃費データ不正問題により同社水島製作所での軽乗 用車の生産が停止していることや、内需及び輸出の低迷が足かせとなるため、6月も下押 し圧力が強い状況が続くと考える。 ・図表7∼9では鉱工業指数から、普通、小型、軽乗用車別の各指数(生産、出荷、在庫) の推移と在庫循環図を示している。5月の普通乗用車の在庫(季調値)は前月比で若干の 増加となった。生産活動は「意図せざる在庫減局面」から「在庫積み増し局面」に移行し た。今後は需要次第ではあるが、生産に対する下方圧力は和らいでいく方向である。 ・5月の小型乗用車の在庫も若干増加した。在庫循環図上は5月も4月に続いて「意図せざ る在庫減局面」となり、同セグメントの在庫水準も健全である。 ・三菱自動車水島工場の稼働停止が続き、低迷している軽乗用車の生産は5月も前月比で減 少した。減産幅を上回る出荷の減少により、在庫は増加した。生産は「意図せざる在庫減 局面」に止まっており、在庫水準は適正である。もっとも、需要低迷により在庫が再び増 加するリスクが依然として高いことから、在庫循環図上では過剰在庫は払しょくされたも のの、先行きは予断を許さない状況が続くと予想する。 (注)新モデルが発売されるタイミングで乗用車の出荷と在庫は大きく振れるため、各月の出荷・在庫(原数値)を3か月後方移動平均で均 してから前年同月比と比較し、それぞれ変化率を X-軸(出荷)と Y-軸(在庫)でプロットしている。 図表6 5月の生産は2か月連続で減少となったが、在庫は増加 季調済、2010年平均 140 乗用車の在庫循環図 鉱工業指数の推移:乗用車 80 在庫積み上がり局面 60 ︵ ︵ 在 庫 120 3 か 月 後 方 移 動 平 均 -80 値 100 80 ︶ ︶ 60 生産 出荷 ・ 前 年 同 月 比 % 在庫 . 40 2011 2012 2013 2014 2015 2010年 注: 赤いマーカーは各年の1月実績。 出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成 2016 40 20 在 庫 調 0 整 -60 -40 -20 0 局 2009年1月 面 -20 直近月 (2016年5月) 20 40 60 在 庫 積 み 増 80 し 局 面 -40 -60 意図せざる在庫減局面 -80 出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比% 注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。 出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成 3 図表7 普通乗用車の生産は「在庫積み増し局面」に移行 鉱工業指数の推移:普通乗用車 普通乗用車の在庫循環図 季調済、2010年平均=100 120 20 在庫積み上がり局面 ︵ 在 庫 2011年1月 3 か 月 後 方 在 移 庫 動 調 平 均 -20 整 局 値 100 80 ︶ ・ 前 年 同 月 比 % 60 生産 出荷 在庫 直近月 (2016年5月) 0 0 面 40 意図せざる在庫減局面 . 2011 2010年 2012 2013 2014 2015 在 庫 積 み 増 20 し 局 面 -20 出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比% 2016 注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。 出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成 注: 赤いマーカーは各年の1月実績。 出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成 図表8 小型乗用車は引き続き「意図せざる在庫減局面」 鉱工業指数の推移:小型乗用車 小型乗用車の在庫循環図 季調済、2010年平均=100 200 100 在庫積み上がり局面 生産 出荷 在庫 在 在 庫 庫 3 3 か か 月 月 後 後 方 方 移 移 動 動 平 平 均-100 均 値 値 ・・ 前 前 年 年 同 同 月 月 比 比 % % ︵ ︵ 180 160 140 120 ︶ ︶ 100 80 60 在 庫 調 整 局 面 在 庫 積 み 増 し 局 面 0 0 100 直近月 (2016年5月) 意図せざる在庫減局面 40 . -100 出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比% 2011 2010年 2012 2013 2014 2015 注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。 出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成 2016 注: 赤いマーカーは各年の1月実績。 出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成 図表9 軽乗用車も「意図せざる在庫減局面」が続くが、需要低迷続き楽観は禁物 軽乗用車の在庫循環図 鉱工業指数の推移:軽乗用車 100 季調済、2010年平均=100 400 在庫積み上がり局面 在 庫 320 3 か 月 後 方 移 動 平 均-100 値 ︵ 360 280 240 生産 出荷 在庫 200 ︶ 160 ・ 前 年 同 月 比 % 120 80 . 40 2010年 2011 2012 2013 2014 2015 50 在 庫 調 整 局 面 0 -50 直近月 (2016年5月) 0 50 100 -50 意図せざる在庫減局面 -100 出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比% 2016 在 庫 積 み 増 し 局 面 注: 2014年実績値は□(黄色)、15年は○(赤)、16年は◇(緑)でハイライト。 出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成 注: 赤いマーカーは各年の1月実績。 出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成 4 ○5月新車乗用車輸出は前月比減少:米中以外の主要地域向けが減少 ・6月 29 日に公表された5月の乗用車輸出台数(軽乗用車と中古車を除く)は SAAR で前 月比3.3%減の378 万台と減少した (図表10) 。 4月は熊本地震に伴う減産が輸出の足を引っ 張り、5月はその供給制約が解消されたにも関わらず、海外市場での自動車需要が減少し たことが輸出減少の背景にある。主要仕向地別では(図表 11) 、当月は米国と中国以外の 主要国・地域向けの輸出(SAAR)が押し並べて減少した。 ・日本にとって最大の輸出先である米国の新車販売台数(SAAR)は、5月に前月比 1.0%増 加したものの、3か月後方移動平均値でみるトレンドは頭打ちの状況である(図表 12) 。 米国の自動車市場が減速しているため、同国向けの輸出がこの先、一段と切り上がって、 輸出の大きな押し上げ要因になると期待するのは難しい状況だ。なお、4月に日産自動車 は九州工場で北米向け SUV「ローグ」の生産を開始した。米国市場の減速という逆風を、 同車種の生産開始及び上記地震に伴う供給制約の解消がどれだけ打ち返すかに要注目だ が、5月はこの日産九州での増産が、米国向け輸出が辛うじて増加したことに貢献した。 日産自動車及び日産車体九州工場製車両の輸出港である福岡県苅田港では、5月の輸出台 数(SAAR)が前月比 51.6 %増と急増した(図表 13)。この苅田港からの輸出急増の影 響を除くと、5月の米国向け輸出台数は減少していたことになる。 ・米国に次ぐ主要仕向け地である欧州では、5月の販売台数は前月比 0.7%減少した。3か 月後方移動平均値でみるトレンドは高位で推移しているものの、一進一退が続いている (図表 14) 。5月に欧州向けの輸出は大幅減となったが、同地域向けの輸出に関しても、 今後、上向いていくと予想するのは難しい。 ・最後に、中国の5月の乗用車小売台数は4か月ぶりに前年同月比で2桁増となり、流通在 庫の過剰感は大きく払しょくされた(図表 15) 。乗用車販売台数(生産台数に近い工場出 荷ベース)に目を向けると、5月の SAAR は前月比 4.8%増となり、減少基調が続いてい た3か月後方平均値で見るトレンドは反転増加した(図表 16) 。もっとも、流通在庫の過 剰感が払しょくされたとはいえ、安値販売の継続・強化が小売台数増加の背景にあるため、 6月以降に販売が息切れする可能性は否定できず、同国向け輸出台数が増加し続けると期 待することは難しい状況と考える。 ・以上のように、主要自動車市場において、日本からの乗用車輸出に対する下押し要因が存 在するため、6月以降も輸出への下押し圧力が強い状況が続くと予想される。 図表 10 5月の乗用車輸出(SAAR)は前月比減少 季調済、千台 5,000 新車乗用車輸出台数:全国 前年同月比、% 100 16年5月SAAR 378万台 前月比▲3.3% 4,500 80 60 40 4,000 20 0 3,500 -20 3,000 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 2,500 12年 399万台 前年比+8.6% 14年 372万台 前年比▲4.8% 13年 391万台 前年比▲1.9% -40 -60 -80 15年 387万台 前年比+4.1% -100 . 2,000 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 5 図表 11 米国及び中国向けを除き主要国・地域向けの輸出は減少 米国向け新車乗用車輸出台数 季調済、千台 2,000 1,500 前年同月比、% 80 40 600 40 500 20 400 0 13年 170万台 前年比+2% -20 -20 300 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 12年 167万台 前年比+19% SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 700 0 500 前年同月比、% 16年4月SAAR48万台 80 前月比▲25.2% 60 60 16年5月SAAR 160万台 前月比+1.4% 20 1,000 EU圏(28か国)向け新車乗用車輸出台数 季調済、千台 800 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) -40 -40 200 14年 151万 前年比▲11% -60 100 15年 158万台 前年比+4% 13年 37万台 前年比▲7% 14年 45万台 前年比+23% -60 15年 51万台 前年比+12% -80 0 -80 . . 0 12年 40万台 前年比▲24% 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 豪州向け新車乗用車輸出台数 中東向け新車乗用車輸出台数 季調済、千台 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 600 500 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 前年同月比、% 季調済、千台 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 80 500 SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 60 40 400 450 SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 前年同月比、% 80 16年5月SAAR 29万台 前月比▲5.9% 60 400 40 350 20 300 20 300 0 250 0 200 -20 200 -40 150 16年5月SAAR 34万台 前月比▲2.7% 100 12年 36万台 前年比+26% 13年 41万台 前年比+13% 14年 43万台 前年比+5% -60 15年 50万台 前年比+15% 0 50 14 15 中国向け新車乗用車輸出台数 400 350 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 前年同月比、% 80 16月5月SAAR 18万台 前月比+3.3% 60 40 250 20 200 0 150 -20 100 -40 12年 17万台 前年比▲12% 13年 18万台 前年比+3% 14年 22万台 前年比+22% 15年 17万台 前年比▲21% -60 100 13 14 15 -80 SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 前月比▲13.6% 60 40 80 20 60 0 -20 40 -40 20 . 12 -60 15年 31万台 前年比+4% ASEAN向け新車乗用車輸出台数 季調済、千台 前年同月比、% 120 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 16年5月SAAR 6万台 80 -80 0 2011年 14年 29万台 前年比▲10% 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 300 50 13年 33万台 前年比▲10% . 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 季調済、千台 12年 36万台 前年比+19% 0 . 13 -40 100 -80 12 -20 12年 7.4万台 前年比×1.3 13年 5.2万台 前年比▲30% 14年 5.0万台 前年比▲5% -60 15年 5.7万台 前年比+16% 0 -80 . 16 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 12 13 14 15 16 2011年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 6 図表 12 米国新車販売は減少基調 米国新車販売台数 季調済、百万台 19 図表 13 日産九州の輸出車生産が急増 新車乗用車輸出台数(苅田港) 前年同月比、% 40 450 18 30 400 17 20 350 16 10 300 60 15 0 250 40 14 -10 200 20 150 0 100 -20 50 -40 16年5月SAAR 1,718万台 前月比+1.0% 13 12 -20 -30 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 11 10 9 季調済、千台 -40 -50 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 前年同月比、% 120 100 16年5月SAAR 35.9万台 前月比+51.6% 80 0 -60 -60 . . 2011 09 10 11 12 13 14 15 16 2007年 08 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: Autodata、Bloombergのデータより作成 12 13 14 15 16 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省貿易統計のデータより作成 図表 14 欧州乗用車市場は一進一退が続く 季調済、百万台 EU27か国乗用車新車登録台数 前年同月比、% 16年5月SAAR 1,484万台 30 前月比▲0.7% 16 14 20 12 10 10 0 -10 8 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 6 4 -20 -30 . 2008年 09 10 11 12 13 14 15 16 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 欧州自動車工業会(ACEA)のデータより作成 図表 15 小売大幅増で中国の乗用車流通在庫は減少 VIA指数 中国:在庫早期警戒指数(VIA)と乗用車小売台数の推移 前年同月比、% 75 50 70 40 65 30 60 20 55 10 50 0 45 -10 40 26 24 22 20 18 16 14 12 10 8 6 -20 35 VIA:在庫早期警戒指数(左軸) -30 30 乗用車小売台数前年同月比(右軸) -40 25 -50 . 14 15 前年同月比、% 中国乗用車販売台数 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 2013年 1,793万台 前年比+16% 16年5月SAAR 2,271万台 前月比+4.8% 2014年 1,970万台 前年比+10% 11 12 13 14 15 16 2010年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: 工場出荷ベース。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 中国汽車工業協会(CAAM)のデータより作成 16 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: 乗用車小売台数は微型バン(軽自動車バン)を除く。 注3: VIAは50を下回る場合がディーラーでの在庫水準が適正、50を上回る場合が在庫過多。 出所: 中国汽車流通協会(CADA)、全国乗用車市場信息連席会(CPCA)データより浜銀総合研究所作成 7 70 60 50 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 2015年 2,111万台 前年比+7% . . 2013年 図表 16 乗用車販売に持ち直しの動き 季調済、百万台 . ○5月中古乗用車輸出台数(SAAR)は4か月連続の減少 ・国内流通業者に注目されている中古乗用車の輸出市場に目を向けると、5月の中古車輸出 台数は前年同月比 10.1%減となり、SAAR も前月比 3.5%減の 90 万台と4か月連続で減少 した(図表 17) 。同月の中古乗用車の輸出金額も前年同月比 20.1%減と3か月連続の大幅 減となり、中古車輸出市場を取り巻く環境は厳しさを増している(図表 18) 。 ・5月の中古乗用車輸出台数を主要仕向地別で見ると、ニュージーランド向けは増加した一 方で、アフリカ向け輸出減少が続き、その他主要地域向けも停滞ないし減少した(図表 19) 。 ・中古車流通業者の間で高成長市場として注目されてきたスリランカ向けの5月の輸出台 数(SAAR)は前月比 0.4%減の 1.5 万台と5か月連続で減少し、前年同月の3割の水準に まで落ち込んでいる(図表 20) 。昨年 10 月以降に相次いだ、関税率引き上げを含む政策変 更によるマイナス方向の影響が需要を冷え込ませている。5月 27 日に輸入自動車に対す る関税が見直され、多くの主要輸入車種の関税が再度引き上げとなっており、同国向け輸 出市場は当面、極めて厳しい状況が続こう。 ・スリランカに代わって高単価車両の輸出先として期待されているシンガポール向けの5 月の輸出台数(SAAR)は、前月比 1.0%増の 1.7 万台となった。4月まで2か月連続で大 幅に減少したが、5月は下げ止まった(図表 21) 。同国では自動車所有権証(COE: Certificate of Entitlement)の発行数が増加しており、自動車の買い替え需要が盛り上がっているもの の(注)、シンガポール当局の港湾ないし車両登録の処理能力が限界に達しているために、新 車・中古車登録待ちの車両が港湾に滞留しているもようである。これにより、日本からの 中古車の船積みが遅れていることが、3月から輸出が減速している背景にある。もっとも、 シンガポールでは自動車需要は引き続き旺盛であるため、3月からの輸出減速は今のとこ ろ大きな懸念材料にはならないと考える。 (注)COE の詳細及び買い替え需要発生との関係性は、下記リンク先の「国内新車販売統計(2016 年2月) 」ページ 10∼11 を参照されたい。 https://www.yokohama-ri.co.jp/html/report/pdf/shinsha1602.pdf 図表 17 5月中古乗用車輸出台数(SAAR)は4か月連続の減少 中古乗用車輸出台数の推移 季調済、万台 140 120 前年同月比、% 80 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 16年5月 SAAR 90万台 前月比▲3.5% 60 100 40 80 20 60 0 40 -20 20 11年 70.0万台 前年比+4.1% 12年 83.1万台 前年比+18.7% 13年 94.8万台 14年 106.0万台 前年比+14.1% 前年比+11.8% -40 15年 102.2万台 前年比▲3.2% -60 0 . 2011年 12 13 14 15 . 16 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 8 図表 18 5月の輸出金額は3か月連続の大幅減 中古乗用車輸出金額の推移 億円 前年同月比、% 800 80 輸出金額 前年同月比(右軸) 16年5月414億円 前年同月比▲20.1% 700 60 600 40 500 20 400 0 300 -20 200 -40 11年 3,529億円 12年 3,933億円 前年比+2.2% 前年比+11.4% 13年 4,959億円 14年 6,013億円 前年比+26.1% 前年比+21.2% 15年 6,614億円 前年比+10.0% 100 -60 . 12 2011年 13 14 . 15 16 注: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 出所: 財務省「貿易統計」より浜銀総合研究所が作成 図表 19 アフリカ向け輸出減少が続く 仕向地別中古乗用車輸出台数の推移 季調済、万台 ロシア(16年5月SAAR 3.8万台) ニュージーランド(11.4万台) 25 ミャンマー(7.5万台) アラブ首長国連邦(9.2万台) チリ(7.7万台) アフリカ南部・東部6か国(12.8万台) スリランカ(1.5万台) シンガポール(1.7万台) バングラデシュ(2.8万台) 20 15 10 5 0 . 2011年 12 13 14 . 15 16 注: アフリカ南部3か国:南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、東部3か国:ケニア、タンザニア、ウガンダ。 注: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 図表 20 スリランカ向けは低迷続く 季調済、千台 80 70 図表 21 シンガポール向けは下げ止まり シンガポール向け中古乗用車輸出台数とFOB平均価格の推移 スリランカ向け中古乗用車輸出台数とFOB平均価格の推移 千円/台 季調済、千台 16年5月 SAAR 1.5万台 3,000 80 前月比▲0.4% FOB平均価格(右軸) 70 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 2,500 FOB平均価格(右軸) 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 2,000 50 12年 0.7万台 前年比▲74.1% 40 2,500 2,000 15年 14,885台 前年比4.2倍 30 1,500 1,000 20 20 10 3,000 50 1,500 40 30 3,500 16年5月 SAAR 1.7万台 前月比+1.0% 60 60 千円/台 4,000 500 11年 2.7万台 前年比+20.3% 15年 5.2万台 13年 1.7万台 14年 3.2万台 前年比×1.4% 前年比+90.5% 前年比+62.1% . 2011年 12 13 14 15 13年 1,186台 前年比+19.1% 1,000 14年 2,857台 前年比1.4倍 10 500 0 0 0 11年 1,403台 12年 996台 前年比▲1.1% 前年比▲29.0% 0 . . 2011年 16 12 13 14 15 . 16 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 9 ○英国の EU 離脱に伴う新興国向け政府開発援助の減少が中古車輸出市場の逆風となる公算 ・英国の EU 離脱(以下、”ブレグジット Brexit”)は日本の中古車輸出市場に大きな逆風とな る。そして、中古車輸出市場の更なる減速は、日本国内の中古車需給の緩和とそれに伴う 中古車市況の軟化を通じて、新車市場にとっても足かせ要因となる可能性があり、今後の 動向には要注意である。 ・Brexit がもたらす中古車輸出市場への悪影響は主に2つ挙げられる。第1に、短期・中期 的な影響として、円高・新興国通貨安の進行が日本からの中古車輸出を押し下げる要因に なる。そして2つ目は、中・長期的な影響として、英国からの政府開発援助(ODA)が減 少することにより、被援助国の景気悪化が進み、中古車需要を一層減退させることである。 以降、後者の影響について詳述する。 ・英国は米国に次ぐ世界第2位の規模で ODA を行っている。英国からの ODA を受ける国は 主に同国の旧植民地であるが、自動車市場としては右ハンドル車市場であり、まとまった 規模で日本から中古車が輸出される国となっていることがポイントとなる。 ・英国は ODA 支出額を国民総所得(GNI)の 0.7%にペッグ(固定)している。従って、Brexit により同国の景気が悪化し GNI が減少すると、準じて ODA も削減されることとなる。加 えて、英国ポンド安が進行すると、被援助国の通貨ベースで見た援助額が目減りしダブル パンチとなる。現在、欧州・英国及び旧植民地国において、Brexit による悪影響のひとつ として大きく懸念・議論されているのが、このアフリカ及びアジア向けを中心とした英国 の ODA 削減が世界景気に冷や水を浴びせるというリスクである。これは日本としても無 視できないことでもあり、とりわけ、輸出市場に大きく依存する日本の自動車産業にとっ ては、今後、収益悪化リスクのひとつとして留意する必要がある。 ・図表 22 は英国からの ODA のうち、特定国向け二国間援助(Bilateral ODA)の上位 20 か 国を示している。これらの国だけでも、日本から中古車は 2015 年に年間 27 万台輸出され ており(貨物車を含む) 、全世界向け輸出台数実績 125 万台に対し実に 22%も占めた。 ・二国間援助額は上位 20 か国合計で、被援助国 GDP 総額に対し 0.2%の規模となっている が、EU を中心とした国際機関を通じた多国間援助(Multilateral ODA)を含めると、数% レベルと無視できない規模になる国もある。 ・前述の通り、足元では、仕向け地域で最大のアフリカ向け中古車輸出台数は右肩下がりと なっているが、今後は Brexit による悪影響が同地域向けの輸出を更に押し下げるリスクに 要警戒である。 10 図表 22 英国の二国間援助額上位 20 か国(2014 年)と日本からの中古車輸出台数 英国の政府開発援助(二国間援助): 2014年上位20か国 対GDP比率 国名 二国間援助計 為替レート 二国間援助計 国内総生産(GDP) 百万USドル 百万USドル 百万ポンド ポンド/USドル 1 エチオピア 322 0.607 530 55,612 1.0% 2 インド 279 0.607 459 2,048,517 0.0% 3 パキス タン 266 0.607 438 243,632 0.2% 4 シエラレオネ 238 0.607 392 4,838 8.1% 5 ナイジェリア 237 0.607 390 568,508 0.1% 6 バングラデシュ 208 0.607 342 172,887 0.2% 7 アフガニスタン 198 0.607 326 20,038 1.6% 8 南スーダン 167 0.607 275 13,282 2.1% 9 コンゴ共和国 167 0.607 275 14,177 1.9% 10 タンザニア 149 0.607 245 48,057 0.5% 11 ケニア 135 0.607 222 60,937 0.4% 12 シリア 130 0.607 214 73,670 0.3% 13 ソマリア 124 0.607 204 5,707 3.6% 14 ネパール 112 0.607 184 19,770 0.9% 15 ジンバブエ 104 0.607 171 14,197 1.2% 16 ザンビア 91 0.607 150 27,066 0.6% 17 モザンビーク 84 0.607 138 15,938 0.9% 18 ヨルダン川西岸及びガザ地区 83 0.607 137 12,738 1.1% 19 ウガンダ 83 0.607 137 26,998 0.5% 20 イエメン 82 0.607 135 35,955 0.4% 上記20位合計 3,259 0.607 5,365 3,482,523 0.2% 6,832 二国間援助合計 4,895 多国間援助合計 政府開発援助ODA合計 ① 11,726 国民総所得(GNI) ② 1,783,331 対GNI比率 ①/② 0.7% 注1: シリアのGDPは2012年実績 注2: ポンド/USドルは2014年期中平均レート 注3: 日本からの中古車輸出台数が年間1万台を超える国を赤字でハイライト 出所:英国・国際開発省(Department for International Development)「Statistics on International Development 2015」、 世界銀行公表データ及び日本財務省「貿易統計」を基に浜銀総合研究所が作成 中古車輸出台数 2015年 9 0 49,481 3 3,785 29,189 1,926 726 68 42,752 77,457 1 612 0 6,754 13,483 20,972 0 22,625 0 269,843 担当:調査部 産業調査室 深尾三四郎 Tel: 045-225-2375 Email: [email protected] 本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が 信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。 11
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