週間天気予報解説資料

週間天気予報解説資料
2016 年 3 月 29 日 10 時 00 分 発表
気象庁予報部
予報期間
3 月 30 日から 4 月 5 日まで
1.アンサンブル資料
●アンサンブル(ENS):気圧の谷が次々と通過し、天気は短い周期で変わる。高気圧に覆われて晴れる日もあるが、気圧の谷や低気
圧の影響で北日本では期間のはじめと終わりに、東日本から沖縄・奄美では期間の中頃と終わりに雨の降る日がある。
●500hPa基本場(週間予報支援図):実況は、オホーツク海付近がリッジ、東シナ海付近がトラフ。北日本は正偏差、西日本と沖縄・
奄美は負偏差に覆われ、東日本は境界付近となる。予報期間は、日本の東海上がリッジ、中国東北区付近がトラフ。カムチャツカ
半島から黄海にかけて広く正偏差となり、日本付近を覆う。
●4月1日:日本海北部をリッジが東へ進む。また、5700m付近のトラフが西日本を進む。地上では31日に東シナ海で発生した低
気圧が西日本の南海上を東進する。北・東日本は高気圧に覆われて晴れる所が多いが、太平洋側ではオホーツク海に中心をもつ
高気圧から吹き込む冷湿気の影響で曇る所がある。西日本は広い範囲で雨が降る。
●2日:5700m付近のトラフは東日本の南海上を進む。西日本にはリッジが進んでくる。日本付近は引き続きオホーツク海に中心を
持つ高気圧に覆われる。南海上の低気圧は不明瞭になりながら東日本の南海上を進む。北日本では高気圧に覆われて晴れる所も
あるが、次第に高気圧の後面となって雲が広がりやすくなる。東日本では高気圧からの北東の冷たい気流や南海上の低気圧の影
響で雲が多く、雨の降る所もある見込み。西日本では晴れる所もある。
●3~4日:リッジは日本の東海上に進み、次のトラフが中国東北区から日本付近に進む。アムール川下流付近を低気圧が発達しな
がら進み、この低気圧からのびる前線が北日本を通過する。また、黄海で発生した低気圧が日本海を通って千島付近に進む見込
み。3日は、北・西日本で雨の降り出すところがあり、4日は北~西日本の広い範囲で降水の見込み。気圧の傾きが大きくなり、
荒れた天気となるおそれ。
●5日:トラフはカムチャツカ半島付近に進むが、次のトラフが沿海州付近に進む。日本付近は西南西~ゾーナルの場となる。地上
では前線が東海上に抜けて、緩やかに高気圧に覆われるが、正渦移流が続き、雲が広がりやすい。
●沖縄・奄美:数日の周期で天気が変わり、気圧の谷の影響で雨の降る日がある。
・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:4月3日の日本付近の低気圧の予想について、日本海に予想するメンバーが3分の1、対馬海
峡に予想するメンバーがおよそ2割ある。
・ スプレッド:昨日資料と比べて、すべての日で縮小した。特定高度線は、5400m線は期間の後半から位相の差が大きくなっている。
・ 降水頻度分布:高降水頻度域は、31日~2日にかけて西・東日本太平洋側で拡大、3日は北~西日本で縮小した。
・ 予想T850時系列:北~西日本では平年並から正偏差の状態が続く。沖縄・奄美ははじめ負偏差となるがその後は正偏差が続く。
2.防災事項等
・ 期間の後半に、低気圧から伸びる前線の通過に伴い荒れた天気となる日がある見込み。今後の資料に留意。
・ 気温が平年より高いため、積雪の多い所ではなだれのおそれ。
3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照)
・ 地上低気圧は次第に弱まりながら北海道を通過。この低気圧からのびる前線も日本の東に抜けて、東北~西日本は高気圧に覆わ
れるが、500hPaの5700m付近の流れに沿ってトラフが進み、夜には停滞前線が東シナ海から九州の西へのびだす見込み。
・ 天気は、低気圧に近い北海道では雨や雪が降りやすく、前線の近づく西日本以西も後半ほど雨が降りやすい。一方、おおむね高
気圧圏内となる東北や東日本は晴れる所が多い見込み。
・ 東シナ海からのびだす前線や前線上に発生するじょう乱の予想は安定してきているが、最新の資料に留意。
4.全般週間天気予報(案)
・ 北日本と沖縄・奄美は数日の周期で天気が変わり、気圧の谷の影響で雨の降る日がある。
・ 東日本と西日本は、高気圧に覆われて晴れる日もあるが、気圧の谷や湿った気流の影響で曇りや雨。
・ 最高気温・最低気温とも、北日本から西日本にかけては平年並か平年より高い。沖縄・奄美は、平年並。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの
形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。