Weekly Market Report 1. 為替相場概況

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Aug 15, 2016
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
「夏枯れ相場」の継続。17日発表のFOMC議事録要旨は波乱要因か。
USD/JPY (1週間の値動き)
原油⾼、株⾼を背景とした
リスクオン相場形成
不冴えな⽶小売売上⾼
(予想0.4%、結果0.0%)
(出所)Bloomberg
コメント
先週のドル円相場は、「夏枯れ相場」で市場参加者が少ない中、101円台前半から102円台半ばを中心とした小幅なレンジで推移。週初、
前週の堅調な⽶雇⽤統計を受け、世界的な株⾼や年内の⽶利上げ観測が拡がりドル買い円売りが先⾏、ドル円は一時102円台半ばまで上
昇。その後、⽶⻑期⾦利の低下等を背景にドル売りが優勢となり、週半ばには一時101円を割れる場⾯も⾒られた。週末にかけて原油⾼や株
⾼を背景にリスク選好に伴う円売り圧⼒が優勢となり、ドル円は再び102円台を回復するも、週末に発表された⽶小売売上⾼が市場予想を下
回ったことで円⾼が進⾏。結局ドル円は101.30円で越週している。今週のドル円相場は、引き続き「夏枯れ相場」の中、方向感が出難くいが、
Brexit後のFedの利上げスタンスが判明するFOMC議事録要旨は波乱要因となりそうだ。なお、15日(月)朝に発表された本邦4-6月期
GDPは冴えない結果(予想0.7%、結果0.2%)となったが、発表後のドル円相場へ与える影響は限定的となっている。 (市場営業部/山添)
USD/JPY(2年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
8/15(月)
(⽶国)NY連銀製造業景気指数
2.0
8/16(火)
(⽶国)住宅着⼯件数
1,176K
8/16(火)
(⽶国)CPI 除食品・エネルギー
2.3%
8/16(火)
(⽶国)鉱⼯業生産
0.2%
8/17(水)
(⽶国)FOMC議事録
-
8/18(木)
(⽶国)フィラデルフィア連銀景況感指数
1.3
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
⾼野一歩
今村仁
今週のレンジ
予想のポイント
100.00-104.00 近々⼤きな材料なく、来週のジャクソンホールでのイエレンFRB議⻑講演までは狭いレンジ内での動きに留まりそう。
100.00-104.00 ⽶利上げ再開気運は経済指標の好悪で一喜一憂。ドル円相場も方向感醸成は困難か。
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Aug 15, 2016
2. 円⾦利相場概況
順調な30年債⼊札を受けて円⾦利は低下。夏休みムードのなかでレンジ相場継続か。
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
30年債入札が
予想外に順調な結果に
10年債利回り
債券先物
(出所)Bloomberg
コメント
先週の円債市場は総じて堅調に推移し、10年債利回りは⼤きく低下した。週始めこそ⽶⾦利の上昇や、9日の30年債入札を控えた警戒
感から円⾦利は上昇したが、30年債入札が予想外に順調な内容となったことから円⾦利は⼤きく低下した。その後は祝日を挟んで様⼦⾒
ムードとなり小幅推移のまま結局10年債利回りは▲0.10%近辺で週の取引を終えた。
今週も前半はまだ国内では夏休みムードが強い。9月の日銀⾦融政策決定会合までは円債市場には不透明感が漂い、18日の5年債入
札の前には調整圧⼒がかかり易い一方で、日銀による国債買い入れオペによる下⽀えは不変であることから、円⾦利は当⾯方向感の出にく
い相場展開になるだろう。
(市場営業部/川口)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
後藤賢太郎
伊⾖浦有⾥恵
今週のレンジ
-0.13%-
-0.05%
-0.13%-
-0.08%
予想のポイント
本邦政策に不透明感が残るものの日銀の買い入れにより好需給は継続され、休暇明けの週後半からは低下余地を探る動き。
今週は内外環境ともやや⼿掛かりに⽋く中、日銀による⻑期国債買入からの下⽀えもあり、底堅く推移すると予想。
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Aug 15, 2016
3. 今週のトピックス
⽶雇⽤環境の現状整理と利上げ時期について
6⽉時点の⽶雇⽤環境については劇的な改善とはいえず、次回利上げは早くとも12⽉か
昨年末の⽶連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ以降円⾼トレンドが続いたが、このトレンドに一旦の⻭⽌めをかけた
のが、予想を超えた6月の⽶雇⽤統計・非農業部門雇⽤者数であった(実績:29.2万人増、予想:18.0万人増)。今回
は、8月10日(水)に⽶労働省が発表した6月求人・労働移動統計(JOLTS)を検証し、FOMCが重視する⽶雇⽤環境
について改めて整理すると共に、⽶利上げ時期について述べたい。
JOLTS:新規採⽤件数ほか(表.1:ご参照) ⽶次回利上げ時期について(図:ご参照)
JOLTSの新規採⽤件数(①)は、毎月新たに創出された
採⽤件数であり、⾃発的離職件数及び解雇件数の合計件
数(②:セパレーション)を差し引くことで採⽤件数純増(
③)が算出される。もし①が横ばいに推移しても、②が⼤幅
な減少となった場合には、③が⼤幅に増加することとなり、③
だけでは雇⽤環境の全容を把握することは困難である。
このような⽶雇⽤環境を踏まえ、図.に2016年4月末から
現時点までのFF(フェデラルファンド)⾦利先物の推移を図
示した。6月末時点から現時点までスティープ化しており、利
上げ時期については政策⾦利上限0.5%を超えている年明
け以降が⾒込まれている。今後⽶雇⽤環境の改善が一層明
確化・継続されれば、12月利上げの可能性も否定できない。
(市場営業部/山添)
⽶雇⽤統計:非農業部門雇⽤者数
非農業部門雇⽤者数は、農業以外の事業所の給与⽀払
い帳簿を元に従業員の増減数を表す指数であり、⾃発的な
離職者数や解雇者数は対象とされていない為、上記③に該
当する。その為、この指数だけで雇⽤環境の実態を把握する
ことは困難といえる。
新規採⽤件数ほかの推移(表2.:ご参照)
表.1:JOLTSの各指標の関係
①:新規採⽤件数
513.1万件
②:セパレーション
(⾃発的離職件数
・解雇件数・季節要因)
490.9万件
③:採⽤件数純増
22.2万人
図:FF(フェデラルファンド)⾦利先物の推移
2016年1月~6月までの新規採⽤件数他を表2.にまとめ
た。注目の2016年6月については、新規採⽤件数をみると
前月比+1.7%の微増。またセパレーションの内容については
、解雇件数が減少するも⾃発的離職件数も減少しており、
⼒強い内容というには言い難い。更に年明けから振り返ってみ
ると、ピークであった2016年2月から3ヶ月連続で減少した後
の微増であり、⽶雇⽤環境の悪化トレンドに⻭⽌めがかかった
程度というのが精一杯である。
表.2:新規採⽤者数等の推移
新規採⽤件数:①
前月比
セパレーション:②
⾃発的離職件数
解雇件数
季節調整
採⽤件数純増:③(=①-②)
(参考)非農業部門雇⽤者数
(単位:万件数)
2016年1月 2016年2月 2016年3月 2016年4月 2016年5月 2016年6月 2016年7月
514.8
551.0
529.0
508.5
504.7
513.1
-8.2%
7.0%
-4.0%
-3.9%
-0.7%
1.7%
493.7
515.9
509.6
501.5
497.8
490.9
274.6
290.5
294.8
290.9
294.2
290.9
178.3
180.8
176.8
170.6
170.1
164.3
40.7
39.7
38.0
39.8
33.4
35.7
21.1
35.1
19.4
7.0
6.9
22.2
26.2
17.2
24.5
12.3
1.1
29.2
25.5
出所:Job Openings and Labor Turnover Survey ,bloomberg
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