質問(16 条関連) P199 には「3)大地震動に対する安全性確保のための

質問(16 条関連)
P199 には「3)大地震動に対する安全性確保のための検討は(16.5)式による.なお、・・・
短期設計を行い,かつ,付着割裂強度に基づいて付着割裂に対する検討を行う場合には,
(16.5)式の検討を省略できる。」とありますが、保有耐力と変形性能 P393 に示された
付着割裂強度の式を適用して、安全を確認していれば、カットオフしている主筋の付着長
さに対する検討も省略可能ということですか。
また、保有耐力と変形性能 P393 の着割裂強度の式は柱を対象に提案されたとものと記
載されていますが、梁にも適用可能ですか。
(匿名希望)
回答
はじめに、二段筋がカットオフされている場合を対象としてお答えします。本会「建築
耐震設計における保有耐力と変形性能(1990)」(第 2 版第 1 刷)の 393 ページには、
RC 部材の付着割裂強度として(4.5.b)式および(4.5.c)式が紹介されています。これらは柴
田・桜井および藤井・森田による研究成果を示したものですが、両者とも二段筋の付着割
裂強度を評価したものではありません。これより、二段筋の付着の安全性確保のための検
討として、この二つの評価式を用いることはできないと判断します。
次に、カットオフされた鉄筋が一段目に配筋された場合についてお答えします。この場
合のように通し筋とカットオフ筋とが混在するときに、(4.5.b)式あるいは(4.5.c)式によっ
て付着割裂破壊が生じないと判断されたからと言って、スパン途中でカットオフされる鉄
筋の付着長さが十分であるか否かについては全く不明です。これより、このような場合に
おいても、この二つの評価式を用いることはできません。
なお「建築耐震設計における保有耐力と変形性能(1990)」の(4.5.b)式および(4.5.c)式
を梁部材に適用可能かとのご質問は、RC 規準 Q&A の趣旨からは逸脱しますが、両式と
も RC 梁部材に適用してよいと考えています。特に(4.5.c)式は軸力のない付着実験から導
かれた実験式ですので、本来は梁部材に適用されるものと考えます。