ナノ計測・分析領域(拠点名)京都・先端ナノテク総合支援ネットワーク(実施機関名)北陸先端科学技術大学院大学 Kyoto-Advanced Nanotechnology Network 平成21年度 トピックス ナノ計測・分析領域における支援成果 シクロデキストリンのホスト ゲスト相互作用を シクロデキストリンのホスト-ゲスト相互作用を 利用したグラフェン超分子構造の構築 a金沢大学大学院自然科学研究科 生越友樹a,市原有人a,山岸忠明a,中本義章a 【研究目的】 グラフェン(図1a)は、グラファイトの一層分に相当する物質で、優れた電気伝導 性・機械的特性を示すために様々な分野で応用が期待されている。一方、シクロデキス トリンはグルコースを構成単位とした環状化合物で、空孔内部が疎水性であるため、水 中において疎水性ゲスト分子を包接する能力を有している。本研究では、カルボキシ基 を有するグラフェンオキシド(GO)とアミノ基修飾シクロデキストリン(PACD, 図1b)間の イオン相互作用を利用し GO-PACDハイブリッド(図1c)の合成を行った イオン相互作用を利用し、GO PACDハイブリッド(図1c)の合成を行った。またPACDに取 またPACDに取 り込まれるアダマンチル基を連結したゲストダイマー(Ad-Dimer,図1d)を、GO-PACDハイ ブリッドに添加することで、グラフェンを基とした超分子ネットワークポリマーの合成 を試みた(図1e)。 【成 果】 GO水溶液にPACDを加えた際の凝集状態をTEM測定から観察した。PACDを加えていくこ GO水溶液にPACDを加えた際の凝集状態をTEM測定から観察した PACDを加えていくこ とにより、板状のGOが会合した構造を形成することが分かった(図1c)。一方未修飾のCD を用いた場合では、このようなGOの会合は起こらなかった。これより、PACDが架橋点と なりGOが会合していくことが明らかとなった。PACDとGO間の相互作用を検討するために FT-IR測定を行った。PACDでは、1747cm-1にカルボン酸のC=O伸縮運動に基づくピークが 確認されたが、GO-PACDハイブリッドでは、そのピークがほとんど消失した。これより、 PACDのアミノ基とGOのカルボキシ基のイオン相互作用によって複合化していることが分 か た 次に GO PACD イブリ ドにAd Di かった。次に、GO-PACDハイブリッドにAd-Dimerを加えていった際の構造変化をTEM観察 を加えてい た際の構造変化をTEM観察 から確認した。 Ad-Dimerの添加により、GOが積層した会合体を形成していることが明 らかとなった(図1e)。これより、Ad-DimerがGO-PACDハイブリッド間を連結した超分子 ネットワークポリマーが形成していることが分かった。 図1 グラフェンオキサイド(GO)とアミノ基修飾シクロデキストリン(PACD)とのGO-PACDハイブリッドの合成、 及びGO-PACDハイブリッドを基とした超分子ネットワークポリマーの構築
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