平成27年度 公立高校入試 理科 詳細解説

平成27年度 公立高校入試 理科 詳細解説
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問1 (1) 中3 イオン
中和反応の例
塩酸 + 水酸化ナトリウム → 塩化ナトリウム + 水
これを化学反応式で書くと
HCl  NaOH  NaCl  H 2 O
これを電離した状態のイオンで表すと
H   Cl   Na   OH 
アルカリの陽イオンNaと酸の陰イオンClがくっつくので、できるのはNaCl
このように中和でできる物質を 塩 という
(なお、アルカリの陰イオンと酸の陽イオンがくっつくと、水ができる。)
答 塩
(2) 中3 太陽系
太陽系の惑星の大小順で、大きい2つと、小さい2つは覚えておく。
惑星
赤道直径
赤道直径は、地球を1とした時の比較数値である。
①
木星
11.2
②
土星
9.4
③ 天王星
4.0
④ 海王星
3.9
⑤
地球
1.0
⑥
金星
0.95
⑦
火星
0.53
⑧
水星
0.38
答 木星
(3) 中1 植物のつくり
植物の維管束の並びは必須暗記。
道管と師管の束を維管束という。
種子植物だけでなく、シダ植物にも
維管束は見られる。
答 維管束
(4) 中1 レンズと光
凸レンズで、光軸と平行な光が通ると、一点に集ま
る。その点を、焦点という。
光軸
答 焦点
(5) 中3 太陽の1年の動き
左の図のように、天球(地球)が止まっているように
見ると、太陽が星座の間を動いていくように見える。
この見かけの動きを、太陽の年周運動という。
また、その時の通り道を黄道という。
答 黄道
(6) 中2 電流の正体
電気が空間を移動したり、たまっていた電気が流れだす現象を放電という。
その中でも、圧力を低くした気体の中で電流が流れる現象を真空放電という。
答 真空放電
問2 中1 光学式顕微鏡
光学式顕微鏡の倍率は、接眼レンズの倍率×対物レンズの倍率で求められる。
接眼レンズ15倍、対物レンズ40倍から求めるので、15×40=600倍となる。
答 600倍
問3 中2 天気の様子
天気は、空全体を10として、雲に覆われている量で晴れか曇りか
を決める。この、空を覆っている雲の量を雲量という。
天気
快晴
晴れ
くもり
雲量
0~1
2~8
9~10
問題は雲量7なので、晴れ。
天気記号で答えるので、表から選ぶ。
快晴、晴れ、くもり、雨、雷、雪、あられ、霧、天気不明
この9個は教科書に載っているので、必ず覚える。
答 問4 中3 微生物の働き
分解者の菌類を選ぶ問題。
大事なのは、菌類と細菌類の区別を覚えているかどうかである。
菌類は多細胞の菌糸でできている。細菌類は単細胞でできている。
これで理解するのは難しく、「菌類はキノコやカビ」と覚える方が楽である。
選択肢ウの乳酸菌は、菌類を選ばせる上で定番の引っかけ問題である。
答 イ エ
問5 中1 密度
質量(g)
密度=
体積(㎤)
この公式で求めることができる。
また、問題にg/㎤と単位があり、これ自体が公式を表しているので、
公式を忘れていても、単位が公式を表していることを理解していると解ける。
答 9g/㎤
問6 中3 電離
電離式を書くときは、陽イオンと陰イオンを覚えておく必要がある。
覚えるのが無理だと思う子は、金属は+2の陽イオン(銀イオンは例外)と覚えるのもあり。
その方法でCuが+2だとすると、それにClが二つで-2となり、Clが-1だとわかる。(全体で0)
CuCl2  Cu 2  2Cl 
+2ではなく、2+と表記することが大事
答
Cu
2+
Cl
-
問7 中1 圧力
この圧力の公式をつかって求める。問題はPaを求めよとなっているが、
重さ(N)
面積(㎡)
N/㎡=Paであり、数値の違いはないことを知っておく必要がある。
この問題は、辺の長さがcmで置いてあり、mに直して解く必要がある。
cmのまま解きたい場合は、次の公式で解くとよい。
圧力=
圧力=
重さ(N)
面積(㎠)
×10000
圧力=
2N
25㎠
×10000
= 800
答 800Pa
2
問1 中1 気体の性質
気体の集め方は、左の図の3つとなる。
この問題の図では、水上置換法が答えとなる。
また、この方法で集めることができる気体は、水に
溶けにくいことが条件。
・水上置換法→酸素 水素 二酸化炭素 窒素 メタン
・下方置換法→二酸化炭素 硫化水素 塩化水素
・上方置換法→アンモニア 水素
教科書に載っている各収集方法の気体例は覚えること
水上置換法
答 水に溶けにくい
問2 中2 物質の分解
試験管中の物体を加熱する実験で、加熱をする前にする作業の定番記述問題である。
この試験管の実験で聞かれる記述は、加熱をやめる前の作業と、試験管の口を下げている理由、
この2つが定番で、必須内容でもある。
加熱をやめる前の作業:液体からガラス管を抜いておく
理由:逆流するのを防ぐため
試験管の口を下げている理由:液体が加熱部に流れて試験管が割れるのを防ぐため
この知識を、問題の文章に合うように調整する。
答 水が試験管に逆流する
問3 中2 化学反応式
化学反応式の決まり:→の両サイドの原子の個数をそろえる
化学反応式をつくる上で、分子をつくる物質とそうではない物質の区別は大事。また、反応後にで
きる物質の化学式がわかるかどうかも大きな要素となる。
マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム これを化学反応式にすると、
2Mg  O2  2MgO
これをもとに原子モデルを考える。
2Mg+ O 2 → 2MgO
答 エ
問4 中2 化学変化と物質の質量
反応終了 +0.2g
1回目 +0.1g
1回目の加熱で何%のマグネシウムが酸化したかを求める
のだが、この問題はグラフから考えるのが最も簡単である。
加熱1回目で、+0.1g 反応終了で+0.2g
この時点で、全体の半分が反応したことがわかる。
1回目の加熱で、0.1g増加しており、これが酸素の重さな
ので、マグネシウム:酸素=3:2を使って反応したマグネシ
ウムの重さを求めると、1.5gとでる。これから50%とするもの
OKだが、遠回りである。
答 50%
問5 中2 化学変化と物質の質量の規則性
銀とマグネシウムの質量比を求める問題だが、類題として銅とマグネシウムの質量比を解く問題
がある。それと同様の酸素との質量比をもとに求めていく解き方で解いていく。
マグネシウム:酸素=3:2 これは必須暗記事項
銀と酸素の質量比は、実験の数値から求める。
酸化銀2.9gが加熱後に2.7gとなっており、酸素0.2gと化合していたことがわかる。
銀:酸素=2.7:0.2=27:2
それぞれの酸素の比の数値をもとにすると、
銀 : 酸素 : マグネシウム = 27 : 2 : 3 となる。これより、27:3=9:1
答 9:1
3
問1 (1) 中2 ベネジクト液の反応
ベネジクト液の反応のためには、加熱する必要がある。また、加熱するので、沸騰石を入れるのが
必須。ベネジクト液は糖と反応すると、青色から赤褐色(糖が少ないと黄色)となる。
沸騰石を入れて加熱する
答 エ
(2) 中2 食物の消化
消化液を使用したデンプンの消化の実験の記述問題。
こちらも記述としては定番の、対象実験の理由の記述。暗記している子も多いだろう。
デンプン+水の試験管を用意するのは、水だけで分解されていないことを確かめるため。
これは、炭水化物、タンパク質、どちらの分解だとしても同様。
答 水だけでは分解されないことを確かめるため
(3) 中2 消化酵素
消化酵素をX、Y二つを用いた実験。どの消化酵素で、どのような変化があったかを把握する。
表1がデンプンの結果、表2がタンパク質の結果を表している。
表1から、試験管Qでデンプンがなくなっており、消化酵素Yでデンプンが分解されたことがわかる。
表2から、試験管Pで変化があり、消化酵素Xでタンパク質が分解されたことがわかる。
また、デンプンは糖(ブドウ糖)、タンパク質はアミノ酸に分解される。
部位
口(唾液)、すい臓
胃
すい臓
消化酵素
アミラーゼ
ペプシン
トリプシン
リパーゼ
主な働き
デンプンを分解
タンパク質を分解
デンプン、タンパク質、脂肪を分解する消化
酵素は左の表となる。
左記の消化酵素4つは、教科書にも載っている
ので、必須暗記である。
脂肪を分解
答 ①イ ②ア ③ア
問2 (1) 中2 消化液
部位
消化液
口
唾液
胃
胃液
肝臓(胆のう)
胆汁
すい臓
すい液
肝臓で作られる消化液は、胆汁。
胆汁は消化酵素は含んでいないが、脂肪を細かい粒にするはたらきがある。
肝臓の働きで絶対覚えることは2つある。
・一時的に養分を蓄える。
・有害なアンモニアを無害な尿素に変える。
選択肢
ア:血液中の有害なアンモニアを無害な尿素に作り変える。 →肝臓
イ:血液中から尿素など不要な物質を取り除く。 →腎臓
ウ:規則正しく収縮する運動によって、全身に血液を送り出す。 →心臓
エ:尿素など不要な物質を、尿として体外に排出する前に一時的にためる。 →ぼうこう
答 胆汁 ア
(2) 中2 柔毛
小腸の壁の微小な突起は、柔毛とよばれる。
柔毛は、表面積を大きくすることで、吸収の効率をよく
することを目的とした構造である。この部分が記述として
出題されることもある。
似たような構造をしているのが、肺の肺胞。こちらも表面
積を大きくするための構造をしている。
柔毛の中には、毛細血管とリンパ管が通っている。
毛細血管でブドウ糖とアミノ酸、リンパ管で脂肪酸とモノ
グリセリドを吸収する。
ただし、脂肪酸とモノグリセリドは、再度脂肪となってリン
パ管に吸収される。
答 ①柔毛 ②イ
4
問1 (1) 中3 力の分解
力の分解をする場合、分解する力の方向を決めないといけない。
この問題は、「糸に平行」「糸に垂直」と指定してある。
力の分解の作図は、下記の手順にて行う。
①分力を求めたい方向に、力の始点から線を引く。
②力の矢印の先端から、①で引いた線に垂線を引く
③②の垂線と①の線との交点まで、力の始点から矢印を引く
基本は、平行四辺形を作図することです。
回答欄にマス目があるので、この問題は書くのが楽な問題です。
答
(2) 中3 力と物体の運動
左図のA~Bの間の運動についての問題です。
A~Bの間は、位置エネルギーが減った分、運動エネルギーが増える
運動で、速さは速くなっていく。
また、Bでは位置エネルギーが0となり、運動エネルギーが最大、
つまり、速さが最大の位置である。
重力は真下に働いており、B点では糸に水平な力のため、横方向の
分力はない。つまり、運動方向にはたらく力は0で最小。
重力
答 ①ア ②イ
(3) 中3 力学的エネルギー
この振り子のどこかをPとして、エネルギーの大小を考える。
A点での位置エネルギーがPの位置エネルギーの4倍とある。
A点の位置エネルギーは最大で、運動エネルギーは0。
A点での位置エネルギーを仮に10だとする。
(10割、100%に合わせて数字を決めると計算が楽)
力学的エネルギーの保存から、運動エネルギーと位置エネル
ギーの和は一定。つまり、A点で10としたので、どこでも和が
10となる。
A点での位置エネルギーがPの位置エネルギーの4倍より、
P点の位置エネルギーは10÷4=2.5とわかる。
これより、P点の運動エネルギーは10-2.5=7.5
よって、7.5÷2.5=3
P点では運動エネルギーが位置エネルギーの3倍である
答 3倍
問2 (1) 中3 エネルギーの移り変わり
力学的エネルギーは保存される。しかし、それは摩擦がない場合のみ。
おもりを離した直後のエネルギーをE1、木片に衝突した直後の木片のエネルギーをE2、
衝突時に音エネルギーなどでエネルギーが減少するので、E1>E2
問題の図より、木片は減速して停止している。つまり、摩擦のある面で運動していることがわかる。
手をこすったら温まるように、摩擦のある面での運動では、熱エネルギーが発生する。
つまり、熱エネルギーとしてエネルギーが放出され、木片のエネルギーは減少していく。
衝突直後の木片のエネルギーE2に比べ、停止した時の木片のエネルギーE3は熱エネルギーの分
少なくなっている。よって、E2>E3
答 エ
(2) 中3 ストロボスコープ(速さの計算)
位置Xから位置Yまでの平均の速さを求める。速さの計算なので、移動距離、移動時間の二つを
図から読み取る必要がある。
位置Xは0.6cm、位置Yは4.6cm、よって、移動距離=4.0cm
ストロボスコープの発光間隔は問題文より0.02秒。
位置Xは2回目、位置Yは6回目、よってXYの間に4回の発光。
これより、移動時間=0.02秒×4=0.08秒
平均の速さ=4.0÷0.08=50cm/秒
答 50
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問1 中1 地震計
地震計のしくみは、つるしてあるおもりは動かずに、記録紙が動く
事で揺れが記録されるようになっている。
おもりが動かないのは、静止しているものは静止し続けようとする
慣性がはたらいているからである。
地震計自体は、床に固定されている。
選択肢
ア:記録紙は地震のゆれ対してほとんど動かないが、おもりと針は
ゆれとともに動くので記録することができる。
床に固定されているため、記録紙は必ず動く
イ:記録紙とおもりと針が、地震のゆれとともに動くので、ゆれを記録
することができる。
全部一緒にゆれたら、正しいゆれが記録できないため誤り
ウ:記録紙は地震のゆれとともに動くが、おもりと針はほとんど動か
ないので、ゆれを記録することができる。
最初の説明に合致するので、正しい
エ:記録紙はゆれに対してほとんど動かないが、おもりと針はゆれと
反対方向に動くので、ゆれを記録することができる。
ア同様、床に固定されているため記録紙は必ず動く
答 ウ
問2 中1 地震
地震は、最初の小さいゆれの初期微動、遅れて大きく
ゆれる主要動がある。
初期微動が始まってから主要動が始まるまでの時間を、
初期微動継続時間という。
初期微動を伝える波をP波、主要動を伝える波をS波
という。
答 ①初期微動 ②主要動 ③イ
問3 中3 プレートの動き
大陸プレートの下に海洋プレートがもぐりこみ、その
時に大陸プレートを引っ張ることでひずみが生じる。
その後引っ張られた大陸プレートがもとの形に戻ろう
と跳ね上がることで地震と津波が発生する。
左図がそれを模式的に表した図である。
[Ⅰ群]より、プレートの動きの正しいものを選び、
[Ⅱ群]は、地震の起き方のしくみについて正しいもの
を選ぶ。
選択肢
カ:海洋プレートが大陸プレートを引きずり込み、引きずり込まれた大陸プレートがひずみにたえきれな
くなると、岩石の破壊や大陸プレートの反発により地震が起こる。
上記の説明と一致し、正しい
キ:海洋プレートが大陸プレートを押し上げ、押し上げられた大陸プレートがひずみにたえきれなくなると
岩石の破壊や大陸プレートの反発により地震が起こる。
引きずり込んでいるが正しいので、この選択肢は間違い。
ク:大陸プレートが海洋プレートを引きずり込み、引きずり込まれた海洋プレートがひずみにたえきれな
くなると、岩石の破壊や海洋プレートの反発により地震が起こる。
大陸プレートと海洋プレートが逆になっており、この選択肢は間違い。
ケ:大陸プレートが海洋プレートを押し上げ、押し上げられた海洋プレートがひずみにたえきれなくなると
岩石の破壊や海洋プレートの反発により地震が起こる。
キ同様、押し上げているのは間違い。
答 [Ⅰ群]ウ [Ⅱ群]カ
問4 (1) 中3 初期微動継続時間
上記の表から、BとC地点それぞれの初期微動継続時間を求める。
B地点:15秒~25秒なので、10秒
C地点:30秒~55秒なので、25秒
初期微動継続時間は、震源からの距離に比例するので、グラフ上
にBとCの2地点を取って、直線で結ぶ。
答
(2) 中3 地震の時刻計算
地震の問題で時刻に触れる問題では、必ずP波、S波の速さを求めることが大事である。
B、C地点のXが始まった時刻を参考に、P波の速さ=(150-60)÷(30-15)=6km/秒
同様に、Yが始まった時刻を参考に、S波の速さ=(150-60)÷(55-25)=3km/秒
A地点は震源距離120kmなので、BかC地点どちらかを基準として時刻を計算する。
波の速さをもとに、波が伝わるのにかかった時間を算出していく。
B地点基準とすると、ABの距離の差÷S波の速さ=移動時間、でB地点からA地点まで波が伝わ
るのにかかった時間を算出できる。(120-60)÷3=20秒
よって、B地点の20秒後にゆれYが始まったことが求められる。
答 6時32分45秒
(3) 中3 地震の時刻計算
基本的解き方は全問の(2)と同様。波の速さから時刻を求めていく。
震源距離30km地点なので、B地点を基準とすると、B地点より早くゆれが始まったはずなので、
(60-30)÷6=5秒 これより、B地点の5秒前にゆれXが始まったことがわかる。
よって、震源から30km地点のゆれXの始まった時刻は、6時32分10秒
この4秒後に緊急地震速報が伝わったとあるので、速報の時刻は6時32分14秒
震源から135km地点で地震速報の何秒後にゆれYが始まるか求めたいので、ゆれYの始まった
時刻を求める。
(2)で求めた120km地点が近いので、それを基準として考えていく。
(135-120)÷3=5秒 よって、120km地点(6時32分45秒)の5秒後にゆれYが始まる。
つまり、6時32分50秒にゆれYが始まる。
速報が6時32分14秒、ゆれYが6時32分50秒
この時刻差=50-14=36秒
計算結果から36秒後である。
答 36秒後