lIVIa-4 媒染による絹布の藍染 小見山 二郎*、関口 彩香*、舘野 公妙子

〔(社) 日 本 家 政 学 会
被 服
lIVIa-4 媒 染 に よ る 絹 布 の 藍 染
小 見 山 二 郎*、 関 口 彩 香*、 舘 野 公 妙 子*、 樋 口 麻 里 央*
*
(*実 践 女 大 *
*お 茶 の 水 女 大 ・ 院)
【 目的 】 竹内 淳子 著 。藍 I 、 n 、法政 大 学 出 版局('91,' 99) を 精読 す ると 、 伝 統的 な 藍 染 にお け る
発 色 に カル シウ ム 、マ グネ シ ウム、 鉄、銅、ア ルミ ニ ウ ムな ど の金 属 イオ ン が 、晒、 藍 建 て、泥染 め 、
洗 い な どの 過 程で 関 与 して いた 可 能 性が 読 み取 れ る。各 過 程で の 金属 イオ ン の 関 与に よ り 濃色。 黒 色、
緑 色 、紫 色 に 染ま る こと が 記述 の 中に 見 え隠 れ す る。紀元 前 4千 年 か らの 藍 染 の雁 中 の中 で 、経 験 的
に藍 の 媒染 が試 みら れ たこ と は充 分想 像 で きる 。本 研 究 では48 種類 の金 属塩 を 用 いて 。 絹 の藍 染 の
媒 染 を試 み た 。4種 類 の 金 属 塩 で藍 の 濃 色 、緑 色 、 濃 茶 色 、 茶 色 の 色相 に 染 ま る こ と が 分 か った 。
【実 験 】Mg、Ca、Cu( 、II)、 Fe、Al 、他 の48 種 の 金 属の 一 価ア ニ オ ン塩 の0.1H 溶液 で 、一 昼夜20 °C
で平 織 絹布 を 先 媒染 し た。田中 直 製イ ン ド藍 染 液 、発 色剤 等 を 用い た 処方 に よ り染 色 し たが、 ハイ ド
ロ建の合成イ ンジゴによる染色も 行った。染色物の後 媒染の効果も調べた 。
【結果 】Mg 、Ca、Fe、AI 塩 など は 効果m 忍めら れ な かっ た が、 銅(I)塩 に よ り顕 著 に 濃色 化 す るこ
と がわ か った 。銅(n) で は濃 色化 は 起 こり 難 く青昧 がう す くな っ た 。Ce(Ⅲ)塩 で先 媒 染 す ると 、緑 色
が 勝 った 色 相 を得 た。 Ag塩 で は濃 茶 色、Pd 塩 で は茶 色(金 属塩 の み で濃 黄)を 得た 。 銅(I)塩媒 染布
のK/S 値 は 、媒 染し な い染 色 布 での650nm のピ ー クが 。2倍 以上 の 値 とな る と共 に590nm に 移 った 。
同 時 に400 ∼450nm で右 下 が りの 僅 かな 吸 収 が見 られ た 。 Ce塩で は 、この ピー ク は ほぼ等 しい 波 長で
少 し 高 <な った が、400 ∼500 の 吸 収が 現 れ、400niii
で ピー ク の3/4 で 右下 が り のパ タ ー ンが 重 な る
よ う に な った。 これ は紫 一青の 反 射力溺 くな って い るこ と を示 す 。Ag、Pd で は上 の ピ ー クが 消 え、
右下 り のパ ター ン が 主に な った 。こ の よう な変 化 は 染料 が 紫外 部 に吸 収 ピー クを もつ 状 態 に変 っ たた
めと見なされる。堅牢 度の変化と高いエチ ルメルカプタンの消臭 性も報告する 。
lMa-5 輸 入 衣料 品 の染 色堅 牢度 − その 2
小見 山 二郎 、 ○勢 畑 章 子、 関 口 彩 香
( 実 践 女 大)
【 目的 】 現 在国 内で 販売 され る 衣 料の68%
は輸 入品 で あ る。 消 費者 の立 場 か らは 、 それ らの 品質 を
客観 的 に評 価 す るこ と が望 ま しい 。染 色 堅牢 度 は衣 類に 対 す るク レー ム の うち 最多 の 項 目で あ るの で、
昨年 の 報 告に 続 いて 本 報で は 実際 に 市場 で 大量 販売 され てい る衣類 を 購 入し 、洗 濯 、日 光 、摩 擦 堅牢
度 を調 べ た結 果 を翰 告す る。また 洗濯 に よ る色 落ち 及 び光 照 射に よ る染 料 分解 と色 差 の 間 の経 験 的な
関 係 を 指 摘 し 、 衣 料 品 の 変 退 色 が起 こ る 要 因 を 考 え る 。
【実 験 】大量 販 売 され て い る衣 料 品 を購 入し 、上記 の 堅牢 度 を常 法 に従 っ て調 べ た。洗 濯 温度 は40 、
70°C。 ガ ー ド ナ ー 社 製 色 差 計 で 色 差 を 測 定 し た 。 目 測 に よ る 変退 色 の 等 級 付 け も 行 っ た 。
【結 果】ユ ニク ロ 他 で購 入 した 衣 類 を蛍 光増 白 剤を 含 まな い 市販洗 剤で 洗濯 し た 。目視 に よ る等級 付
け は 信頼 で き なか った の で 、∠E 値 か ら等 級 付け を行 っ た 。洗 濯堅 牢度 は全 般 に良 好 だ った が 、移 染
が 見られ る も のも あ った 。今回 の サ ンプ ル は洗 濯に よ り 濃色 化し た もの が 多 かっ た 。衣 類 の縮 み が そ
の 主 な要 因 で あっ た 。摩 擦 堅牢 度 、特 に 湿潤時 の 移 染に 問 題の あ るも の が過 半 数を 占 めた 。前 報 と 同
様に∠E と{1 −(K/S)r } (X)( 洗 濯、 光照 射に よ る染 料の 脱 離 。分 解 の割 合) の 関 係を見 ると∠E =
ax^+ b の関 係 が成 立 した 。こ の関 係 は 濃色 化の 場合 に も 成立 つ 。し かし この 関 係に 従 わな い 変退 色 も
あり 、用い られた 染 料 の性 質 との 関 係 をよ り詳 し く調 べ る必 要 があ る 。衣 類 の変 退 色 は、素 材、 染 料、
染色 法 およ び 後 処孫 、洗 濯他 の使 用 条件 に 起因 す る。 前 報の 結 果も 含 めて 。 変退 色 の 主因 を考 え る 。
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