【視点・論点Ⅱ】 郵政改革・定期付終身簡易生命保険の真の課題 郵政改革の議論が進む中で、簡易生命保険で「定期付終身保険」が新たな商品として導入された。これ までの簡易生命保険では、 「終身保険」は存在したものの、 「定期付」がなく、民間生保同様の定期付終身 保険を新たに導入することとなったのである。これにより、たとえば、65歳以上の保険金額を縮減する といった商品設計が可能となった。 (図表1)定期付終身保険の構造例 <民間生命保険> <簡易生命保険> 平均保険 金額 2,935 万円 加入限度額 1,000 万円 65 歳 平均保険 金額 65 歳 350−450 万円 (資料)総務省 この新商品は、簡易生命保険法第21条で定められた保険約款の変更として実現したものである。簡易 生命保険の新規契約件数等が大きく減少を続ける中で、その歯止め策の一つとして導入された商品と言える。 (図表2)簡易生命保険と民間生命保険の新規契約の推移 (1993=100) 年度 簡 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 新規契約件数 保 民間生保 100 88 89 76 66 73 64 63 57 52 41 100 97 96 80 71 73 65 67 72 72 70 新契約保険金額(個人) 簡 保 民間生保 100 89 93 91 80 77 66 63 63 57 45 100 99 99 94 82 75 72 72 69 68 60 (資料)総務省、生命保険協会 今回の新商品導入については、民間生保業界から民業圧迫との批判も生じた。しかし、もっと重視しな ければならない課題がある。それは、政府が民営化に向けた議論を展開する中で、終身の政府保証付き新 商品を販売するということである。簡易生命保険は政府保証付きであり、「終身」の場合、終身の契約が 終了するまで政府保証が契約者に提供される。簡易生命保険が仮に完全民営化された場合、終身として提 供された政府保証をいかに措置するかは、政府・契約者両者にとって極めて重要な課題となる。 「PHP 政策研究レポート」(Vol.6 No.78)2003 年 12 月 24
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