日 本 版 E S O P 取 引 の 開 示 上 の ポ イ ン

今期の論点はココ!
早期適用企業の注記記載事例にみる
早川 和宏
有限責任 あずさ監査法人
公認会計士
以降、これらの注記事項の具体的
2.
各期の株主資本等変動計算書に係る注記
(同18項)
⑴ 当期首および当期末の自己株式数に含まれる信託が保有する自社の株
式数
⑵ 当期に増加または減少した自己株式数に含まれる信託が取得または売
却、
交付した自社の株式数
⑶ 配当金の総額に含まれる信託が保有する自社の株式に対する配当金額
な内容の説明とその記載事例を紹介
する。
⑴ 取引の概要
⑵ 総額法の適用により計上された自己株式について、純資産の部に自己株
式として表示している旨、
帳簿価額および株式数
⑶ (従業員持株会型取引の場合)総額法の適用により計上された借入金の
帳簿価額
取引の概要および
総額法適用に係る
注記(実務対応報告 項)
図表1の⒈⑴の
「取引の概要」につ
もって代えることができる。
連結財務諸表に当該注記がある旨を
場 合 に は、 個 別 財 務 諸 表 の 注 記 は、
財務諸表の注記の内容が同一となる
記する。なお、連結財務諸表と個別
の注記事項として、図表1の⒈を注
連結財務諸表および個別財務諸表
16
1.
当該従業員株式所有制度の概要
(たとえば、従業員株式所有制度の仕組
み、
および信託を利用する場合には受益権の内容)
2.
従業員等持株会に取得させ、または売り付ける予定の株式の総数または
総額
3.
当該従業員株式所有制度による受益権その他の権利を受けることができ
る者の範囲
はじめに
実務対応報告では、実務対応報告
「企業内容等の開示に関する内閣府令」
第三号様式 記載上の注意27-2
(第二号様式 記載上の注意
(47-2)
準用)
実務対応報告で求
められる注記事項
への福利厚生を目的とするいわゆる
3項の従業員持株会に信託を通じて
業員持株会型取引」という)または実
(図表2) 「従業員株式所有制度の内容」
で定められる具体的記載事項
年3月期において、従業員
日本版ESOP取引については、平
自社株式を交付する取引(以下、「従
「従業員等に信託を通じて自社の株
務対応報告4項の受給権を付与され
⑴ 総額法の適用により計上された自己株式を、控除する自己株式に含めて
いる旨
⑵ 総額法の適用により計上された期末および期中平均の自己株式の数
平成
号
式を交付する取引に関する実務上の
た従業員に信託を通じて自社株式を
月公表の実務対応報告
取扱い」(以下、
「実務対応報告」
とい
交付する取引(以下、「受給権付与型
年
う )が 強 制 適 用 さ れ る。 実 務 対 応 報
取引」
という)を行っている場合、次
成
告では、一定の注記すべき事項を定
の注記事項が求められている。
・取引の概要および総額法適用に係
めているため、これに従って適切な
開示を行う必要がある。
本稿では、実務対応報告で求めら
・株主資本等変動計算書に係る注記
る注記
せて早期適用会社の注記記載事例を
・1株当たり情報に関する注記
れる注記事項について解説し、あわ
紹介するので、日本版ESOP取引
経理情報●2015.3.20(No.1408)
29
30
・経過的な取扱いを採用する場合の
1.
取引の概要および総額法適用に係る注記
(実務対応報告16項)
27
12
に係る開示上のポイントを押さえて
注記
(図表1) 実務対応報告が求める注記事項
Ⅳ
25
いただきたい。
3.
1株当たり情報に関する注記
(同17項)
日本版ESOP取引の
開示上のポイント
3月決算総特集