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バンクローン
ポートフォリオ・マネジャーのティモシー J. セトルが、米国バンクローン資産の運用、市場の非
効率性、現在のポートフォリオ・ポジショニングについて概観します。
Q: バンクローンの運用哲学について聞かせてください。
A: バンクローンという資産クラスには、ファンダメンタルな信用指標に関する解釈の相違や需給不
均衡に起因する非効率性が存在する、というのが基本的な考え方です。当社のバンクローン商品
は、銘柄選択、セクター配分、格付け配分を主要戦略として、長年にわたりそうした非効率性を利
用してきたベテランのポートフォリオ・マネジャー、クレジット・アナリスト、トレーダーの専門性を
活かし、ベンチマークをアウトパフォームすることを目指しています。
ティモシー J. セトル
運用経験年数:22年
現在バンクローンは魅力的な投資機会を提供していますか。
ウエスタン・アセット・マネジメ
ント・カンパニー
ポートフォリオ・マネージャー
2001年‒現在
当社は債券市場の他商品と比べた場合、バンクローンに魅力的な投資機会があると考えています。
バンクローン投資により、高水準のインカム収入が得られ、かつ、変動金利であるため金利上昇局
面ではより高いインカムを享受することが可能です。
ラザード・フレール& Co.
ポートフォリオ・マネージャー
1995年‒2001年
ベアー・スターンズ
モーゲージ・アナリスト
1993年‒1995年
学歴:
ニューヨーク大学 M.B.A.
リーハイ大学 B.S.
市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が今年の夏場に利上げを開始すると予想されていますが、
その場合バンクローンのパフォーマンスにどのような影響があるでしょうか。
金利が大幅に上昇し始めると、バンクローンは極めて良好なパフォーマンスを上げるとみられま
す。しかし当社は当面そうした展開を予想していません。FRBの利上げの開始時期とペースは、市場
が予想しているよりも遅くて緩やかになるとみています。従って、当社のバンクローンに対する明る
い見通しは金利上昇を前提にしたものではありません。もちろん、金利が上昇し始めると、バンク
ローンのクーポンも上昇し始めます。ただし、ほとんどのローンにはLIBORフロアと呼ばれるLIBOR
の下限金利が設定されており、現在その下限を下回っているため、金利が上昇し始めてから実際に
クーポンが上昇するまで若干時差があります。つまり、ほとんどのローンのフロアは「イン・ザ・マネ
ー」の状態にあるため、LIBOR金利が50ベーシス・ポイント(bp)∼75bp上昇しなければ、投資家の
クーポン収入は現行水準から増えません。
バンクローン・ポートフォリオの現在の主要テーマはどのようなものですか。
セクター配分はかなりディフェンシブです。テクノロジーや消費循環セクターなど、長期的に高ボラ
ティリティのセクターをアンダーウエイトし、消費非循環セクターやエネルギーなど、長期的に低ボ
ラティリティのセクターをオーバーウエイトしています。銘柄選択ではそれよりアグレッシブなスタ
ンスをとっています。第二順位抵当権付きローンやハイ・イールド債を含む格付けが低い銘柄をオ
ーバーウエイトし、高格付け銘柄をアンダーウエイトしています。
これらの戦略は今年度どのような実績をあげていますか。
エネルギーセクターのオーバーウエイト・ポジションはアンダーパフォームしました。S&P/LSTAパフ
ォーミング・ローン・インデックス(エネルギーを除く)の年初来のリターンは約2.25%でしたが、エ
ネルギー企業のローンのリターンは横ばいでした。過去の実績をみると、エネルギーセクターは他セ
クター対比で最も変動が少なく、デフォルト率は最低水準となっています。エネルギー企業の資産
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Q&A 2015年4月
バンクローン
は資金繰りが逼迫した場合には代替や処分が可能であり、エネルギー企業は経営環境が厳しい時
期には厳格な投資方針を迅速に適用してきました。現在エネルギー企業の資産に老朽化や陳腐化
は生じていません。しかし、2014年第4四半期(10-12月期)以降の原油価格の急落により、ローン
のパフォーマンスはエネルギーセクターが最下位となりました。加えて、当社が保有するエネルギー
銘柄は総じてレバレッジ比率が高く、それもパフォーマンスに悪影響を与える要因となりました。
ファンダメンタルズの観点から、平均的なバンクローン発行体の現在の状況をどうみていますか。
エネルギー、小売、金属・鉱業セクターを除くと、BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)はまずまず
の状態です。キャッシュフローは概ね良好で、発行体は十分に資金調達でき、一部の企業は既に負
債を削減しています。全体的に、平均的なローン発行体のレバレッジ比率は長期平均を下回ってお
り、手元流動性は過去最高に近い水準にあります。今後2年以内に返済期限を迎えるバンクローン
は250億ドル未満に留まっています。こうしたことを全て勘案すると、デフォルト率は今後しばらく
低水準にとどまると予想できます。
バンクローン市場のテクニカル要因の状況は、現在どのようになっていますか。
バンクローンの需給バランスは2014年と比べて大幅に改善しています。ミューチュアル・ファンドか
らの資金流出は続いていますが、年初来で合計約50億ドルと流出ペースは減速しています。ローン
担保証券(CLO)の発行は活況を呈しており、ローンの需要は旺盛です。なお、CLOの年初来発行額
は合計約250億ドルです。一方、供給サイドに関しては、新規発行額はかなり低水準です。ローンの
新規純発行額は約300億ドルと、前年比で56%減少しました。ミューチュアル・ファンドからの資金
流出がこの先止まるか、あるいはプラスに転じた場合、バンクローン市場のテクニカル要因は極め
て良好になるとみられます。
バンクローン市場に非効率性はありますか。
はい。冒頭に述べたように、当社はバンクローン市場には非効率性があると考えています。CLOを
例に説明しましょう。CLOはバンクローン・モデルに基づき、平均格付け、ローン価格、加重平均ス
プレッドなどの一定の条件を満たすように組成された商品です。一般的にローンは時価評価されな
いため、ほとんどのCLOマネジャーは、レラティブ・バリュー(相対価値)を考慮するよりも、むしろ
CLOの組成が可能かどうかで投資判断を行う傾向があります。時おりこれが一部の発行体、銘柄、
セクター、格付けカテゴリーのバリュエーションの歪みにつながります。その結果生じる市場の非
効率性を利用するのが当社の方針です。
特に推奨するセクターとその理由を聞かせてください。
消費非循環セクターとエネルギーセクターに加えて、公益セクターと運輸セクター、さらに金属・鉱
業セクターの一部銘柄を選好しています。電力公益セクターでは規制産業という特性により、発行
体のキャッシュフロー・ストリームに極めて高い信頼性があります。運輸セクターでは航空各社が
事業合理化を確実に進めた結果、座席利用率が約80%に達し、さらに上昇しています。また、エネ
ルギー価格の下落が当業界にプラスに働いているたのも選好理由の一つです。金属・鉱業セクター
ではコモディティ価格の下落に伴ってバリュエーションは拡大しています。かなり無差別に売られて
いるため、一部の高格付け銘柄には魅力的な投資機会が生じています。
回避しているセクターはありますか。あれば、その理由も併せて教えてください。
消費循環セクターとテクノロジーセクターに加えて、金融セクターをアンダーウエイトしています。非
投資適格の金融機関の資本コストはかなり高水準となります。そのため、資本コストが最も低い企
業ほど競争が有利になる金融業界において、非投資適格の金融機関は長期的に競争力を維持で
きないと考えます。
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Q&A 2015年4月
バンクローン
石油セクターをどうみていますか。同セクターの組入比率を最近変更しましたか。
現在のバリュエーションは当社が考える以上に悲観的な水準を織り込んでいます。2014年9月に原
油価格の急落が始まったとき、当社はエネルギーをロングしていました。実際のところ9月に付けた
高水準から下落するとは予想していましたが、50%以上も下げるとは考えていませんでした。エネ
ルギー企業のローンの価格は直ちに急落しましたが、その間、エネルギーセクターのポジションに
戦略的な変更を行う機会はほとんどありませんでした。昨年12月には、ディーラーは、年末を控え
てポジションの削減を優先し、市場に対して流動性を供給する機能を事実上失っていました。しか
し、年が明けると価格はやや強含み、流動性がある程度回復したため、当社は状況の変化を踏ま
えてエネルギーセクターのポジションを最適化することができました。現時点では、将来のエネル
ギー生産量の見通しは昨秋時点の予想に比べて大幅に減少しており、また需要増大に対する見通
しは非常に保守的なことから、原油価格は短期的に上昇し始めるとみています。当分1バレル当た
り100ドルに戻ることはないでしょうが、年末までに約60ドル近辺まで上昇すれば、エネルギーセ
クターは債券投資家にとって好調なパフォーマンスを見せるでしょう。
現在は景気循環のどの段階にあるとみていますか。またそれは今後の投資機会にどのような影響
をもたらすと考えていますか。
恐らく景気循環の後半にあると考えています。今後2年間でデフォルトが大幅に増加することはな
いと予想していますが、ポートフォリオのリスクを徐々に引き下げています。これは、様子見をしてい
るうちにデフォルトが増加して手遅れになる可能性があるからです。例えば、エネルギーセクターの
中では、ボラティリティが高い傾向にある石油サービス企業の保有を減らし、代わりに高格付けの
一部の探査・生産(E&P)企業を組み入れました。さらに、機動的にハイ・イールド債の組入比率を
引き下げる考えです。
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Q&A 2015年4月
リスク・ディスクロージャー
投資一任契約に係る投資顧問料:
米国バンクローン
1億ドル以下の部分:年率 0.45%(税抜き)
1億ドル超の部分:年率 0.30%(税抜き)
最低運用資産規模:5,000万米ドル
上記は、一社で最低運用金額以上の個別契約を締結される投資家向けの標準的な報酬体系です。
有価証券の売買又はデリバティブ取引の売買手数料を運用財産の中からお支払い頂きます。投資
信託に投資する場合は信託報酬、管理報酬等の手数料が必要となります。
これらの手数料には多様
な料率が設定されているためこの書面に記載することはできません。デリバティブ取引を利用する
場合、運用財産から委託証拠金その他の保証金を預託する場合がありますが、デリバティブ取引の
額がそれらの額を上回る可能性があります。その額や計算方法はこの書面に記載することはできま
せん。投資一任契約に基づき運用財産の運用を行った結果、金利、通貨の価格、金融商品市場にお
ける相場その他の指標に係る変動により、損失が生ずるおそれがあります。損失の額が、運用財産
から預託された委託証拠金その他の保証金の額を上回る恐れがあります。個別交渉により、一部の
お客様とより低い料率で投資一任契約を締結する場合があります。
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