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グローバル・トータル・リターン戦略
今回のQ&Aでは、ウエスタン・アセットのグローバル・プロダクト・スペシャリストのキャサリン
L.マシューズが、グローバル・トータル・リターン(GTR)戦略について論じます。具体的には、投
資適格級のみを投資対象にしたこのアンコンストレインド戦略が、市場環境に左右されること
なくグローバル債券市場全体をアウトパフォームするプラスのリターンを創出するため、どのよ
うに運用されているかを説明します。
グローバル・トータル・リターン(GTR)戦略の概略を教えてください。
キャサリン L. マシューズ
経験年数:28年
ウエスタン・アセット・マネジメ
ント・カンパニー・リミテッド (英国ロンドン)1987年入社
プロダクト・スペシャリスト
学歴:ロンドン・ビジネス・スクール
弊社のGTR戦略は、投資適格級以上の債券を対象にし、グローバル債券市場に幅広く分散投
資するために、10年近くにわたり採用してきたアクティブ戦略です。グローバル市場の銘柄と
発行体を投資対象とし、投資機会が生じた場合やバリュエーションが変化した場合には柔軟
に対応し、デュレーションの調整や国別/セクター別配分を変更します。当戦略では弊社のグロ
ーバルな運用体制を活用しつつ、トータル・リターンの創出、リスク分散、流動性を特に重視し
ています。
GTRのポートフォリオはどのように運用が行われていますか?
当運用は、最高投資責任者(CIO)のS.ケネス・リーチとグローバル・ポートフォリオ共同統括責
任者のゴードンS.ブラウンが共同責任者を務め、ポートフォリオ・マネージャーのアンドリュー・
コーマックを加えた「グローバル・ポートフォリオ・チーム」が担当しています。彼らをグローバ
ル投資チーム全体と専属のポートフォリオ・アナリストやリスク・マネージャーがサポートしてい
ます。
ポートフォリオ構築については、弊社のトップダウンの見通しを踏まえて、金利、イールドカー
ブ、国別・通貨別のポジショニングを設定します。これに世界中の拠点に配置された地域およ
びセクター担当アナリストによるボトムアップのリサーチを組み合わせてセクター配分を決定
し、発行体を個別に選別します。ポートフォリオ構築については、弊社のトップダウンの見通し
を踏まえて、金利、イールドカーブ、国別・通貨別のポジショニングを設定します。これに世界中
の拠点に配置された地域およびセクター担当アナリストによるボトムアップのリサーチを組み
合わせてセクター配分を決定し、発行体を個別に選別します。
投資アイデアとその結果であるリターンはどのようにして創出されますか?
投資アイデア創出の中心となるのは、毎週開催される「グローバル投資戦略委員会」です。ケ
ン・リーチCIOが議長を務め、世界中の拠点からシニア・ポートフォリオ・マネージャーや各セク
ターの責任者が参加します。同委員会では、
マクロ経済の動向や地政学情勢、それらが主要資
産クラスのバリュエーションに与える影響について議論し、弊社の全てのポートフォリオに共通
する広範なテーマをトップダウンで決定します。次にポートフォリオ運用チームがこれらの主要
な投資アイデアを利用し、レラティブ・バリューを評価し、当ポートフォリオにどう適用すべき
かを検討します。
アルファの源泉は、バリュエーション、見通しに対する確信度、市場リスクに概ね左右されま
す。リターンの多くは長期的な経済ファンダメンタルズの基調やグローバル市場間のレラティ
ブ・バリューにより左右されるデュレーション、イールドカーブ、通貨ポジショニングなどのマク
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Q&A 2015年11月
グローバル・トータル・リターン戦略
ロ戦略によって得られると予想されます。長期的にみると、リターンの50%をデュレーションお
よびイールドカーブ戦略、国別配分戦略から、20%をアクティブな通貨配分戦略から、残り30
%をセクター別配分やボトムアップによる銘柄選択から得られると予想されます
トータル・リターン型の当戦略のパフォーマンスをどのように評価しますか?
当戦略は伝統的なグローバル債券インデックスの制約を受けずに運用されています。投資対
象は投資適格級に限定した債券ですが、それ以外は制約のないアンコンストレインド型のグ
ローバル債券戦略としてボラティリティのリスク・バジェットを4%∼6%に抑えて運用されてい
ます。このボラティリティの水準はグローバル債券の長期的なボラティリティ水準と同程度で
す。GTR戦略はより大きな柔軟性を活用し、中長期的な市場サイクルを通じてパッシブ型のグ
ローバル債券戦略やキャッシュをアウトパフォームすることを目指しています。シャープレシオ
0.75∼1はパフォーマンス目標として妥当であると弊社は考えており、実際、これは弊社が過去
10年間に達成したシャープレシオと同水準です。
他のアンコンストレインド戦略との違いを教えてください。
当ポートフォリオはマクロ戦略に重点を置いており、アクティブなデュレーション管理、タクテ
ィカルなイールドカーブのポジショニング、国別配分のローテーション、通貨配分がリターンを
主に左右します。他のトータル・リターン戦略では、高利回りや非投資適格債券等への投資を
通じてインカムに大きく依存する場合もありますが、当戦略の投資対象は投資適格級のセク
ターや銘柄に限定されています。当ポートフォリオのカギは分散ですが、それに対して他のアン
コンストレインド戦略では、より集中度の高いアプローチを採用することがあります。借り入れ
を伴うレバレッジを採用できるアンコンストレインド戦略もありますが、当戦略では認められ
ていません。基本的にロング・オンリーの投資戦略であり、デリバティブはリスク・エクスポージ
ャーの効果的な管理やヘッジ目的に使用します。当ポートフォリオのボラティリティを6%未満
に維持することを目指していますが、クレジットにより重点を置く他のアンコンストレインド戦
略や借り入れを伴うレバレッジを採用する戦略では、ボラティリティが高くなる傾向があると
言えます。
デュレーション戦略はどのように行っていますか?
当戦略では、ポートフォリオ全体のデュレーションに対して8年ロングから3年ショートまでの範
囲内で柔軟に調整することが可能です。そのため、ポートフォリオは金利低下局面で恩恵を受
けますが、同時に金利上昇局面でもプラスのトータル・リターンを追求することが出来ます。ポ
ートフォリオ全体のデュレーションをショートにすることで循環的な弱気相場においてリターン
を確保できる点が伝統的なグローバル債券戦略との根本的な違いです。
これまでにデュレーションをショートにしたことはありますか?
あります。ただし、これまでのところは、ドイツの10年国債の利回りがゼロ%近くまで低下した
2015年第1四半期(1-3月期)にポートフォリオ全体で戦術的に実施したケースに限られます。弊
社は欧州における過度な低金利環境の持続は不可能と考えていましたが、その通りの結果と
なりました。
デュレーションのショート戦略は、インカムの機会損失が相殺されるほど利回りが急速に上昇
しない限り、コストの高い戦略となる可能性があります。従って、このような投資戦略を実行す
るのは、利回りが足元の経済ファンダメンタルズに比べてかなり低いと確信できる場合に限ら
れ、慎重に見極める必要があります。世界的に利回りは狭いレンジで取引され、循環的な上昇
傾向には入っていないとの見方から、弊社はデュレーションのロング・ポジションを維持してい
ます。またデュレーション・ポジションには、社債市場やエマージング市場にマイナスの影響を
及ぼす恐れのある急激な世界的な景気減速に対して、ヘッジ効果を提供することが期待され
ます。
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Q&A 2015年11月
グローバル・トータル・リターン戦略
どのようなデリバティブを使用しますか?
主要国債市場の上場先物およびオプションは、デュレーションやイールドカーブの戦術的な管
理あるいは相対的な国別アロケーションのために主に使用します。通貨フォワードは通貨エク
スポージャーのヘッジまたは積み増しに、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は信用リスク
のヘッジまたは積み増しに使用します。
リスク管理は当戦略にどのように組み込まれていますか?
当運用は、目標となる特定のベンチマークを持たないため、ボラティリティ、バリュー・アット・
リスク(VaR)、予想ショートフォールなどの絶対的なリスク指標に基づきリスク管理を行ってい
ます。全般的に、ポートフォリオ・マネージャーの確信度やグローバル市場全体の投資機会に
比例してリスク水準を決定するように定めています。つまり、足元のファンダメンタルズへの確
信度が低い場合、ポートフォリオのリスク水準は低くなり、確信度やそれに伴うアルファ創出機
会が大きいと判断した場合、リスク水準は高くなります。戦略間の分散効果によるメリットも考
慮して複数の戦略を組み合わせ、リターンの源泉が1つの戦略に集中しないようにします。リス
ク・マネージャーはポートフォリオ・マネージャーと緊密に連携して、ポートフォリオ全体のボラ
ティリティを6%未満に抑えることを目指し、リスク水準の調整やポジションの大きさの決定が
適切に行われるように努めています。悪影響をもたらすイベントが発生した場合にドローダウ
ンを最小限に抑えるために、ストレステストやシナリオ分析も実施しています。
ボラティリティが上昇した際に、リスク管理上の対応策は実施されますか?
はい。ポートフォリオが予想リスク水準から乖離した場合、ポートフォリオ・マネージャーとリス
ク・マネージャーの間でさまざまな議論が行えるように、段階的に注意喚起を行うシステムを
設けています。第1段階(イエロー・レベル)では、リスク・マネージャーとポートフォリオ・マネー
ジャーがポートフォリオのリスク要因やポジションの背景にあるリスク要因、確信度について協
議します。リスク・マネージャーはリスクを解消した場合のシミュレーションを実施し、リスク解
消を提案します。GTRポートフォリオでは第2段階(オレンジ・レベル)において、ロンドンのリス
ク部門責任者と投資部門責任者への報告が義務づけられており、このレベルではリスク解消に
対するバイアスは強くなります。最後に、第3段階(レッド・レベル)に達すると、
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レジットリスク委員会が関与することになります。
なぜ投資対象を投資適格に限定しているのですか? キャパシティの制約はありますか?
投資対象を投資適格セクターに限定することがリスク水準を4%∼6%の範囲に抑制するのに
役立っています。また、非投資適格銘柄を除外することで、株式などのリスク資産とのより良い
分散が可能となっています。マクロ戦略とデュレーションの柔軟性を重視することにより、投資
適格セクターへの投資を通じてボラティリティのリスク・バジェットの範囲内で安定したトータ
ル・リターンをあげる十分な機会が得られると考えています。
また、当戦略は流動性の高い投資適格級の債券セクターを投資対象としているため、少なくと
も運用資産残高100億ドルまでは十分なキャパシティがあります。
ポートフォリオにおける通貨エクスポージャーの役割について教えてください。
通貨ポジションは、債券戦略の中核を成す経済ファンダメンタルズに関する見通しを活用しな
がら構築されています。あらゆる投資適格通貨についてロングまたはショートが可能な設計と
なっていますが、通貨戦略が過度にポートフォリオ全体のリスクに影響を与えなることが無い
よう、通貨エクスポージャーは合計で最大50%とし、ロングまたはショートの通貨エクスポージ
ャーの割合は基準通貨に対して最大25%に限定しています。
弊社にはこれまでアクティブな通貨戦略を通じてリターンを獲得してきた確固たる実績があり
ます。例えば、過去数年間にわたり他のグローバル通貨に対して米ドル・ロングを選好してきた
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Q&A 2015年11月
グローバル・トータル・リターン戦略
ことがリターンに寄与しています。現在、主要国の間で経済成長と金融政策の方向性が乖離し
ているため、短期的にはドルの上昇基調は続く可能性は高いものの、ここに来てドルは数年来
の高値に近づいていると認識しています。従って、通貨エクスポージャーを分散化させ、ドルか
らシフトするという柔軟性がカギを握ると考えています。
GTR戦略は2008年の金融危機をどのように乗り切りましたか?
世界経済が未曽有の危機に見舞われる中、クレジットなどの非国債セクターは軒並みマイナス
圧力にさらされました。しかし当ポートフォリオはマクロ戦略を重視し、流動性の高い投資適
格級の発行体のロング・デュレーション、イールドカーブのスティープニング、円のロング・エクス
ポージャーを戦略的採ることで、2008年のマイナスを回避し、2009年には大幅なプラス・リタ
ーンとなりました。
当戦略がアンダーパフォームしたのはいつですか?
最大のドローダウンは2013年5月です。その主因は、米連邦準備制度理事会(FRB)が資産買入
れの縮小開始の可能性があると発表した時、ポートフォリオのデュレーションをロングにして
いたことがマイナスとなりました(発表を受けて米国の長期国債利回りは急上昇しました)。そ
れでも、運用チームは、米国のインフレ率は良好な水準に留まり、FRBは金融政策の正常化を
緩やかに進めるとの考えに基づき、デュレーションをロングに維持し、この市場コンセンサス
とは異なるポジションは2014年のリターンに大きく寄与しました。
現在のポジションについてお聞かせください。バリュー獲得機会はどこにあると考えますか?
世界の経済成長を巡る懸念から社債の価格は急激に見直され、多くの銘柄のバリュエーショ
ンは弊社が適正価値と考える水準から乖離しています。弊社は現在、この機会を利用していま
す。同時に、新興国と先進国のスプレッドも大幅に拡大しており、これによってメキシコやイン
ドなどの投資適格級エマージング市場の一部において、ポートフォリオの価値を高める投資機
会が提供されていると考えています。欧州中央銀行(ECB)が主にソブリン債の買入れを通じ
てバランスシートの拡大を続けているため、イタリア国債のロング・ポジションを維持し、通貨
ユーロをショートしています。弊社は世界の債券利回りは比較的狭いレンジで推移すると予想
しており、引き続きマクロ戦略においては、デュレーションとイールドカーブの戦術的な運用が
重要と考えます。
ボラティリティがさらに上昇する局面あるいは金利上昇環境において、アンコンストレインド
戦略は本当に有効でしょうか?
世界各国の中央銀行が金融政策の正常化を開始することを背景に、金利はいずれ上昇すると
みられます。GTR戦略はベンチマークを持たないため、魅力的なバリューを提供していると思
える投資適格級の国とセクターだけに投資することも可能です。また、当戦略は金利上昇シナ
リオでもリターンを確保するためにデュレーションやイールドカーブを大幅に調整する柔軟性
も備えています。現在のように変動の激しい市場環境では、魅力的なバリューを提供する投資
機会は僅かしかありませんが、弊社はこうした将来の市場の課題に対応するために設計され
た有効な戦略を投資家に提供していると考えています。
GTRは投資家の全体的なアセット・アロケーションの中でどのように活用するのが適切ですか?
弊社GTR戦略は、伝統的なグローバル債券投資で得られる分散投資効果を求めると同時に、
ポートフォリオ構築に際して債券インデックスの制約を受けることなくプラスのトータル・リタ
ーンを創出することを目指す投資家にとって、ポートフォリオ全体を安定化させる優れた手段で
あると考えます。
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Q&A 2015年11月
リスク・ディスクロージャー
投資一任契約に係る投資顧問料:
グローバル・トータル・リターン
1億ドル以下の部分:年率0.60%(税抜き)1億ドル超の部分:年率0.40%(税抜き)
上記は、一社で最低運用金額以上の個別契約を締結される投資家向けの標準的な報酬体系です。
有価証券の売買又はデリバティブ取引の売買手数料を運用財産の中からお支払い頂きます。投資
信託に投資する場合は信託報酬、管理報酬等の手数料が必要となります。
これらの手数料には多様
な料率が設定されているためこの書面に記載することはできません。デリバティブ取引を利用する
場合、運用財産から委託証拠金その他の保証金を預託する場合がありますが、デリバティブ取引の
額がそれらの額を上回る可能性があります。その額や計算方法はこの書面に記載することはできま
せん。投資一任契約に基づき運用財産の運用を行った結果、金利、通貨の価格、金融商品市場にお
ける相場その他の指標に係る変動により、損失が生ずるおそれがあります。損失の額が、運用財産
から預託された委託証拠金その他の保証金の額を上回る恐れがあります。個別交渉により、一部の
お客様とより低い料率で投資一任契約を締結する場合があります。
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ており、作成日におけるウエスタン・アセットの意見を反映したものです。
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の予告なく変更されることがあります。当資料に書かれた内容は、投資助言ではありません。
ウエス
タン・アセットの役職員及び顧客は、当資料記載の有価証券を保有している可能性があります。当資
料は、お客様の投資目的、経済状況或いは要望を考慮することなく作成されたものです。お客様は、
当資料に基づいて投資判断をされる前に、お客様の投資目的、経済状況或いは要望に照らして、そ
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