マクロ・オポチュニティーズ戦略 - ホーム • ウエスタン・アセット

マクロ・オポチュニティーズ戦略
プロダクト・マネージャーのジョセフ・フィリチェッティが、
マクロ・オポチュニティーズ戦略の過
去数年の運用状況や他のアンコンストレインド運用戦略との違いについてご説明します。
Q: マクロ・オポチュニティーズ戦略の特徴を教えてください。
A: 当戦略では、確信度の高い投資アイデアにエクスポージャーを集中し、長期的なテーマに反する
動きがみられる局面ではマクロ戦略を用いてリスクを抑えます。確信の強い投資アイデアは総じて
中長期的なテーマであり、グローバルな市場環境を反映して構築されています。マクロ戦略部分が
ポートフォリオにおいて大きくなる傾向がありますが、デュレーション、カーブ、コンベクシティをアク
ティブに管理しています。また財政政策や金融政策、流動性、インフレ期待についても検討します。
マクロ・オポチュニティーズ戦略は、その設計通り、これまでリターンの50%強をマクロ戦略から獲
ジョセフ A. フィリチェッティ 得しており、また目標とするボラティリティは年率10%程度としています。ポートフォリオのポジショ
ンや規模を毎日判断する際に当社が最も重視しているのはボラティリティ目標です。そのためリス
運用業界経験年数:29年
クの測定と管理が投資プロセスの一部として完全に組み込まれています。
2010年‒現在
ウエスタン・アセット・マネジメン
ト・カンパニー
プロダクト・マネージャー
2001年‒2010年
スカラエ・マネジメント LLC
社長兼CEO
2000年‒2002年
CDC Ixisアセット・マネジメント
クライアント・サービス ディレクター
1998年‒2000年
ロテラ・キャピタル・マネジメ
ント
クライアント・サービス ディレクター
1992年‒1996年
メリル・リンチ・ガバメント・セキ
ュリティーズ
トレーダー
1986年‒1990年
リーマン・ブラザーズ
セールス・トレーダー
学歴:
コロンビア大学 M.B.A.
ナイアガラ大学 B.A.
当戦略は、それ自体が、ウエスタン・アセットの運用方針を表しています。44年前の創設当初以来、
当社はボトムアップのセクターおよび銘柄選択を重視してきました。その後1990年頃からトップダウ
ン・アプローチを投資プロセスに正式に取り入れるようになり、運用手法の幅はさらに広がりまし
た。債券投資家が直面する最も大きな問題は、金利リスクと信用リスクの相互作用だと考えられま
す。そのためリスクやクレジット市場が「オフ」の時にデュレーションをアクティブに管理すれば成
果が上げられます。当戦略はこうしたアクティブ運用を用いることで当社の能力を最大限に生かし
ています。
運用開始から3年経ちました。これまでパフォーマンスを主に動かしてきた要因は何ですか。
パフォーマンスの主な要因はマクロ戦略に基づくポジショニングですが、長期バリューに基づくテー
マも重要な役割を果たしてきました。運用環境は毎年変わるため、年ごとに分けて説明いたします。
2012年
2012年のリターンはリスク資産からの寄与とマクロ戦略からの寄与がちょうど半々でした。完全に
結果論になりますが、すべてがうまく行きました。世界的に、金利は低下し、スプレッド商品は非常
に好調でした。こうした動きすべては、米国、欧州、アジアで経済成長が予想を大幅に下回ったに
もかかわらず起きたことです。実際、年初時点で経済成長率がどの程度になるか分っていれば、投
資家はリスクに中立、それどころかショート・スタンスを取っていたでしょう。例えば、欧州ハイ・イー
ルド債は20%台半ばまで上昇していましたが、このとき欧州が直面していた構造問題からみて異例
の水準でした。これが2012年の大きな難問でした。
2012年春はギリシャやスペインの動向が原因でリスクオフの局面となりました。当社はスプレッド・
エクスポージャーの多くにヘッジをかけ、デュレーションやカーブのフラット化ポジションに重点を置
きました。夏場に入ってリスク資産は総じて堅調となり、これらのポジションを再開することで投資
機会に参加することができました。全体としては、2012年の経験により、当社はエクスポージャーを
大幅にシフトできることが十分に示されました。当社はクレジットを常にロングにするクレジット・マ
ネージャーでもなければ、金利を常にロングにするわけでもないからです。マクロ戦略のマネージャ
ーの多くが金利の大幅な変動をうまく捉え、クレジット・マネージャーは概ねスプレッド縮小の動き
を巧みに捉えました。結果的に両方を捉えることに成功しましたが、これはめったにないことです。
© Western Asset Management Company 2012 当資料の著作権は、
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Q&A 2015年6月
マクロ・オポチュニティーズ
2013年
2013年もリターンはリスク資産とマクロ戦略からの寄与でちょうど二分されました。いわゆる「テー
パリング・タントラム(癇癪)」が起きた年で、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長(当
時)の夏場の発言でリスクオン資産とリスクオフ資産の相関が崩れ、米国10年国債利回りは140ベ
ーシスポイント(bp)変動し、グローバル債券市場全体がパニックに陥りました(その一方で米国経
済には、結局、ほとんど変化はありませんでした)。6月20日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の
記者会見でバーナンキ議長が量的緩和の縮小について、秋に開始する可能性だけでなく、2014年夏
までに終了する可能性にも言及すると、株と債券はともに急落しました ― エコノミストが景気は回
復しているとの見方を示していたにもかかわらず、
です。
リスクオン資産とリスクオフ資産の相関が崩れため、当社はポートフォリオをグローバルの経済成
長とインフレの見通しに沿って調整しました。そしてこの時も当社の見通しはバーナンキ議長よりも
保守的なものとなりました。先進国のGDPギャップは依然として大幅で、失業率は世界的に極めて
高水準にとどまり、インフレは特に米国でこれまでの水準からみて非常に低い水準にありました。
さらに、米国のイールドカーブは以前のようにスティープ化し、ショート・ポジションの長期保有は著
しく割高で、ほとんど安心材料にはなりませんでした。こうした環境の中、当社は緩やかながらもプ
ラスの成長、低インフレ、金融緩和の継続という成長見通しに基づき、ポートフォリオのポジション
を構築することを目指しました。そこにはショートは含まれませんでした。結局、FRBは9月のFOMC
で金融緩和の縮小を決定せず、従って当社の見通しは保有ポジションに有利に働き、年末にかけて
新たな投資機会が生まれました。
2014年
2014年のパフォーマンスを主に左右したのは世界経済に対する当社のマクロ見通しでした。2013年
同様に緩やかな成長、低インフレ、金融緩和策の継続という経済テーマが続く中、そうした見通し
を表現するだけでなく、ポートフォリオに望ましいリスクオフ特性を提供することから、長期デュレ
ーションとカーブのフラット化ポジションの保有が有望だと考えました。1年を通じて雇用と経済成
長はやや改善しました。全体としては、エマージング市場とクレジットは年前半には好調でしたが、
後半6カ月間は圧力を受けました。エマージング市場には引き続き投資機会があるとみており −フ
ァンダメンタルズよりもバリュエーションに基づくケースもありました−従ってこれらのポジションを
維持しました。ユーロおよび円に対するドルのロング・ポジションも大幅にプラス寄与しました。
12月は、世界経済の成長見通しおよび原油価格の大幅な下落がエマージング諸国とその通貨に関
する懸念が、引き続き市場の最大の関心事となりました。原油価格は1バレル=60ドルを下回り、
下
落のペースやボラティリティの高さが市場の大幅なかく乱要因となりました。その中で、当ポートフ
ォリオにおけるエマージング債券と通貨ポジション、また影響度は相対的に小さいもののハイ・イー
ルド債のポジションに対して、売り圧力が強まりました。当戦略では、市場の下落の速さやその後の
展開を踏まえて保守的なスタンスに転じ、日本円、ユーロ、メキシコ、ブラジル、とりわけロシア関
連のロング・ポジションを削減しました。
全体として、2014年のカギは緩やかな成長見通しを持つことでした。低インフレの持続と主要中央
銀行の金融政策により米国の長期金利は極めて低水準にとどまっていたものの、信じがたいこと
に、それでも他の先進国より割安な水準にありました。
当戦略の現在のポジションについてお聞かせください。
現在は緩やかな景気回復に合せてリスクオンのポジショニングをとっています。全般的には緩やか
な経済成長が持続し、インフレは極めて低い水準にとどまり、異例の金融政策が維持されるとの見
通しを維持しています。当社では、FRBは今年後半に利上げを実施する可能性があるものの、コアイ
ンフレ率の低迷により長期金利はかなり低位にとどまるとみており、スプレッド商品の支援材料に
なるでしょう。過去6カ月で最も大きなポートフォリオの変更は、長期年限から短期年限にわたるデ
ュレーションの動きです。それが特に明白に見られたのが、デュレーションがマイナス4.5年からプラ
ス4.9年に変化した2月でした。欧州の経済指標はようやく若干の力強さを増しており、民間部門の
貸出が増加し、的を絞った長期リファイナンス・オペ(TLTRO)に参加する銀行が増えています。その
ため欧州のハイ・イールド債のエクスポージャーを僅かに増やしました。
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Q&A 2015年6月
マクロ・オポチュニティーズ
投資家は当戦略をどのように活用すればよいでしょう。
債券ポートフォリオ全般の分散化に利用する方法と、非従来型、つまりオルタナティブ投資ポートフォ
リオの純粋なリターン創出手段に用いる方法があります。マクロ・オポチュニティーズ戦略では、市場
の方向性に賭けて利益をあげるのではなく、アクティブ運用に重点を置いています。ほとんどの市場
で事後的にボラティリティ(ex-post volatility)を10%未満に抑えることを目指しつつも、積極的に運
用を行っていきます。株価のピークからの下落率(ドローダウン)が5%を超えることは珍しくなく、従
って万人向けの戦略というわけではありません。とはいえ、アクティブ運用の採用に加え、リスク・ポ
ジションをロング、ショート、中立にできるため、金融市場全般との相関を抑えられます。これは投資
家にとって極めて重要なポイントです。これまでの結果を見ると、株式市場と債券市場に対する相関
プロファイルは極めて良好です。そのため、当戦略はお客様が最も自由度を必要とするときに柔軟に
対応することが可能です。結局のところ、アンコンストレインド投資の要は自由度です。
ポートフォリオの投資アイデア/テーマはどのように策定しているのですか。
チーム・アプローチをとっています。当社は世界6カ国に投資チームを擁し、各チームがそれぞれの
地域のマクロ予想ならびに戦術的デュレーション管理を担当しています。これらの拠点メンバーで
構成される当社のグローバル投資戦略委員会は、
マクロ・オポチュニティーズ戦略のみならず、当社
全体のマクロ見通しの策定を担当するウエスタン・アセットの運用の中核を担うグループです。当
社の最も確信の高い投資アイデアは同委員会が策定します。世界の主要な市場地域をそれぞれ財
政・金融政策、流動性、インフレに基づき分析し、経済環境や中央銀行の政策について議論を行い
ます。同委員会が投資アイデアをまとめると、バリュエーションに着目したボトムアップ・プロセスに
より、セクターおよび銘柄選定を行います。このように当社のグローバル投資チームの力を結集して
アイデアを策定しています。
ケン・リーチCIOはポートフォリオの投資アイデア/テーマ策定でどのような役割を担っていますか。
リード・ポートフォリオ・マネージャーとして、主に2つの分野を担当しています。第一に、リスクオン
資産とリスクオフ資産の配分率をコントロールすることです。第二に、グローバル投資戦略委員会
のアウトプットに基づき、デュレーション、カーブ、ボラティリティのプロファイルを組み立てていくこ
とです。そうしてでき上がるのは、いかなるベンチマークからも切り離され、当社のグローバル投資
の専門家の分析に支えられた、当社が最も強く確信するアイデアにエクスポージャーを集中させた
ポートフォリオです ̶ これが2011年に当社が設計した当戦略の概要です。
マクロ・オポチュニティーズ戦略はその他のアンコンストレインド運用戦略とどう違いますか。
主に2つの違いがあります。第一の違いは、ポジションの集中です。そのため当戦略は一度に3∼5つ
のテーマしか採用しません。従って当社のシナリオが正しければ魅力的なリターンを期待できます。
第二の違いは、
マクロ戦略と金利取引のエクスポージャーが大きい点です。これは市場全般との相
関を抑える効果があり、当戦略の構造の一部となっています。ほとんどのアンコンストレインド・フ
ァンドは、カーブやコンベクシティ管理を用いるマクロ戦略にこれほど大幅なエクスポージャーを取
りません。まさにこれが当戦略を他と大きく差別化してきた要因です。
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Q&A 2015年6月
マクロ・オポチュニティーズ
リスク・ディスクロージャー
投資一任契約および金融商品に係る投資顧問料(消費税を含む)
:
運用財産の額に対して、年率1.00%(消費税を除く)を上限とする運用手数料を、運用戦略ごとに
定めております。
また、別途運用成果に応じてお支払いいただく手数料(成功報酬)
を設定する場合があります。
そ
の料率は、運用成果の評価方法や固定報酬率の設定方法により変動しますので、手数料の金額や計
算方法をこの書面に記載することはできません。
投資信託の場合は投資信託ごごに信託報酬が定められておりますので、
目論見書または投資信
託約款でご確認ください。
有価証券の売買又はデリバティブ取引の売買手数料を運用財産の中からお支払い頂きます。投
資信託に投資する場合は信託報酬、管理報酬等の手数料が必要となります。
これらの手数料には多
様な料率が設定されているためこの書面に記載することはできません。
デリバティブ取引を利用す
る場合、運用財産から委託証拠金その他の保証金を預託する場合がありますが、
デリバティブ取引
の額がそれらの額を上回る可能性があります。
その額や計算方法はこの書面に記載することはでき
ません。投資一任契約に基づき、
または金融商品において、運用財産の運用を行った結果、金利、通
貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動により、損失が生ずるおそれがあり
ます。損失の額が、運用財産から預託された委託証拠金その他の保証金の額を上回る恐れがありま
す。個別交渉により、一部のお客様とより低い料率で投資一任契約を締結する場合があります。
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ウエ
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過去の実績は将来の投資成果を保証するものではありません。当資料は情報の提供のみを目的とし
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ウエスタン・アセットは、
ここ
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当資料に記載の意見は、特定の有価証券の売買のオファーや勧誘を目的としたものではなく、事前
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、
一般社団法人投資信託協会
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