検討内容(PDF) - 一般社団法人 日本衣料管理協会 JASTA|繊維製品

商品
雑貨(袋物)
区分
商品名 婦人合皮バック
組 成
表
示
事
項
苦情
登録 №
苦情事例登録用紙
TES会
取扱い
登録日
苦情原因・
現象の分類
15 - HI - 002
2015
年
3
月
18
日
保管中の変色
サイズ
その他
合成皮革
原産国
保管していただけで変色した。
内容
外
観
バック本体の合成皮革部分が白っぽく斑に変色している。また、異臭がする。
・蛍光反応 変色部分にて蛍光反応確認
調
査
結
果
・臭気確認 カビ発生時の臭いと酷似した異臭を確認
・窒素酸化物試験 強試験 4級(白い変色なし)
・摩耗試験 スコット形法準用 1000回 変化なし
・防虫剤(パラジクロルベンゼン系)密封試験 変化なし
1) 原因について:合成皮革が変色する原因にはどのような原因が考えられるか。
検
討
事
項
一般的な原因としては、接触物からの移染、・雨などによる加工剤や艶出し剤の移動や析出、・酸化窒素ガス、防虫剤による変色、
・コーティング表面のあれや浮き、劣化による表面変化、・カビによる変色 などが考えられる。
今回の事例については、合成皮革の凹部分や縫い目で押さえられ窪んだ部分も白っぽく変色していること、および保管中に発生
したとのことなので接触物からの移染、および雨などによる加工剤や艶出し剤の移動や析出以外で検討を行った。
2) 試験及び結果について
①窒素酸化物試験、防虫剤密封試験で白い変色は発生しなかった。
②蛍光反応:ブラックライトを照射して蛍光を発するか観察する。カビが発生すると蛍光を出す場合がある。今回はオレンジ色の蛍
光が観察されたが、白化部と一致しなかった。また光学顕微鏡、および電子顕微鏡による拡大観察で菌糸や胞子は確認できなかっ
たことよりカビが原因の可能性は低い。
③光学顕微鏡、および電子顕微鏡による拡大観察:白化部の一部にコーティング層が剥離していると思われる部分が観察できた。
白化部と剥離部が一致していることより今回白化の原因の可能性が高い。なお、中温アイロンを該当部位に掛けてみたが、再接着
はしなかった。
苦情
原因
顕微鏡による拡大観察で、白化部と剥離部が一致しており、コーティング層の剥離によ
る色相変化の可能性が高い。
今
後
の
対
策
そ
の
他
スコット形法で再現する摩耗、屈曲のような比較的強い物理作用ではコーティング層が
剥離しなかった。製品全体に白化が生じていることから、経時変化によりコーティング層
の接着力が低下した可能性が考えられるが、使用状況が不明のため再現試験などを実
施できず、剥離の原因を特定するには至らなかった。
繊維製品品質管理士会(略称:TES会) [2015.3.18.]
< 苦情部分の写真 >