理事長所信

公益社団法人水戸青年会議所
2015年度理事長所信
公益社団法人水戸青年会議所
第63代 理事長 佐藤平八郎
スローガン
「一張一弛」
基本理念
繋がる未来
己を律し道を弘め
水戸の次代の創造
我々が住み暮らすこの水戸の地には数多くの誇るべき有形無形の財産があります。無形
財産の代表として、18世紀末から幕末にかけて多くの人々に影響を与えた学問である水
戸学があります。水戸藩9代藩主徳川斉昭公によって藩政改革の中核として建設された弘
道館は、文武両道を教育方針とし、今後の国家のために優れた人財を育成しなければなら
ないとのことで建設されました。そして、弘道館記には水戸学の根幹がしっかりと記され
ております。
「弘道とは何ぞ。人能く道を弘むるなり。道とは何ぞ。天地の大経にして、生民の須臾も
離るべからざるものなり。
」
(弘道館記より)
道を弘めるのは人であり、だから人は道について学び少しの時間も弘めることを忘れては
ならない。そして、その精神性が今もなお我々の中には必ずあるはずです。
また、斉昭公は弘道館で勉学に励む藩士のために、今や日本三名園となる偕楽園という素
晴らしい有形財産もこの水戸の地に建設しました。園内にある偕楽園記には、創設の趣旨
を一言で示す言葉があります、それは「一張一弛」であります。人の精気を弓にたとえ、
弓は弦を張ったままだと撓んで駄目になってしまうので、張った後は必ず弛めなければな
らないという意味なのです。つまり、どんなことをする時も減り張りが重要なのです。
我々の中にも脈々と受け継がれるこの精神性を基軸として、幾多の諸問題が山積する現
況でも、それを切り開いて行こうではないか。そして、この水戸の地が明るい豊かな郷土
となるべく、このまちの次代を共に創造していこう。
【ソーシャルキャピタルによるまちづくり】
茨城県は、都道府県魅力度ランキング47位となりました。その県庁所在地の水戸とし
て本当に魅力のないまちなのでしょうか。決してそんな事はないと確信しております。前
述しましたが、水戸には弘道館をはじめ偕楽園、水戸芸術館と世界にも誇れる多くの有形
財産があります。我々は、その誇るべき財産の魅力を存分に引き出しきれていないのでは
ないか。一泊型観光都市を目指しスタートした『夜・梅・祭』は、今年で第10回の節目
の年を迎えます。そして、多くの方々と共に創り上げる事業に成長し、一定の成果を得ら
れたと確信しております。新たな展開として、偕楽園内で行われる事業に関しては我々が
行ってきた検証を基に市民、行政、関係諸団体が主体で企画し実施できる『夜・梅・祭』
へと進化させていこう。そして、我々は中心市街地への回遊性を高めるための新たなチャ
レンジをしよう。また、芸術と国際という新しい魅力を引き出すために、水戸芸術館と連
携しながら国際色豊かな事業を展開していくことで、市民意識にインパクトを与えていこ
う。そして、市民や地域企業、関係諸団体が更に主体的に参加していくような土壌を開拓
していくことで、我々のまちの社会関係資本を活かし魅力あふれる地域を創造しよう。
【まちへの新たな価値観】
安倍内閣改造により新たに地域創生大臣が設置されるほど、地方自治体における課題は
切迫しています。2040年には896の地方自治体で人口が半減するとの予想もあり地
方自治体としての存続が危ぶまれる現状にあります。水戸も決して例外ではないのです。
水戸駅前の一等地が更地となり、商店街も多くの空き店舗となっているのが現実なのです。
我々は地域経済人としてこの現状を良しとせず、新たな道を進んでいかなければならない
のです。昨年、全国大会10周年記念式典の記念事業として、平成弘道館大学設立式典を
行いました。引き続き、平成弘道館大学にて我々も当然のことながら、多くの方に地域経
済の活性化について学びと気付きの機会を提供していこう。行政や地域との連携をより強
化し、地域の活力につながる運動を展開しながら、地域を活性化させる新たな価値観を創
出しよう。そして、青年会議所が先頭に立ち市民総意の未来へのまちづくりの指針を示そ
う。
【次代を担う青少年育成】
日本は、安心で住みよい国としても海外で認知されています。しかし、昨今の時事問題
として、凶悪犯罪化が進むとともに犯罪の多様化や若年層化が問題になっております。こ
の問題は、急激な経済成長により物質的豊かさを手に入れた反面、心の豊かさが貧しくな
り、日本人としてのアイデンティティーや地域コミュニティーが希薄になっていることに
起因しているのではないだろうか。そんな今だからこそ我々は、次代を担う青少年に対し
悠久の歴史の中で培われた日本固有の精神性や「道」に反することなく他人を思いやる利
他の心、そして郷土を誇りに思い国を愛する心を育む責任があるのです。そのために、次
世代の子ども達に対する責任世代の我々も今一度自らを律し、地域コミュニティーと連携
しながら人の道を弘めよう。そして、自らが行動しその姿を見せながら、次世代の子供た
ちの豊かな心を醸成していこう。
【JAYCEEとなるべく】
青年会議所とは、限られた時間の中で志を同じくする青年が、真剣にこの住み暮らすま
ちや地域、そして日本の未来を考え行動していく団体なのです。それ故に青年会議所が行
う事業がマンネリ化することなく、斬新なアイディアと若者の特権としての行動力で真実
を追求し続けなければならないのです。だからこそ、この組織は新陳代謝が必要なのです。
しかし、卒業を迎えるメンバーと入会するメンバーの割合が反比例を起こしている現状が
あります。この問題のために、我々の行う運動が衰退していくことはあってはならないの
です。
「先輩から受け継いだ、歴史、伝統、文化を継承し・・・」と毎年繰り返す言葉遊び
はもうやめて、我々が行うこれからがこれまでを決めるという覚悟を持とう。それが先人
への敬意でもある。その覚悟が、これからの志を同じくするメンバーの増強にも繋がるの
です。もう一方では、地域経済人であると共に社会に影響を与える我々は常に自分を見つ
め続け、自らを律する強さを持たなければなりません。常に公に立脚し自を律するという
ことは並大抵のことではありません。だからこそ、我々自身が経験者や見識者から多くの
ことを学び自分自身の自己研鑽を行っていこう。そして、今いるメンバーも入会年度の浅
いメンバーも英知と勇気と情熱をもったJAYCEEになろう。
【地域から頼られる組織】
昨年公益法人への移行が完了し、名実ともに「公」のために寄与する団体となりました。
「公」に寄与する団体として、今まで以上に運動や事業、財政基盤や運営に対して公平性
と透明性を兼ね備えた組織であるべきなのです。だからこそ、財務会計を明確にし、正確
で適正な予算作成と執行を行っていくことで公益審査にも耐えうる財政基盤とガバナンス
を確立していくことが重要です。そして、我々の行う運動が自己満足になるようなことが
あってはなりません。広く市民や行政、関係諸団体へも我々の運動を認知してもらい、我々
の組織への理解を得られるような戦略的な強い発信をしていこう。その尊い運動の発信が
途切れることなく弘がりをみせていくことで、市民から信頼を得られるような大きな波紋
となって、多種多様な理解が集まる組織へと進化するのです。
【強い信念と覚悟】
青年会議所には出向があります。日本青年会議所、関東地区協議会、茨城ブロック協議
会へと各地会員会議所から出向し、それぞれのステージでそれぞれが掲げる青年会議所運
動を展開しております。出向者は個人としてではなく、水戸青年会議所として出向するの
です。そして、出向するにはどんな出向でも「自分にできるのだろうか」という不安があ
るでしょうし、
「水戸青年会議所から出向するからには」との覚悟もあるでしょう。だから
こそ、そんな出向者の信念をメンバーが称えながら、水戸青年会議所は一丸となってサポ
ートしていこう。出向者を輩出することで得られる、多くの経験や情報を絶好の機会と捉
え、出向者の成長のみならず水戸青年会議所の一人ひとりが成長をしよう。そして水戸青
年会議所として飛躍できる出向者支援を全力で行っていこう。
【終わりに】
1945年8月多くの尊い命が失われ終戦を迎えてから、今年は戦後70年目の節目の
年となります。当時の高い志を持つ多くの若者が生きたかった未来を、我々に残してくれ
ました。だから、今度は我々が次代を担う青少年のために、夢を描ける現代を贈ろう。そ
のために、我々青年会議所が掲げる崇高なる理念「明るい豊かな社会の実現」へ向けて志
一つに運動を推進して行こう。
厳しい事もある
時には理不尽に思う事もある
全てを投げ出し逃げ出したい時もあるだろう
そんなくじけそうな時は心の張りを弛めてみよう
それまで見えなかった物が見えてくるはずだ
そこには、すべての物事に真剣に取り組み、本気の議論をし、弛むことなく道を学び己
を高め、切磋琢磨をしながら日々修練している友がいる。我々は堂々とJCを主語に語り
合い皆で運動の成果と可能性を確認し、互いに称えあおうではないか。
その先の未来に見える、水戸の次代を創造するために。