決意表明 世界有数の地震国である我が国では、どこ にいても地 震 の被 害 から逃 れることはできま せん。一 方 で、地 震 リスクは大 数 の法 則 が成 り立たない特殊で巨大なリスクです。 地震保険は、こうした科学の限界を日本の 英 知 を集 めて乗 り 越 え、五 十 年 の歳 月 をか けて改 善 が重 ねられてきた優 れた制 度 であ ります。 併 せて地 震 保 険 は、契 約 者 の保 険 料 で賄 われる「自 助 」に位 置 付 けられま すが、市 場 原理に基づく「保険」というだけではなく、国 の関 与 のもと、社 会 全 体 でリスクを分 担 する 「連帯」の側面も併せ持つ、極めて高度な仕組 みでもあります。 これにより、補償と負担のバランスを図りな がら、国民全世帯が加入可能な保険料を提 示でき、かつ、供給の不安を解消しています。 精 緻 な 枠 組 みであるがゆえの課 題 はあり ますが、世界に誇れる我が国独自の制度であ り、私たちはもっ とこの制度の価値を認識し、 更 なる活 用 を図 る必 要 があると強 く感 じて います。 そして、何よりも地震保険は、被災者が、 暗闇の中から将来に向かって最初の一歩を踏 み出す「 希望の光」 となる力を有しています。 大規模な地震災害から立ち直れなければ、 あるいは、それが大きく遅れることになれば、 被災地のみならず国民経済全体に悪影響を 及ぼし、国は衰退していきます。 だからこそ、地 震 保 険 の必 要 性 を広 く消 費者に伝え、加入者を増やしていくことは損 害保険業界全体の社会的責務であると考え ます。 とりわけ、日 頃 契 約 者 と直 接 接 する私 た ち 代 理 店 は、地 震 保 険 の情 報 提 供 と普 及 の 重要な担い手であり、地震リスクに対する事 前の備えの提案は、我が国のお客さまをリスク からお守 り する代 理 店 の使 命 であると考 え ます。 そもそも私たち代理店の仕事の社会的意 義は何でしょうか。保険商品を売ることでし ょうか。私 は、お客 さまに寄 り添 い、様 々 な 不 安 を出 来 る限 り取 り除 くことにこそ代 理 店の本当の価値があると思います。 先ず何よりも、お客さまを取り巻くリスク の総体に、プロとしての専門性を発揮してしっ かりと迫ることが重要です。 そのリスクの中に、今そこにある危機として 地 震 災 害 を織 り 込 み、お客 さま との対 話 を 重ね、ご納得いただけるプランを提案していく こと、これが保 険 のプロとしての代 理 店 の重 要 な役割だと考えます。 一方で、お客さまは、そもそも事故や災害 に遭いたくない、出来る限り被害は小さい方 がいい、できれば保険のお世話にはなりたくな いというのが本音ではないでしょうか。 だからこそ、損害保険業界としては、保険 の普及と併せて、防災 ・減災に資 する取り組 みをしっ かりと行っ ていくことが重要です。 保険は、その延長線上にある最後の砦では ないでしょうか。 ここでも、地域に生きる代理店は、大きな 役 割 を果 たすことができます。そして、その 役割を果たすことで、社会における存在価値 はさらに大きくなるものと考えます。 私たち代理店は、こうした認識の下で、損保 協会ならびに損害保険会社各社との連携を 強化し、広く消費者にリスク啓発を行いなが ら、地震保険の役割をお伝えし、その活用を 促して参ります。 今後も関係各機関には契約者の保険料負 担に対する十分な配慮と制度の丁寧な改善 をお願いした上で、建物・家財ともに地震保 険の付帯率を高めて参ります。 「 あのときもっ としっ かりとお奨めしておけば 良 かった」と後 悔 することがないよう、日 々 の 情報提供と提案を着実に行い、安心・安全な 社会づくりに貢献することをお約束し、代理 店としての決意表明といたします。 平成二十八年九月五日 岡部 繁樹 一般社団法人 日本損害保険代理業協会 会 長
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