特集 社員一人ひとりを幸せにする会社 「社員を幸せにしたい」と願ってはいても、 厳しい経営環境になれば 非情な決断もせざるを得ないのが企業社会の現実だ。 特集で紹介する二つの事例は、 社員一人ひとりの幸せを考えた会社経営の難しさと、 それを乗り越えたときの喜びの大きさを物語っている。平坦な道ではない。 事例② こに出てくる次の言葉は亡き夫、創 長の挨拶文が掲載されているが、そ 株式会社クラロンのホームページ 上の会 社 案 内には、田 中 須 美 子 会 毎朝遺影の前で会話を楽しむ 亡き夫を〝神様〟と呼んで崇拝 社員一人ひとりを慈しんだ 葉である。 び、働 く 楽しさを身につけ 、未 来に なったのは一九五六 (昭和 田 中 善 六氏が株 式 会 社クラロン の前 身 会 社「 錦メリヤス」の社 長に )年。そ 希望と夢をもって働く姿に感動」 「 障 がいがある 人々が 、生 きる 喜 のだという。 業 社 長の善 六氏から引き継いだも だからこそ、めざす会社風土が醸成されてくると至福感に包まれるのではなかろうか。 事例① 障がい者雇用率三五・五㌫ 職場ぐるみで親身になって 自立を支援する社風を醸成 障がいをもつ子の定期採用を続け、どんな苦境にも障がい者から職の 「人が人を育て、 一人を疎かにしな が東京で開催されることが決まる。 の三 年 後 、アジア初のオリンピック 機会を奪わなかった創業者・田中善六氏と、その遺志を受け継ぐ須美 い教育の大切さ」 おろそ 子会長。一部社員の拒否反応や世間の白眼視、採算性との両立など、 国 を 挙 げてスポーツ熱が高 まるな 幾 多の壁 を 夫 婦二人三脚で乗 り 越 え 、会 社 ぐるみで障 がい者の自 立 。 か、善六氏はメリヤス肌着市場では を支援する社風を築きあげた、株式会社クラロンの足取り ─ 障がい者雇用を通して、田中善六 しの 氏の人 柄と経 営 姿 勢が偲ばれる言 ぜん ろく 31 56 理念と経営 04 / 2015
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