外来遺伝子発現要素及びその利用

横浜国立大学 出願特許概要シート(出願公開後)
技術名
翻訳効率が高い外来遺伝子発現要素を用いた外来遺伝子高効
率発現方法
発明の名称
外来遺伝子発現要素及びその利用
出願番号
特願2010-033763 公開番号
発明者
平塚 和之、稲本 敦、小倉 里江子
整理番号: YNU09046
分類 C12N 15/09、C12N 5/10、
A01H 1/00、C12P 21/02
特開2011-167123 特許番号
技術概要
IRES(Internal Ribosomal Entry Site;内部リボソーム導入部位)が植物細胞内において機能し、mRNAにおける多重
的な翻訳領域を翻訳することは既に明らかとなっている。そして、有用物質の高効率・高生産が可能な遺伝子組換え
植物を創成するために、複数の外来遺伝子を植物細胞や植物体に計画的に導入する多重遺伝子導入技術におい
て、複数の外来遺伝子の間にIRESを介在させた配列を構築することで、単一の転写単位に複数のORF(Open
reading frame;タンパク質読み枠)が挿入された多重遺伝子発現系を構築できる。この複数の外来遺伝子の間にIRE
Sを介在させた配列を有する多重遺伝子発現系は、外来遺伝子のポリシストロニックな遺伝子発現が可能であり、複
数の外来遺伝子を確実に発現させる方法として極めて有用である。
本発明は、従来のIRESよりもポリシストロニックな翻訳効率が高く、有用物質の生産等の工業的な利用が可能な外
来遺伝子発現要素、該要素を有する多重遺伝子発現構造体、該要素を有する外来遺伝子発現ベクター、該要素を有
する形質転換体とその製造方法、該形質転換体を用いた外来遺伝子発現方法、該形質転換体を用いた外来遺伝子
産物の製造方法、前記外来遺伝子発現要素を用いた外来遺伝子高効率発現方法の提供を目的とする。
解決すべき技術課題
外来遺伝子発現要素である既知のIRESを用いて多重遺伝子発現系を構築した場合、翻訳効率が低く、有用物質の
生産等の工業的な利用のためには不向きであった。
どのように解決したか
本発明は、ペプチド又はタンパク質のコード領域を有するポリヌクレオチド鎖である外来遺伝子を導入した複数のOR
Fの間に挿入することにより、前記外来遺伝子のポリシストロニックな翻訳効率を向上させるIRES活性を有している
外来遺伝子発現要素であって、配列番号1で表される塩基配列のうち、尐なくとも30塩基対以上の長さの配列を含む
ポリヌクレオチドである、外来遺伝子発現要素を提供する。
効果
本発明の外来遺伝子発現要素は、配列番号1で表される塩基配列のうち、尐なくとも30塩基対以上の長さの配列を
含むポリヌクレオチドであり、ペプチド又はタンパク質のコード領域を有するポリヌクレオチド鎖である外来遺伝子を導
入した複数のORFの間にこれを挿入することにより、前記外来遺伝子のポリシストロニックな翻訳効率を向上させるI
RES活性を有しており、異なるORF間に本発明に係る外来遺伝子発現要素を挿入することにより、外来遺伝子で
コードされたペプチド又はタンパク質の翻訳効率を飛躍的に向上させることが可能である。
特に、既知のIRES配列と比較して、上流側のORFの発現効率を著しく向上させることが可能となる。
また、既知のIRESとは相同性を有しない新規な配列であるため、既知IRESと同時に使用しても遺伝子発現の共抑
制等の問題が起こらない。
優位性・特徴技術
本発明の多重遺伝子発現構造体は、ペプチド又はタンパク質のコード領域を有するポリヌクレオチド鎖である外来遺
伝子を導入した複数のORFの間に、前記外来遺伝子発現要素が挿入された構造なので、該多重遺伝子発現構造体
は、遺伝子組換え植物体あるいは植物細胞を利用して、複数の外来遺伝子を効率よく発現させるための導入遺伝子
作製時に好適に用いることができる。この多重遺伝子発現構造体を植物細胞や植物体などに導入して作製された形
質転換体は、高効率多重遺伝子発現が可能となり、有用物質の生産等の工業的な利用が可能となる。
代表図
複数のORFの間に
IRESを挿入した多重
遺伝子発現構造体を
示す概略構成図
1:IRES
2:ORF
3:ORF
4:ORF
5:多重遺伝子発現構
造体
6:プロモーター
7:ターミネーター
【本件問い合わせ先】 横浜国立大学産学連携推進本部 産学連携課知的財産係 TEL045-339-4450/FAX045-339-3057