自励振動型ヒートパイプ

整理番号: YNU07066B
横浜国立大学 出願特許概要シート(出願公開後)
小型電子機器に適した、熱輸送性能の優れたウィック型ヒートパイプに関する技術
技術名
発明の名称
自励振動型ヒートパイプ
出願番号
PCT/JP2009/051773
公開番号
分類
F28D 15/06
F28D 15/02 発明者
奥山 邦人、森 昌司
WO 2009/099057 A1
特許番号
技術概要
サーバー、パソコンなどの電子機器に使われている電子部品を冷却するために、現在、直接水冷する方法とウイック型
ヒートパイプにより熱を冷却部へ輸送し冷却する方法がある。ウイック型ヒートパイプは、発熱部で気化した作動流体が
冷却部へ移動し、冷却部で液化した作動流体がパイプ内部にある金属網(ウイック)や溝を通って、再び発熱部へ戻る
ことにより熱輸送が繰り返される。自励振動型ヒートパイプは、作動流体が冷却部からパイプを通って発熱部へ流れ気
化し、気化した圧力で作動流体は冷却部へ戻されるが、圧力が下がると発熱部へ再び流れ込む。作動流体は冷却部と
発熱部を往復運動し、これを自励振動といい、これにより熱輸送ができる。ウイック型は管径が細くなると輸送熱量が減
少し、自励振動型は蛇管で、垂直にしないと作動しないという課題がある。
解決すべき技術課題
ウィック型ヒートパイプは、小型化のために管径を小径化(内径0.5mm~2mm程度)すると急激に熱輸送性能が低下する
という問題がある。 そこで、小径化しても高い熱輸送性能を持つ自励振動型のヒートパイプが最近注目されている。
しかし、自励振動型ヒートパイプは、多くの管を蛇行ループさせる必要があることと、水平設置すると自励振動しにくい
などの間題がある。
本発明は、半導体素子等の熱を効率よく輸送する技術として、管を蛇行させることなく、水平設置しても高い熱輸送性
能をもつ自励振動型ヒートパイプを提供することを目的とする。
どのように解決したか
発熱部内に作動流体を浸透させるウィックを装備し、発熱部と作動流体の入った冷却部は直線状の連結管でつなぐ。
加熱部の断面積と連結管の流路断面積との比を10:1~2:1にする。加熱部が加熱されると作動流体が気化した蒸気
が発生する。蒸気の圧力により連結管の作動流体は連結管と冷却部の間を往復運動(自励振動)することにより、熱を
効率よく輸送する。自励振動には加熱部と連結管の流路断面積の比が重要であり、この特許の要件となっている。
効果
本発明によれば、半導体などの熱を効率よく輸送する小型のヒートパイプを提供できる。
現状の内径3mmのウィック式ヒートパイプの熱輸送量は30~40W程度であるが、本発明の自励振動ヒートパイプの熱輸
送量は40~70Wが可能である。小型化するためにパイプをより小径にしても従来よりも高い熱輸送性能が期待できる。
さらに、蛇行ループ式自励振動ヒートパイプの問題点になっている管を蛇行させることなく、水平設置しても高い熱輸送
性能を発揮する自励振動型ヒートパイプを実現できる。
優位性・特徴技術
加熱部の流路断面積より小さい断面積のパイプを連結するだけで自励振動をする。内径3mmの物で比較した場合、従
来のウィック式ヒートパイプより高い熱輸送性能40~70Wが可能である。小型化するためにパイプをより小径にしても従
来よりも高い熱輸送性能が期待できる。
さらに、蛇行ループ式自励振動ヒートパイプの問題点になっている管を蛇行させることなく、水平設置しても高い熱輸送
性能を発揮する自励振動型ヒートパイプを実現できる。
代表図
本発明一実施形態の
断面模式図
2:発熱部
4:ウィック
5:連結流路
33:冷却部
34:ゴム製膜
35:放熱フィン
B:作動流体の蒸気
L:作動流体の液体
M:作動流体
【本件問い合わせ先】 横浜国立大学 研究推進部 産学連携課 知的財産係 TEL045-339-4450