上越地域米の品質向上に向けた栽培管理の徹底 平成 27 年産「上越地域米」 栽培技術情報 No.3 発行:平成 27 年5月 22 日 ~適期の中干し・溝切りの実施により適正な籾数を確保しましょう!!~ (3)実施方法 〈中干し〉 ・田面に小さなヒビ(幅 1cm 以内)が入り、軽く足跡がつく程 度まで行う。 ※大ヒビが入るまで強く干すと、根が切れて稲の体力が落ち てしまう。 ・早生は6月末、コシヒカリは7月5日頃の出穂1か月前に は中干しを終了する。 【田面に小ヒビが入った状態】 〈溝切り〉 ・溝の間隔は8~10 条おき(間隔は 2.5m 程度)、深さは 10 ㎝以上を確保し各溝の末端は必ず排 水溝につなげる。 1 稲の生育状況と今後の水管理 (1)稲の生育状況 ・管内の田植えの盛期は平年並の5月 16 日。 ・5月は晴天が多かったこともあり、活着と初期生育は概ね良好。 (2)今後の水管理 ・活着後は浅水とし、水温の上昇を図って分げつの発生を促す。 ・低温や風の強い日はやや深水管理にし、田面が出ないよう湛水を徹底する。 ・水温が高くなるとワキの発生が急激に多くなるため、ワキが発生したら夜間落水を行い、 根腐れ・生育停滞を防止する。 2 中干し・溝切りの実施方法 (1)主な効果 ◆生育過剰を防ぐことによる適正な生育量の確保 ◆下位節間の伸長を抑え、倒伏を軽減 ◆土壌への酸素供給による根の健全化 ◆溝の設置により迅速なかん水・落水が可能 ◆収穫作業に向けた地耐力の確保 差し水 適正な籾数確保 に つながる!! (矢印は水の流れ) 差し水 (2)実施時期 ・目標穂数の8割の茎数(生育過剰ほ場では7割)がとれたら落水し、中干しを開始する。 ・落水後に地固めができた段階で溝切りする。 表1 コシヒカリの中干し開始の目安 地 域 平坦地 中山間地 1株当たり茎数の目安(本/株) 50株植え 18 - 60株植え 15 14 70株植え - 12 目標穂数 (本/㎡) 開始時期 の目安 350 320 6月10日 6月15日 3 中干し・溝切り後の栽培管理 (1)水管理 ・中干し終了後は、うわ根の発根促進や根の健全化のため浅水の間断かん水を実施し、 徐々に飽水管理に移行する。 6/10 頃から 10~14 日間 ※平坦地で生育過剰が懸念される場合は、上表の1株茎数の目安より、2本少なめの茎数を目安に中干 しを開始する。 (小ヒビが入るまで) 中干し 【参考資料】中干し時期と収量・品質(平11 佐渡農技センター) 中干し時期 【溝の末端を排水口に接続した状態】 目 標 穂 稈長 数比 (390本) (㎝) ㎡当た 一穂当 り穂数 籾数 (本) (粒) 出穂 18 日前まで 出穂前 18 日以降 間断かん水 飽水管理 溝切り ㎡当た り籾数 (粒) 登熟 歩合 (%) 千粒重 (g) 10a当た り収量 (kg) 乳心白粒 発生率 (%) 早期(5/31) 42% 93.0 378 70.5 26,000 89.2 22.2 517 4.7 標準(6/9) 遅期(6/21) 85% 143% 96.3 97.5 410 427 70.2 70.3 28,300 30,000 84.3 83.7 21.8 22.2 500 529 8.9 11.7 ※早期に中干しを開始することで良質茎が確保され、登熟歩合や千粒重が高まり、乳心白粒の 発生が抑制されて品質は向上する。遅れて中干しを実施すると、無効分げつが増えたり籾数 過剰となり、整粒歩合が低下したり乳心白粒が発生しやすくなる。 6月 7月 【中干し以降の水管理のイメージ(コシヒカリ) 】 (2)病害虫防除 〈葉いもち防除〉 ・下記に該当するほ場(品種)はいもち病が発生しやすいため、田植時に予防粒剤を施用してい ない場合は、6月中旬までに本田に予防粒剤を散布する。 ①多発地や前年発生ほ場のコシヒカリ BL ②わたぼうし ③転作跡ほ場のこしいぶき・飼料用米 〈斑点米カメムシ対策〉 ・農道・畦畔などがカメムシの生息地となるので草刈りを徹底する。
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