「穂肥のできる稲作り」に向けて、 遅れずに中干し・溝

営農かわらばん5月号
平成27年第3号
【稲作情報:栃尾・山古志地区】
平成27年5月27日
JA越後ながおか
「穂肥のできる稲作り」に向けて、
遅れずに中干し・溝切りを開始しましょう!
中干し・溝切りは、窒素吸収を抑え、適正生育量を確保し、生育後期の稲体を
健全に保ち、登熟を良好にするために、極めて重要な技術です。
田植え後30日を目安に中干しを開始
2.中干し・溝切りの効果
① 無効茎の発生抑制による適正生育量の確保
⇒ 良質茎で品質安定
② 受光態勢の良化と下位節間伸長抑制による倒伏軽減 ⇒ 品質向上
③
④
⑤
⑥
土壌への酸素供給による根の健全化
⇒ 根の活力維持
収穫時の機械作業が可能な地耐力の確保 ⇒ 秋のコンバイン収穫
溝切りによりフェ-ン等の緊急時の迅速なかん水が可能
⇒ 緊急時入水対応
溝切りにより秋の長雨による停滞水の容易な排水が可能
⇒ 長雨排水対策
※中干しが遅く実施されると、乳白粒及び心白粒が多発しやすくなります。
3.中干し・溝切りの方法と点検
①溝の間隔は2.5m程度、深さは10㎝以上を確保し、各溝の末端は必ず排水溝につなげる。
②毎年苦労する、ほ場の柔らかいか所は、間隔を狭くして溝数を増やすと効果的です。
③中干しの程度は田面に小さなヒビが入り、軽く足跡がつく程度まで行う。
土壌が肥沃な地帯、生育量の大きな圃場では強めに、逆の条件では弱めとする。
④中干し溝の額縁点検 (収穫時地耐力確保、高温時の短時間かん水、秋の長雨対策)
5月下旬以降ワキの発生が多く見られ
る場合は、夜間落水して、早朝に再び
かん水してください。
1.溝切り・中干し時期のめやす
◎田植え後30日をめやすに落水し中干しを開始する。
田植え時期が遅い場合は、本格的な梅雨時期となる前に、早めに中干しを開始する。
◎中干し程度は、田面に小ヒビが入る程度とし、大ヒビの入る強い中干しは避ける。
特に、排水の良い圃場、天水田など用水確保が難しい圃場では大ヒビが入らないように
注意する。
◎中干し期間は2~3週間をめやすとする。
(1)エコ・5-5 コシヒカリ
地 区
移植期
(栽植密度)
栃尾・山古志地区 5 月 10~20 日
(60 株/坪)
5 月 25 日以降
注)( )内は本/株
目標穂数
中干し開始のめやす
本/㎡
茎数
時期
6 月 15 日
310(17)
230(13)
6 月 20 日
中干し終了
の晩限
7月5日
7 月 10 日
(2)エコ・5-5 こしいぶき
地 区
移植期
(栽植密度)
栃尾・山古志地区
5 月 5~10 日
(60 株/坪)
注)( )内は本/株
目標穂数
中干し開始のめやす
本/㎡
茎数
時期
中干し終了
の晩限
350(19)
210(12)
6 月 5~10 日
6月末
①枕地・水口・土手下等、田面が軟ら
②圃場周囲の溝が崩れている場合、出穂期前
かくなりやすい所は、溝切り時に
に再度、額縁溝切りで排水路を確保する。
1本追加して、土固めする。
※ 溝は、必ず排水溝につなげましょう。
4.中干し終了後の飽水管理
中干し終了時期が生殖生長期以降になると、根域が縮小し、高温年では品質が
低下する場合があるので、出穂の1ヶ月前までには中干しを終了してください。
80
中干しの開始のめやす時期がきたら、茎数に関係なく落水してください。
整粒歩合(%)
目標穂数の80%に達しないうちに中干しを開始しても、その後の間断灌水で良質茎を
確保することにより、登熟歩合や千粒重の向上が図られ、標準的な中干しの場合と同等
の収量を確保できます。
中干しが不十分であると、生育が過剰傾向となって倒伏が助長されます。
※ 用水の確保がむずかしい圃場は、地域営農センターにご相談ください。
75
平成22年産米は、中干し終了時期が
遅くなり(7 月 10 日以降)、整粒歩合
が低くなりました。
70
65
60
H20,21
H22(高温年)
55
-60
-50
-40
-30
-20
中干し終了時期(出穂前日数)
エコ・5-5 運動は第3ステージ。今年も新潟県 No.1「1 等米比率 90%以上」を達成しよう!
<<飽水管理の方法>>
6.雑草対策について
取り残したヒエ以外の雑草は、バサグランで除草しましょう。
田面の高い部分がしっかり
湛水する程度に入水
水
位
自然に減水し、足跡や溝に
水が残っているうちに再び入水
自然減水
こんな状態は乾かし過ぎ !!
自然減水
水
位
この水管理を
繰り返す!
3~5 ㎝
3~5 ㎝
※エコ・5-5 では、全地区・全品種でバサグランを使用できます。
除草剤名
適用雑草
使用量・使用時期
使用方法
・落水し田面が湿った状態で
3~4㎏/10a
散布する。
水田1年生雑草
粒剤
移植後 15~50 日
※イネ科を除く。
・晴天の持続する時を選ぶ。
(但し、収穫 60 日前迄)
バサグラン 水田多年生雑草
・雑草の生えている所に、
粒剤・液剤 ウリカワ・ホタル
スポット散布できます。
500~700ml/10a
イ・ミズガヤツリ
・使用回数:1回
液剤
移植後 15~50 日
・クログワイ等
・100~200 倍程度に、希釈
(但し、収穫 50 日前迄)
して、雑草に噴霧します。
※いずれかの剤型1回のみ使用できます。
● その後も過高温が続きそうな場合は、完全落水日を出穂後30日頃まで延ばしましょう。
※エコ・5-5 では、栃尾・
山古志地区のコシヒカリ
の み クリンチャー (ヒ エ
剤)を、使用できます。
5.ケイ酸肥料の散布について
(1)水稲は、ケイ酸を積極的に吸収する「好ケイ酸植物」です。
①水稲が一生の間に吸収するケイ酸
の量は、窒素の10倍、リン酸の
20倍、加里6倍にのぼります。
【表①】玄米480kgの収量の場合(kg)
窒素 リン酸 加里 カルシウム マンガン ケイ酸
10.1 5.3 15.8 3.4
0.5
96.0
②ケイ酸の吸収は生育前期よりも
生育後期のほうが多く、出穂期
以降も全生育期内の30%近く
が吸収されます。
【表②】
(1)いもち病
補植苗は、いもち病の伝染源になります。
補植が終了したら直ちに圃場より除去してください!
(ケイ酸)
⑤耐病虫性の向上、⑥高温下の品質向上
適用場所
(3)散布時期
6月末~7月上旬(幼穂形成期前)
10a施用量
20~40kg
15~30
20~40
20~40
お問い合わせ先
(2)斑点米カメムシ対策
①水田内除草(ヒエ・ホタルイ)+②畦畔・農道管理(草刈り・体系除草)+③農薬散布
の組み合わせが必要です!
②畦畔・農道の雑草は、カメムシの生息地になり、斑点米発生原因になります。草刈り
または畦畔登録除草剤の散布により、畦畔・農道の除草をしてください。
※ 農薬ラベルの使用方法を守って散布してください。
(2)ケイ酸肥料に期待できる効果
①光合成の促進、②根の活力向上、
③受光体勢の改善、④耐倒伏性の向上、
(4)主なケイ酸肥料
肥料名
けい酸加里プレミア34
ウォーターシリカ
スーパーシリカ
マルチサポート
7.病害虫防除について
特徴
加里(20%)、苦土、ほう素を含む。
水口施用が可能な省力型肥料
ケイ酸に特化した低コスト肥料
ケイ酸と苦土を主体とした総合微量要素肥料
栃尾地域営農センター
山古志支店
の営農指導担当へ
☎52-5858
☎59-3006
農 道
畦畔等
除草剤名
10a 当り使用量
使用時期・回数
ラウンドアップ
200~1000 ml 希釈水量
(通常散布)50~100ℓ 収 穫前日まで・2回以内
マックスロード (スギナ)1500~2000 ml
(少量散布)25~50ℓ
バスタ液剤
500~1000 ml、希釈水量 100~150ℓ
収 穫7日前まで・2回以内
カーメックスD 150~300g、希釈水量 70~100ℓ
カソロン(秋・春)
ダイロンゾル
ダイロンゾル:250ml
+
との体系処理の場合
希釈水量 100ℓ
ザクサ液剤:800~1000ml
ザクサ液剤
※カーメックスD、ダイロンゾルは、いずれかを1回のみ使用できます。
※バスタ液剤、ザクサ液剤は、いずれかを2回以内使用できます。
③カメムシ斑点米の発生を防ぐため、共済組合の「スタークル」による防除を的確に
行なってください。(エコ・5-5 運動参加圃場では、「スタークル」による防除は1回のみです。)