新川農業普及だより

- 平成 28 年新春号(第 32 号)-
新川農業普及だより
富山県新川農林振興センター
〒938-0801 黒部市荻生 3200
担い手支援課 TEL 52-0268
農業普及課 TEL 52-0094
平成28年1月発行
ごあいさつ
栽培が拡大しているストック切花(朝日町)
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、当センターの普及活動に格別のご理解とご協力を賜り、心から感謝を申し上げます。
さて、新川地域の産米については、平成 24 年、25 年産と夏期の高温や収穫時のフェーンなども
あり、2 年連続で品質が低下し消費地から厳しい評価を受けました。これをバネに 26 年、27 年産
では土づくりや田植時期の繰り下げ、中干しや出穂後の適正な水管理など、農家の皆様と関係者が一
丸となった取り組みにより、1 等比率が 90%を超え、特に 27 年産では、品質・収量ともに過去最
高レベルの成績となりました。これまでの皆様のコメづくりに対する意欲と高い技術力に敬意を表し
ます。
当センターでは、引き続き気象変動に負けない、安定したコメづくりに向けて、技術対策や情報発
信に努めてまいります。
また、各地域では、だいこん、しろねぎ・ねぎたん、さといもなど園芸品目の産地化や、冬瓜や実
バラ生産を通じた中山間地域の活性化、農産加工などの新商品開発にも積極的に取り組まれていま
す。加えて、後継者不足が言われる中でも昨年、20 名程度の方が新たに就農されました。
本年もこのような普及活動をより充実させるとともに、担い手の経営安定などを通じて、新川地域
の農業・農村がより元気で魅力あるものとなるよう、職員一同努力してまいりますので、ご理解・ご
支援を賜りますようお願いします。
結びに、本年が皆様にとってより良い 1 年となりますよう心からお祈り申し上げます。
新川農林振興センター所長
鶴山 元紀
28年産米づくり
~「穂数型稲」と「根づくり」をさらに!~
27年のコシヒカリ栽培は、
「高温に打ち勝つ米づくり」として、26年に引き続き「穂数型稲」
と「根づくり」をテーマとする重点対策に取り組んでいただきました。
その結果、コシヒカリの一等比率は 10 月末現在で 97.5%と田植の繰り下げが始まった 16 年
以降最高となり、収量についても 542 ㎏/10a(1.85 篩目)と 25 年以来の豊作でした。
これは、出穂を適正な時期に誘導できたことにより、出穂後 20 日間の平均気温が低く、高温時
特有の「除青未熟」
(基白・背白粒)が見られなかったうえ、穂数も多かったことにより、
「心白・
腹白」(心白粒)についても極力抑えられ、増収につながったものです。
1
一等米をとるための絶対条件
一等米を確実にとるためには、出穂後20日間の気温を27℃以下となるようにしなければなり
ません。この条件を満たすコシヒカリの出穂期は8月5日以降です。
このため、コシヒカリでは「5月15日を中心とする田植え」が必須です。
一方、このことにより栄養生長期間(幼穂形成期までの期間)は短くなるので、稲
の生育ステージに合わせ、水管理などを早め早めに行うことが重要となります。
そこで……
2
「穂数型稲」と「根づくり」を徹底
デンプンが行き渡らない
⇒ 白未熟粒の発生
リスクが大きい
籾
数
は
同
じ
な
の
に
?
穂重型稲
◎「穂数型稲」の実践ポイント
(1)健苗育成
老化苗では分げつの発生が遅れます。
田植日に合わせた播種など、適正な育苗作業
で若くてがっちりとした苗に育てましょう。
(2)適正な田植
植付け後の天候不順によって、分げつが期待
するほど取れない場合もあります。
70株/坪を確実に植付けるとともに小苗・
浅植えを心がけましょう。
(3)浅水管理の徹底
活着後は朝夕・入水、日中・止め水の浅水管理
で田水温を上げ、分げつの発生を促しましょう。
穂数型稲
◎「根づくり」の実践ポイント
(1)土づくり
有機物や土改資材の施用に加え、根が伸びる条件
を作ってやることが大切。深起しを行いましょう。
(2)溝掘り・中干し
分げつが少ないからと水を溜めていては、根は
一向に伸びません。田植してから 1 ヶ月後には
「溝掘り・中干し」に取り掛かりましょう。
写真 中干しの有無による根量の違
(3)間断灌水~飽水管理
い
「うわ根」は登熟を掌る最も大切な根。6月下旬頃から出始め、7月上旬頃がピークとなります。
前半は間断灌水で根を伸ばすことを中心に、後半は暑さなどで消耗させないよう飽水管理を行いま
しょう。
今年が一等米比率 95%以上を達成すれば3年連続です。その意味で「高温に打ち勝つ米づくり」と
しての真価が問われます。しっかり実践していただいて質・量トップの『新川ブランド』に繋げましょう。
新川農業普及だより(4)
続々登場!農家の新商品~6次産業化の取組み~
当センター管内でも近年、自らの生産物を活用し、工夫を凝らした商品開発が進んできています。
その一端についてご紹介します。
○新川管内での6次産業化の新たな取り組み事例
農業者自らが
企画し、開発
製造する商品
農業者が企画開発し、
製造を委託した商品
黒米ロール
「㈲クリーンみず穂(朝日町)」
干しぶどう
「ボッサファーム (黒部市)」
お米のうどん
「㈲ドリームファーム
(入善町)」
むすびすし
「㈱宇奈月ファーム(黒部市)」
おらちのパスタ
「米農家寺崎(黒部市)」
農村女性活動による商品
むしパン
かぼちゃ・
サツマイモ
「(農)食彩あさひ(朝日町)」
さとっころ
「百笑一喜(入善町)」
柿酢ドレッシング
ちゃちゃっと酢
「美の里じまん(朝日町)」
姑のたくあん
嫁のはりはり
「中島由起子(入善町)」
○新商品開発を支援する制度
県では、新商品を開発するための技術習得や機械導入等の条件整備を以下により支援しています。
詳細は、新川農林振興センター経営支援班へお問い合わせ下さい(TEL:52-0268)。
商品開発のノウハウを
対 象
新商品を実際に作ってみたい
知りたい・習得したい
農
林
漁
業
者
農
村
女
性
6次産業化プランナーの派遣
(6次産業化サポートセンター)
6次産業化とやまの魅力発信事業
…経営の多角化や収益性の向上を目指す取り組み
農村女性スキルアップ講座
農村女性起業チャレンジ事業…新商品の開発や試作
…座学と実習で起業に必要な
知識を習得(講座制研修)
農村女性起業拡支援事業…事業拡大に必要な施設整備
農村女性先進モデル企業育成事業…企業への発展を支援
~栄えある受賞おめでとうございます~
農業部門での受賞者の紹介
富山県功労表彰
中日農業賞
全国農業コンクール 農林水産大臣賞
中日賞
(農)食彩あさひ
(代表理事 弓野 良子
朝日町山崎)
(有)ドリームファーム
(代表取締役会長 鍋島 太郎
入善町椚山)
地域食材や伝承料理技術を活
用した商品開発、消費者との交
流等を通じて、地域農業の振興
に寄与されました。
主穀作と約 20 種類の野菜、切
花を大規模に生産、学童農園の
協力等を通じ、地域農業の発展
と住民交流に貢献されました。
水稲と球根を中心とした農業
経営を実践、新技術や販路開拓
に積極的に取組み、地域農業の
活性化に寄与されました。
農山漁村男女共同参画優良活動表彰
毎日農業記録賞 中央審査委員長賞
とやま地産地消活動表彰 知事賞
小林由紀子(魚津市片貝)
朝日町漁協女性部
(部長 竹谷 てる子
朝日町宮崎)
農家の娘として実家の米や地
元野菜等を使った米粉パン作り
に情熱を注いだ体験をつづった
記録が評価されました。
沿岸部の食文化普及、
「灰付き
ワカメ」の技術継承や消費者交
流に務め、地場魚産物の PR に貢
献されました。
濱田 律子(黒部市石田)
農業経営における情報発信や
販売管理等重要な部門を担う、
新たな農業モデルの構築が評価
されました。(農林水産副大臣賞)
全国豆類経営改善共励会 北陸農政局長賞
米田 勇太(入善町横山)
富山県農業振興賞 農林水産大臣賞
【大豆経営の部】
五十里 章(入善町五十里)
【大豆集団の部】
愛本新2区営農組合
(黒部市宇奈月町)
【米部門】
田中 吉春(入善町中沢)
土づくりや適期作業等により
高水準の単収と収益性を実現、
中心的な担い手として地域農業
の確立に寄与されました。
適正な品種構成ときめ細かな
技術により品質向上と高い収益
性を実現、地域農業活性化に貢
献されました。
栽培技術の向上や地域資源の
活用等により経営を発展、各種
地区組織の役員として活躍し、
地域農業を牽引されました。
~今後も益々のご活躍を期待しております~
新川農業普及だより(4)