三春町立三春中学校

三春 ing
□ 三春中アイエヌジー
現職教育資料№16
平成28年 6月8日
Part 2
ポイント:
 子ども達の学びを大切にするために教師のおしゃべりを最小限に
 グループとグループとのつなぎ
 学びに必要性があって教科書を読み込んでいる
 間違いを大切にする
 「聴く」ことを大事にする教室
1年生の社会科を参観して
○ 先週、門馬先生の社会科の授業を観させていた
だきました。授業の後半部分でグループによる「学
び合い」をやるというので、途中からの参観でし
た。世界の気候についての学習です。1年生ですか
ら、小学校では世界のことについては、6年生で国
際連盟の内容を学習するときに少しだけ学習する機
会があります。ですから、中学校に入ってから世界
に目を向け、本格的に学習することになります。私
も教諭の頃、1年生に世界地図をフリーハンドで書
かせると、北アメリカと南アメリカが切り離されて
いたり、世界の知っている国名を言わせると、アフ
リカとかロンドン、ニューヨークなどが出てきたり
と、1年生にとって世界を学習するのが始めてなの
です。
門馬先生は、世界地図と雨温図が書かれたプリン
トを準備していました。雨温図には気候名は書いて
ありません。課題は教科書とグループ(4人男女混
合)の「学び合い」で、地球上のどの地域の気候か
を探る授業です。
途中からの参観だったので、すでにグループごと
に、課題の解決具合に凸凹が出ていました。子ども
達のテンションが少し高いかなあと思いましたが、
よく考え合っていました。「赤道に近いところは暖
かいんじゃない?」「地図の上の方は寒いよね」
「教
科書に雨季と乾季があるって書いてある」子ども達
は自分が発見したり、考えたりしたことを互いに交
換し合っているように見えました。不思議と手が止
まっている子、授業とは関係のない話をしている子
はいません。顔を付き合わせて、ペンでテキストを
指さし、なぜそういう答えが出たのか理由を聞いて
います。私が授業の途中で教室に入っても、1人2
人の子は私の顔を見て反応しましたが、すぐに活動
に戻り、ほとんどの子は、夢中になって学び合って
いるようでした。地図を見ると何人かの子が赤道を
書き込んでいました。地図はまったくの白地図で
す。M君が地図に赤道を書き込み、それがグループ
から、グループへ伝わって赤道が書かれたそうで
す。赤道を書き込むことは、この学習には有効であ
ると、どの子も思ったのでしょう。
(これも、子ど
もと子どもをのつなぎなのでしょうか)誰かが、北
回帰線と南回帰線を地図に書き始めたら凄いねと門
馬先生と話しましたが、まだそういう子は現れませ
んでした。
子ども達は教科書の読み取りだけでは、十分に読
み取れない似かよった雨温図があるため「先生、地
図帳見てもいいですか」と求めますが、「今日は、
教科書だけでやって下さい」との指示。何か、子ど
も達のわかりたいという気持ちが伝わってきます。
地図帳を使って、世界の地形図(砂漠と山脈)を見
せれば、回帰線上に広がる気候分布がしっかり子ど
も一人ひとりの頭に入ってくるくらい教科書を読み
込んでいます。
私もそうでしたが、門馬先生も気候の学習は、1
つ1つの気候の特徴を教師が説明して、雨温図を読
み取らせ、地球上のどのあたりの気候かを地図帳で
確かめさせていく授業になります。そして、定着し
たかどうか、雨温図を使って何気候を当てるような
問いをします。つまり、一斉授業です。
今回の授業は、教科書と雨温図、世界地図の書か
れたプリントを使って、グループでの学び合いだけ
で、雨温図を読み取りました。教科書の使い方は、
子ども達が学びに必要性があって読み込んでいるわ
けです。そして、自分が考えたこと、気付いたこと
をグループ内で伝え合っているのです。門馬先生
は、グループでの活動を10分程度で終わりにしま
した。すべてのグループができていない段階です。
全体に戻しましたが、まだ活動を続けたいという雰
囲気が子ども達に感じられます。全体に戻して、わ
かったことを理由も含めて発表して欲しいと先生か
ら指示が出ました。グループを指名しましたが、な
かなか発言が出てきません。もしかすると「間違っ
たら」という気持ちが子ども達にまだあるのかもし
れません。
(間違っても大丈夫、みんなが教えてく
れるを教室に育てていきたい、間違いは学びを深め
る宝物)それでも、Tさんが理由をしっかり述べな
がら発言してくれました。ここで時間切れです。次
の授業では、わかったことを全体でつないでいく授
業になるのでしょう。授業が終わってからも学び続
けたいという姿勢の子が何人かいました。
授業後、門馬先生と話したことは、グループでの
活動がこんなにも促進されるものかと言うことで
す。校長が突然教室を訪問しても「学び合い」は安
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定して続けていたし、門馬先生の板書は気候名を書
いただけ、それと教師の気候帯の説明は一切なし、
教科書とプリントを準備しただけです。グループ活
動に入ってからは、先生の指示も「さあ、そろそろ
グループでの活動をあと1分で終わりにします。
」
「それでは、グループでわかったことを発表してく
ださい。
」(これが、「聴かせてください」だと良
かったかもしれません。
)だけです。本時の学習内
容についての教師の説明は一切ありませんでした。
当の門馬先生も、これだけの教師のかかわりで「学
び」が促進されていることが驚きのようでした。雨
温図の読み取り、教科書の読み取りも自分のものに
子ども達はしていたからです。
課題もありました。仲間が発言しているときは、
自分が学びを続けたいと思っても、しっかり仲間の
発言を「聴ける」ようにすることだと思います。そ
うすれば、子ども達は「聴く」ことを大事に自分が
わかったこと、気付いたことを仲間に伝えたいと思
うのではないでしょうか。
ただ、私達の学校の子ども達は、学び合う、支え
合うことが好きなんだなあと思いました。もっと
もっと学び合う環境を我々が工夫してデザインして
いきましょう。それには、真のところで子ども達と
教師がどう接するかが、その環境をつくっていくこ
とは、確かだと思います。
№16