ECBは予想を上回る包括的な追加金融緩和を実施

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2016年3月11日基準
ECBは予想を上回る包括的な追加金融緩和を実施
今回のポイント
 ECB(欧州中央銀行)は、マイナス金利の拡大に加え、資産買い入れ規模の拡大や新たなTLTROの実
施などの包括的な追加金融緩和策を決定しました。
 市場は、今回の追加金融緩和を一時は好感したものの、その後は追加利下げの打ち止め観測が台頭し、
ユーロは反転し、対円で上昇。株価は一部の国を除いて下落しました。
 今回の一連の政策は金融機関に配慮し、信用市場の安定化に踏み込んだ内容となっており、中期的には
金融市場全体の安定化につながる可能性が高いと考えられます。
金融政策について
ECBが今回決定した主な金融緩和政策
3月10日、ECB(欧州中央銀行)は主要政策金利
のリファイナンス金利を0.05%から0.00%へ、限
界貸出金利を0.30%から0.25%へ、中銀預金金利
を-0.30%から-0.40%へそれぞれ引き下げました。
政策金利を0.05%から0.00%に引き下げ
中銀預金金利を-0.40%に引き下げ
量的緩和策の規模を200億ユーロ増額し、
毎月800億ユーロに拡大
また、量的緩和プログラムについてはユーロ圏
で設立された非銀行企業が発行したユーロ建て投
資適格社債もその対象に加えることや、毎月の資
産買い入れ規模を従来の600億ユーロから800億
ユーロに拡大、お よび6月からは新たなTLTRO
(条件付き長期資金供給オペ)を開始すると発表
しました。
量的緩和策の買い入れ対象に金融機関を除
く投資適格社債を含める
4年物の長期資金供給策を追加
ECB総裁は記者会見で、この包括的な政策決定
は異例の低インフレによる悪影響が経済全体に波
及することを防ぐためと言及しました。
なお、新たなTLTROの金利は、今回引き下げら
れたリファイナンス金利が適用されるものの、よ
り多くの融資を実施する銀行はさらに優遇し、最
大で中銀預金金利と同水準まで金利を引き下げる
としました。また、ユーロ圏の2016年の成長率予
想は1.4%(従来1.7%)に、インフレ率予想は
2016年を0.1%(従来1.0%)に大きく下方修正さ
せました。
マーケットの反応
金融市場では、中銀預金金利の引き下げ観測が
高まっていましたが、資産買い入れ規模の拡大を
含めた、包括的な政策決定を驚きをもって受け止
め、一時はユーロ安・欧州株高で反応し、ドイツ
の国債利回りは上昇しました。
政策金利等の推移
(2013年3月8日~2016年3月10日)
2.0
(%)
政策金利
上限金利
下限金利
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
13/3
13/9
14/3
14/9
15/3
15/9
16/3
(年/月)
※政策金利はリファイナンス金利、上限金利は限界貸
出金利、預金金利は中銀預金金利を使用しています。
(出所:BloombergのデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
※上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末のご注意事項等を必ずご確認ください。
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金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/ 一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
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しかし、ECB総裁が記者会見で「金利は資産
買い入れ期間の終了後も低い水準にとどまる」
と言明した上で、「一段の金利引き下げが必要
だとは考えていない」と述べると、金融市場は
追加利下げの打ち止め観測からユーロは反転し
上昇基調となり、欧州株は一部の国を除いて下
落しました。
同時間帯に、産油国の会合時期が不透明と
なったことなどが嫌気され、WTI原油先物が下
落したことも悪材料となりました。
欧州市場の引け後、米国市場は落着きを取り
戻す中、米ドル安や新興国市場の安定が安心材
料となり、ダウ・ジョーンズ工業株価平均は回
復し、引け値では小幅下落となり、米国10年国
債利回りはドイツ国債に連動して上昇しました。
また、11日の東京市場では、円高を受けて下
落して始まったものの、上昇に転じています。
また、10年国債利回りは上昇後、低下に転じて
います。
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株価指数の推移
(2013年3月8日~2016年3月10日)
16,000
ただし、今回のECBの包括的な政策決定を受
けた市場の反応は、20カ国・地域(G20)財務
相・中央銀行総裁会議でも示されたように意図
的な通貨安政策には拒否反応を示す一方、金融
機関に配慮して信用供与に寄与する政策には好
反応を示したことを感じ取ることが出来ます。
また、日本・欧州ともに以前の様な通貨安期
待は難しいと考えられる一方で、昨年米ドル高
に苦しんだ新興国の多くは安定化してきており、
欧州の国債市場でも、ドイツの国債利回りの上
昇幅に比べ、イタリアとスペインの国債利回り
の前日比の上昇幅は限定的となるなど、年明け
から不安視されていた要因は徐々に解消される
方向に進みつつあります。
このような状況下、海外の株式市場は安定して
きており、円安反転期待は見込みにくい中、国
内の株式市場は、上下の振れ幅を縮めながら、
下値固めの展開と考えられます。
ドイツDAX(左軸)
フランスCAC40(左軸)
(ご参考)NYダウ(右軸)
14,000
12,000
21,000
20,000
19,000
10,000
18,000
8,000
17,000
6,000
16,000
4,000
15,000
2,000
14,000
13/3
13/9
14/3
14/9
15/3
15/9
16/3
(年/月)
※NYダウは、ダウ・ジョーンズ工業株価平均を表しています。
為替の推移
現地
通貨高
今後の市場見通し
欧州では、今回決定された追加金融緩和策が
経済全体に与える効果を見極める展開とみられ
ます。また、他の主要国では、14~15日には日
銀の金融政策決定会合、15~16日にはFOMC
(米連邦公開市場委員会)が予定されており、
そこで示される政策姿勢や、原油生産にかかる
産油国の動きなどが注目されます。
(米ドル)
(ポイント)
(2013年3月8日~2016年3月10日)
160
(円)
150
140
為替
レート
130
120
110
100
ユーロ/円
(ご参考)米ドル/円
90
現地
通貨安
80
13/3
13/9
14/3
14/9
15/3
15/9
16/3
(年/月)
金利の推移
下落
(2013年3月8日~2016年3月10日)
6
(%)
ドイツ
5
イタリア
スペイン
4
債券
価格
3
2
1
上昇
0
13/3
13/9
14/3
14/9
15/3
15/9
16/3
(年/月)
※各国の金利は10年国債利回りを使用しています。
(出所:BloombergのデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
※上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末のご注意事項等を必ずご確認ください。
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