1 前回までの復習 2 行列式の計算と性質

情報処理演習 2015.1.6. 行列式
この講義の資料は, http://www.sm.u-tokai.ac.jp/~nakayama/intro_computer_2014 より入手することができる.
前回までの復習
1
1. 行列の計算
行列 X の定義
行列 X を見やすく表示
行列 Y の定義
積 XY の計算
X を行簡約
Y を行簡約
X の逆行列を計算
Y の逆行列を計算
X = {{1,2,3}, {2,3,1}, {3,1,2}}
X // MatrixForm
Y = {{0,1,-1}, {1,-1,0}, {-1,1,0}}
X.Y
RowReduce[X]
RowReduce[Y]
Inverse{X]
Inverse[Y]
(
問題 1. 2 次正方行列 X =
)
a b
, Y =
c d
(
e
g
f
h
)
とおき, 積 XY と逆行列 X −1 を計算してみよ.
行列式の計算と性質
2
行列式 (determinant) を計算するには Det という命令を用いる.
2. 行列式の計算
X = {{1,2}, {3,4}}
Det[X]
Y = {{1,2,3}, {4,5,6}, {7,8,9}}
Det[Y]
問題 2. 次の正方行列の行列式を計算せよ.
(
X=
)

3 −2
2 3

, Y = 2 3
0 4
6 −1



(
)
−5
a b c
a b



, W = d e f 
4 , Z =
c d
6
g h i
行列式の大事な性質として,
行列 A が正則行列 (すなわち逆行列を持つ行列) ⇔ 行列式 det A ̸= 0
がある. (参照 : [1] 定理 3.4.2.)
問題 3. 次の正方行列で正則なものをどれか. 行列式を使って調べよ.



(
)
3 −1 −1
1
1 −1



X=
, Y = −1 3 −1 , Z =  0
1 −1
−1 −1 3
−1

0 −1

−1 1 
1
0
有名な形の行列式として, ヴァンデルモンド (Vandermonde) の行列式 というものがある. (参照 : [1] 例題 3.5.1.)
1
1
···
1 x1
x2
···
xn ∏
x2
x22
···
x2n =
(xj − xi )
1
.
..
.. 1≤i<j≤n
.
.
. .
n−1
n−1 x1 , xn−1
· · · xn
2
1
例えば, n = 3 の場合であれば,
1
1
x1 x2
x2 x2
1
2
1 ∏
(xj − xi ) = (x3 − x2 )(x3 − x1 )(x2 − x1 )
x3 =
2
1≤i<j≤3
x
3
という式が得られる.
問題 4. n = 4 の時, ヴァンデルモンド行列式の式を書け.
1
1
1
1 x1 x2 x3 x4 x2 x2 x2 x2 =
1
2
3
4
3
x1 x32 x33 x34 問題 5. Mathematica で n = 4 の時のヴァンデルモンド行列式を計算してみよ. (因数分解するときは Factor という命
令を用いる. 例えば, Factor[x^4-y^4] とすれば x4 − y 4 の因数分解をしてくれる.)
3. ヴァンデルモンド行列式
X = {{1,1,1}, {x1,x2,x3}, {x1^2, x2^2, x3^2}}
F = Det[X]
Factor[F]
3
クラーメルの公式 (行列式を用いて連立 1 次方程式を解く)
定理 6 (クラーメルの公式). (参照 : [1] 定理 3.4.3.)


a11 a12 · · · a1n


 a21 a22 · · · a2n  (
n 次の正則行列 A = 
..
.. 
 ..
 = a1
 .
.
. 

a2
···
)
an
x1

 
 x2 

とし, 変数のベクトルを x = 
 .. , 定数のベ
 . 
an1 an2 · · · ann
xn
 
b1
 
 b2 
det((a1 , a2 , . . . , ai−1 , b, ai+1 , . . . , an ))

となる. こ
クトルを b = 
 ..  とおく. 連立 1 次方程式 Ax = b の解は, xi =
det(A)
.
bn
の公式は A が正則でない時 (すなわち, det A = 0 の時) には適用できないことに注意する. この時は連立 1 次方程式の
解が複数存在するか, 解がない場合である.
(
n = 2 の場合について, 連立 1 次方程式
(
問題 7. 連立 1 次方程式
5 4
6 5
)(
x1
x2
)
a11
a21
a12
a22
)(
x1
x2
)
( )
b1
=
の解は x1 =
b2
b1
b2
a11
a21
( )
3
=
をクラーメルの公式を使って解け.
1
問題 8. n = 3 の時のクラーメルの公式を書け.
参考文献
[1] 三宅敏恒, 「線形代数学 — 初歩からジョルダン標準形へ」, 培風館
[2] 谷口義治, 永友清和, 「線形代数と Mathematica」, 牧野書店
2
a12 a22 ,
a12 a22 x2 =
a11
a21
a11
a21
b1 b2 a12 a22 である.