第 四

7 類 V クラス 線形代数学第一 レポート問題 4
レポート問題略解
[1] a, b を実数とするとき, 次の連立 1 次方程式が解を持たないような a, b の範囲を ab平面に図示せよ.

   
[
][ ] [ ]
1 2 a
x
1
a 1
x
−1

   
(1)  3 1 b   y  = −2
(2)
=
4 b
y
−2
2 −1 1
z
−4
解答
(1) 与えられた連立 1 次方程式に対応する拡大係数行列は


1 2 a 1


 3 1 b −2 
2 −1 1 −4
である. この行列の 1 列目を掃き出すと,


1 2
a
1


 0 −5 b − 3a −5 
0 −5 1 − 2a −6
となり, さらに 2 行目の (−1) 倍を 3 行目に加えると,


1
1 2
a


 0 −5 b − 3a −5 
0 0 a − b + 1 −1
となる. 従って, 定理 2.4 によると連立方程式が解を持たないことは「a − b + 1 = 0」
であることと同値である (図は省略) .
[
]
]
[
1
a 1
b −1
(2) ab − 4 ̸= 0 のときは, 係数行列
が逆行列
をもつの
ab − 4 −4 a
4 b
で, 連立方程式は
[ ]
][ ]
[
1
x
b −1 −1
=
ab − 4 −4 a
y
−2
[
]
a 1 −1
という解を持つ. いま, ab = 4 とすると, 拡大係数行列
の階段行列は
4 b −2
[
1 b/4
−1/2
0 0 −1 + a/2
]
となるので, a = 2 であれば (b = 2 であって), 連立方程式は
[ ] [
]
[
]
x
−1/2
−1/2
=
+t
(t は自由変数)
y
0
1
という解を持ち, a =
̸ 2 であれば解を持たない. 以上をまとめると, 連立方程式が解
を持たないのは a, b が「ab = 4 かつ a ̸= 2」を満たすときである (図は省略).
[2] 次の連立 1 次方程式の解を掃き出し法を用いて求めよ.

   
2 −1 −2 −2
x
−4
−1 1




3
2 y   3 



  =  .
2
1
6
a z   0 
1
1
5
2
w
b
注意
a, b の値に関して場合分けを行って下さい.
解答
拡大係数行列に掃き出し法を施すと,







2 −1 −2 −2 −4
2 −1 −2 −2


−1 1
3
2
1
3 
 0 1/2 2
→
 −−−−
1
0  r2 + 2 r1  0 2
2
1
6
a
8 a+2
r3 −r1
1
1
5
2
b
0 3/2 6
3
r4 − 12 r1



−2
1
1 −1/2 −1 −1


 0
2 
1
4
2
 0

−1−→ 
→
 −−−−
1
2
8 a+2
4  r1 + 2 r2  0
r  0
2 1
2r2
r3 −2r2
0 3/2
6
3
b+2
0
r4 − 32 r2
−4
1
4
b+2
0
1
0
0





1
0
−1
2
4
2
0 a−2
0
0
0
b−1





を得る. 従って,
• b ̸= 1 のとき方程式系は解がない.
• b = 1 かつ a ̸= 2 のとき, 解は w = 0, z = s (自由変数), y = 2 − 4s, x = −1 − s
である.
• b = 1 かつ a = 2 のとき, 解は w = t, z = s (両方は任意の定数), y = 2−2t−4s,
x = −1 − s となる.


1 u 0


[3] 行列  u 1 v  の行列式を求めよ.
0 v 1
1 u 0
解答 サラスの方法によると u 1 v = 1 − u2 − v 2 .
0 v 1
[4] 任意の 2 次正方行列 A, B に対して, |AB| = |A| × |B| であることを示せ. (ただし
|X| とは行列 X の行列式のことである.)
]
[
[
]
a11 a12
b11 b12
とする. そのとき
とB=
解答 A =
b21 b22
a21 a22
[
]
a b +a b
11 11
12 21 a11 b12 + a12 b22 |AB| = a21 b11 + a22 b21 a21 b12 + a22 b22 = (a11 b11 + a12 b21 )(a21 b12 + a22 b22 ) − (a11 b12 + a12 b22 )(a21 b11 + a22 b21 )
= a11 b11 a22 b22 + a12 b21 a21 b12 − a11 b12 a22 b21 − a12 b22 a21 b11
= (a11 a22 − a12 a21 )(b11 b22 − b12 b21 ) = |A| × |B|.
[5] mij =
解答
{
1 (|i − j| = 1 のとき)
0 (|i − j| ̸= 1 のとき)
答えは
{
(−1)k
に対して, n 次正方行列 [mij ] の行列式を求めよ.
(n = 2k の場合)
. 証明はルークの配置を考えればすぐに
0
(n が奇数の場合)
分かる. 以下, その代わりにブロック分割を用いて証明する.
まず [mij ] に行基本変形 R3 → R3 − R1 , R5 → R5 − R3 , . . . , R⌊n/2⌋ → R⌊n/2⌋−2 を
行う. (ただし, 実数 x に対し, ⌊x⌋ とは x 以下の最大の整数のことである.) その結
果を T とする. T と元の行列の行列式が一致することに注意.
[
]
M O
6 月 10 日に述べた性質 8 (M, N が正方行列であるとき det
= det M ·det N
L N
であること) の系として, 正方行列 M1 , . . . , Mk に対して,




M1
M1




M2




M2


 = det M1 det M2 . . . det Mk

det 
=
det
..



..
.
.




B
O
であるこが分かる.
O
Mk
B
Mk
[
]
0 1
1 0
n が奇数であるとき n = 2k − 1 とおき, M1 = · · · = Mk−1 =
と Mk = 0 と
[
]
0 1
する. n が偶数のとき n = 2k とし, M1 = · · · = Mk =
とおく. すると T が
1 0
]
[
0 1
= −1 と det[0] = 0 であることより与式
上記のような行列と見なせる. det
1 0
が従う.