補足プリント8:ポアソン分布の期待値と分散 松井宗也 南山大学経営学部 平成 27 年 5 月 10 日 離散分布で重要なものは2項分布とポアソン分布である。ここではポアソン分布の期待と分散、2 項分布との関係にについて説明する。2項分布の期待値と分散は教科書 p.96 の 4.5 数学補足を参考に せよ。 1 期待値・分散 期待値 E(X) と分散 V (X) を考える。指数関数 ex の級数表現 ∞ ex = 1 + x + ∑ xk x2 xk + ··· + + ··· = 2! k! k! k=0 k を予備知識とする。(x は任意の実数。)すると P (X = k) = e−µ µk! が確率関数となっていることは ∞ ∑ P (X = k) = k=0 ∞ ∑ k=0 ∞ µk ∑ µk e−µ = e−µ = e−µ eµ = 1 k! k! k=0 より分かる。期待値は級数表現を用いて ∞ ∞ ∞ ∑ ∑ ∑ µk −µ µk−1 −µ µk −µ E[X] = k e =µ e =µ e =µ k! (k − 1)! k! k=0 k=1 k=0 となり、分散は V [X] = E[X 2 ] − (E[X])2 = ∞ ∑ k=0 k2 ∞ ∞ k=0 k=0 ∑ ∑ µk µk −µ µk e − µ2 = k(k − 1) e−µ + k e−µ − µ2 k! k! k! ∞ ∑ µk−2 −µ 2 =µ e + µ − µ2 = µ2 + µ − µ2 = µ (k − 2)! k=2 となる。期待値と分散は等しく E[X] = V [X] = µ となることに注意する。 1 2 2項分布のポアソン近似 2項分布 B(n, p) に従う確率分布は n が非常に大きいときポアソン分布で近似できる。2項分布の 期待値 np を µ とおくと2項分布は B(n, µ/n) に従うと考えられるからその確率関数は、 ( µ )k ( k! µ )n−k 1− n!(n − k)! n n k µ )−k ( µ )n µ n(n − 1) · · · (n − k − 1) ( 1 − 1 − = k! n n nk ( ) ( ) ( ) ( ) k −k 1 2 µ µ −µ n 1 1− 1− ··· 1 − = 1+ k! n n n n P (X = k) = と書ける。ここで n → ∞ とすると、公式 ex = lim (1 + x/n)n n→∞ で x = −µ と置くなどして、右辺は P (X = k) = 1 k −µ k! µ e 2 に収束することが分かる。
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