「みえる」「わかる」「できる」算数科授業の創造

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八重東小学校の研究推進について
平成 27 年度
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八重東小学校の研究推進について
研究主題
「みえる」「わかる」「できる」算数科授業の創造
~ユニバーサルデザインの授業づくりを通して~
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主題設定の理由
小学校学習指導要領解説算数編(以下 解説算数編と記す)において,改訂の基本方針の中で,「算数
科,数学科については,その課題を踏まえ,小・中・高等学校を通じて,発達の段階に応じ,算数的活
動・数学的活動を一層充実させ,基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付け,数学的な思考力・表
現力を育て,学ぶ意欲を高めるようにする。」と述べられている。このことに関して,「最近までの国内
での教育課程実施状況調査や国際的な学力調査の結果分析によると,計算などの技能の定着については
低下傾向は見られないが,計算の意味を理解することなどに課題が見られ,また,身につけた知識や技
能を生活や学習に活用することが十分でないといった状況が見られる。」と述べられている。
(1)全国学力・学習状況調査の結果より
ここ2年間の本校児童の全国学力・学習状況調査の算数の結果から次のことが明らかになった。
○平均正答率は,総じて「活用」に関する問題が低い。
○県・全国平均と比べると,
「活用」に関する問題より「知識」に関する問題について,差が
大きくない。
知識に関する問題は平均を少し上回っている。一方で,活用に関する問題は平均を大きく上回って
いる。このことから,基礎的・基本的な知識・技能の指導をより充実することで,活用する力をさら
に伸ばすことができると考える。
(2)標準学力検査CRTの結果より
標準学力検査CRTとは,学習指導要領に示された,その学年で学習する基礎的・基本的な内容の
定着状況を把握するテストである。
昨年度の算数の結果から次のことが明らかになった。
○ほとんどの学年の平均が,全国平均を上回っている。
○全国平均を上回った児童は全体の67%である。
多くの児童が全国平均を上回り,学級平均を押し上げている。一方で全国平均を下回っている児童
は全体の33%(人数にして30人)いる。全国平均を下回っている児童や全国平均に近い児童の力
を伸ばすために,基礎的・基本的な内容の指導が重要であることが分かる。
以上の2点から,本校研究の重点を基礎的・基本的な知識・技能習得のための指導の充実とし,本主
題を設定した。
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研究仮説
算数科の学習の時間において,ユニバーサルデザインの授業づくりをすることで,より多く
の児童が基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につけることができるだろう。
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主な研究内容
算数科授業のユニバーサルデザイン化を図る。
ユニバーサルデザインとは
概念であって,方法ではない。本研究では,誰もが「分かる」算数科授業を創ることとする。
みえる
わかる
できる
視覚化でわかりやすくする
焦点化で簡単にする
共有化のため表現する
解決の見通しがつく
解決の方法が具体的になる
課題を解決する
■「みえる」ために
・ICTや小黒板等の活用を工夫する。板書を工夫する。
・授業のモデルを基に,授業改善を図る。
■「わかる」ために
・学習課題や解決方法を簡単にする方法を明確にする。
・学習課題や解決方法を簡単にしたり,分かりやすくしたりするための話し
合い活動を設定する。
■「できる」ために
・話し合い活動の方法を明確にする。
・適応問題等を活用し,基礎的・基本的な知識・技能の定着を図る。
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検証について
検証の指標
算数科において単元末テスト知識理解分野において,全国平
均を上回る児童の割合
標準学力検査CRTにおいて,全国平均を上回る児童の割合
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達成目標
検証時期
85%
各学期末
70%
2月
ユニバーサルデザインの授業を進めるために
算数科授業のユニバーサルデザイン化のポイント
≪焦点化≫ 学習課題や問題の解き方をシンプルにする。
≪視覚化≫ 見てすぐ分かるようにビジュアル化する。
≪共有化≫ 自分や友達の考えを出し合ってシェアする。
算数科授業のユニバーサルデザイン化を支える取組
・教室掲示の工夫 ・指示の仕方の工夫 ・教室内の整理整頓 ・ノート指導の徹底
・発表や話し合いの仕方の指導 等
「ユニバーサルデザインの授業づくり(八重東小学校)
」参照
【八重東型ユニバーサルデザイン化に向けた算数科授業モデル例】
み
え
る
わ
か
る
① 課題把握
ペアトーク
↓
全体
考えを出し合ううちに,課題や
解決方法を焦点化する。
② 課題解決
グループで(3~4人)
↓
自力解決
③ 説明
で
き
る
ICT等を用いて視覚化する。
考え方を焦点化するなどし,解
決方法を共有化する。
ICT等を用いてノートに書い
たものを視覚化する。
全体
④ 定着へ
さまざまな考え方を紹介しあ
い,共有化する。
適応問題を解く
参考文献
○小貫 悟・桂 聖『授業のユニバーサルデザイン』東洋館出版社
○伊藤 幹哲『算数授業のユニバーサルデザイン』東洋館出版社
○授業のユニバーサルデザイン研究所『授業のユニバーサルデザイン Vol3,Vol6』東洋館出版社
○亀岡 正睦『授業と学習のユニバーサルデザイン』明治図書
○『総合教育技術9月号 2014』小学館