平成27年度の研究の方向 県小算研テーマ 数学的な思考力・表現力を高める指導のあり方 岐阜県小中学校教育研究会 小学校算数科研究部会 1 平成27年度県小算研 研究テーマ 平成26年度の取組の成果と課題を受け, 平成 [平均正答率] 28年度の全国算数・数学教育研究(岐阜)大会ま A(知識) では継続研究でありたい。そのために,平成27 年度のテーマをこれまでと同様にして,次のよう 小6 B(活用) 岐阜 全国 岐阜 全国 76.9 78.1 56.9 58.2 に設定したい。 A(知識)とB(活用)のどちらも全国の平均正答率 数学的な思考力・表現力を高める指導のあり方 を下回っている。よって,県小算研として何らか の歩みは,平成26年度の取組同様にして,急務 2 研究テーマと重点について である。さらに,岐阜県の策定した「第2次岐阜 (1)研究テーマについて 県教育ビジョン」第5章の重点政策の「学力向上 小学校算数科研究部会における「数学的な思考 力・表現力」の捉えは,これまでと同様にして, を核とした小・中学校教育の改善」の現状と課題 の一文に次のような記載がある。 拠を明らかにし,筋道を立てて考えたことを 小学校の算数では、 「活用する力を見る問題」 の平均正答率が全国の平均正答率との比較に おいて低下傾向にあることも課題として明ら かになってきました。自ら学ぼうとする意欲を 高め、基礎的・基本的な知識・技能とそれらを 活用する力をバランスよく身に付けさせる教 科指導の充実が一層求められます。 言葉や数,式,図,表,グラフなどの方法を 上記記載事項から今求められているのは, 次の 以下のようにする。 ・論理的に考えを進めるために,言葉や数, 式, 図,表,グラフなどの方法を用いて表現し, 根拠を明らかにし, 筋道を立てて考えること ・互いのコミュニケーションを図るために,根 用いて表現すること ・言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の 関連を理解すること これらのことを高めることが,小学校算数科の 教科指導の中でめざすことである。この数学的な 思考力・表現力が高まることで,子どもとともに 3つのことであると捉えることとする。 ・自ら学ぼうとする意欲を高めること ・基礎的・基本的な知識・技能を身に付けるこ と ・基礎的・基本的な知識・技能を活用する力を 身に付けること 教師自身が算数のよさを実感し, 平成28年度開 これら3つのことをバランスよく身に付けさ 催の日数教岐阜大会研究主題 「学ぶ充実感のある せる算数教育の充実は, これまで小学校算数科研 算数・数学教育」につながっていくと考える。 究部会が取り組んできたことと何ら変わりない。 よって,平成27年度県小算研の研究テーマを 数学的な思考力・表現力を高める指導のあり方 とする。 (2)重点について 県小算研の研究テーマ「数学的な思考力・表現 力を高める指導の在り方」を受け,今求められて また, 平成26年度4月に実施された平成26 いることや平成26年度の各調査部や各郡市の 年度全国学力・学習状況調査の結果についての結 研究の成果や課題から, 次の2つの研究の重点を 果は,次のようであった。 設定した。 【重点1】 指導内容に基づいた単元指導計画から する」ことを教師が明確にすることと,そのこと 単位時間のねらい・単位時間に位置付け から子ども自身が考えを深めたりすることが, る言語活動を明確にし, 指導を工夫する 「数学的な思考力・表現力」を高めることとなる。 よって,単位時間における子どもの「考え,表現 【重点2】基礎的・基本的な知識及び技能を確実 に身に付ける指導と評価を工夫する する」ことを具体的な子どもの姿で描きたい。そ して, その単位時間ごとの具体的な子どもの姿に 迫るため手立てが,研究実践となる。 重点1については,平成26年度までの取組 重点2については,平成26年度と同様に, 「基 で,指導内容に基づいた指導計画の作成が,各 礎的・基本的な知識及び技能」を確実に身に付け 郡市の報告から成果として出てきている。よっ ることを実践していく。「知識及び技能」とは, て,指導計画作成については,これまで通り単 数量や図形にかかわる意味や概念,原理や法則が 元や領域の系統性を意識し,指導者のみならず 含まれるし,数量や図形を式や記号,用語などを 子どもたちにも自覚できるようにしていきたい。 用いて簡潔に表現する方法や,いろいろな用具を ただ,単位時間のねらいからその単位時間に 用いて量を測定したり図形を作図したりする方 位置付ける言語活動に関しては,明確にできて 法なども含まれる。また,「身に付ける」とは, いないという課題もあったので,平成27年度 数量や図形の意味をとらえ, 納得できるようにす は重点1の中でも,特に「位置付ける言語活動 ることであり, 生活や学習の場面で目的に応じて の明確」にしていく。算数科における言語活動 適切に使っていけるようにすることである。 の例としては,学習指導要領の内容にあげられ 特に,本年度からは,昨年度の「指導」にとど ている算数的活動の中での「説明する活動」と述 まらず, 「指導と評価」としたい。この「評価」 べられている活動を参考としたい。 に関しては,各郡市からの課題にも挙がっている 「例えば,568+437 の場合,第2学年で指導し ことでもあるし,指導したことを確実に身に付け た 68+37 のような2位数の加法における計算の させるために, 適切な指導とそれに即した評価が 仕方を基に,百の位,十の位,一の位に分けてと 重要になってくると考えたからである。また,指 らえ,位ごとに計算する。その際,繰り上がりの 導と評価の一体化は,以前からいわれていること 1の処理の仕方を考えると,十の位は「3 と 6 と であるが,指導したことと評価することには,必 繰り上がりの1を合わせて 10」,百の位は「4 ずつながりが必要であり,その評価したことが次 と 5 と繰り上がりの1を合わせて 10」となり, の指導につながっていくものでありたい。 これら 答えが求まる。これを,次のように図で表現し, の研究・実践をすることが,「数学的な思考力・ 言葉による説明も加えて表現できるようにする。 表現力」を支えることになり, 「数学的な思考力・ 表現力」を高めることにつながる。 さらに,平成28年度に行われる第98回全国 算数・数学教育研究(岐阜)大会に向けて, 「数学的 な思考力・表現力を高める指導の在り方」を追究 していく研究実践を全国から岐阜県に来られた 『小学校学習指導要領解説 算数編平成20年 6月 文部科学省』より」 参観者に発信することとなる。 よって,算数の内容に軸足を置きながら,算数 を学ぶ充実感を味わうことができる算数教育を 算数の言語活動とは,算数の授業においての めざしていきたい。 そのためにもより具体的に各 子どもが「考え,表現する」ことと捉えたい。そ 調査部及び各郡市が計画的に研究・実践を積み重 う捉えたとき,ねらいに迫るために「考え,表現 ねていきたい。
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