週間天気予報解説資料 2016 年 3 月 5 日 10 時 00 分 発表 気象庁予報部 予報期間 3 月 6 日から 3 月 12 日まで 1.アンサンブル資料 ●アンサンブル(ENS): 期間のはじめは、明瞭なリッジが日本の東へ進み、寒冷渦がバイカル湖の東からオホーツク海へ進む。その 後、期間の終わりにかけて長波のトラフがゆっくりと日本付近に進んでくる。6~7日にかけて低気圧がやや発達しながら沿海州 からオホーツク海へ進み、低気圧や前線、および高気圧後面の暖湿気の影響を受けて、全国的に雨となる。その後一旦回復するが、 前線が本州の南へのびだし、前線上には低気圧が発生して日本付近を通過するため、9~10日頃に再び雨または雪の降る所が多 くなる見込み。期間の後半は強い寒気が入るため、寒暖の差が大きくなる見込み。沖縄・奄美は、期間の前半は高気圧に覆われて 晴れる日があるが、気圧の谷や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多い。 ●500hPa基本場(週間予報支援図):実況は、日本付近がリッジで、正偏差に覆われる。予報期間は、日本のはるか東でリッジが強 まるが、中国東北区や華中付近がトラフとなる。北・東日本が正・負偏差の境界付近、西日本、沖縄・奄美は負偏差となる。 ●8日:寒冷渦がオホーツク海へ進み、発達した低気圧はカムチャツカ半島の西付近に進む。日本付近は緩やかに高気圧に覆われる が、華中では前線が顕在化する。北日本でははじめ寒気の影響が残り、曇りや雪の降る所がある。西日本では西から雲が広がり やすくなるが、その他の地方では晴れるところが多い。 ●9~11日: 沿海州~中国東北区のトラフが、12日にかけて日本付近へ進んでくる。前線が東シナ海北部から西・東日本の南 岸へのびだし、前線上に低気圧が発生し、西・東日本の南岸を通過して、10日には日本の東へ、11日にはカムチャツカ半島 付近へ進む。日本付近は低気圧の通過した西日本から冬型の気圧配置となる。9日は北日本では晴れる所があるが、その他の地 方は雲が広がりやすく、西日本を中心に雨の降る所がある。10日は全般に雲が広がりやすく、東日本と北日本の日本海側を中 心に雨または雪となる。11日は、日本海側を中心に雪や雨の降る所がある。太平洋側では晴れる所もあるが、寒気の影響で雲 が広がりやすい。 ●12日:日本付近は谷場となる。地上では冬型の気圧配置が緩むが、寒気の影響が強く、北・東日本の日本海側では雪や雨となる 見込み。その他の地域も雲が多い。 ●沖縄・奄美:8日は高気圧に覆われて晴れる所が多いが、その他の日は気圧の谷や湿った気流の影響で雲が広がりやすく、雨の降 る日がある。 ・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:9日に東海から関東付近に低気圧を予想するメンバーはおそよ3分の1、四国沖から九州の西 付近に予想するメンバーもおよそ3分の1ある。また、北海道や東北付近で低気圧が発達し、そこから関東付近にシアーがのび る予想をしているメンバーがいくつかある。 ・ スプレッド:昨日資料と比べて、同じかやや拡大。7日目は拡大。特定高度線は、3日目以降で各高度線ともにバラつきが見ら れる。9日の5400m線は昨日資料よりバラつきが大きい。 ・ 降水頻度分布:昨日資料と比べて、高降水頻度域は、7,9日の西日本で拡大、10日東日本で縮小した。 ・ 予想T850時系列:全国的に期間の前半は正偏差、後半は負偏差となる。9日はメンバー間の差が大きい。 2.防災事項等 ・ 期間の前半は、気温が平年よりかなり高くなるため、積雪の多い所では融雪やなだれに注意。 3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照) ・ 低気圧がサハリン付近からオホーツク海に北東進し、寒冷前線が西日本から北日本を通過する。別の低気圧が日本の南を東進し、 日本の東の高気圧との間から湿った空気が東日本から西日本の太平洋側に流れ込む。また、朝鮮半島付近の高気圧が日本海に進み、 その縁辺を回る下層の湿りが南西諸島付近に流れ込む。 ・ 日本付近は前線や湿った空気の影響で雲が広がりやすく、西日本から北日本では雨の降る所がある。西日本を中心に日本海に進 む高気圧に覆われて次第に晴れてくるところもある。 4.全般週間天気予報(案) ・ 北・東日本日本海側は、気圧の谷や寒気の影響で曇りや雪または雨の日が多い。 ・ 北・東日本太平洋側と西日本は、期間の前半は高気圧に覆われて晴れる日があるが、気圧の谷や湿った気流の影響で雲が広がり やすく、雨や雪の降る日もある。 ・ 沖縄・奄美は、期間のはじめは高気圧に覆われて晴れる日があるが、気圧の谷や湿った気流の影響で曇りや雨の降る日が多い。 ・ 最高気温・最低気温とも、全国的に期間の前半平年より高い日が多く、平年よりかなり高い日がある。期間の後半は、平年並か 平年より低い。 この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの 形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。
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