週間天気予報解説資料

週間天気予報解説資料
2016 年 3 月 4 日 10 時 00 分 発表
気象庁予報部
予報期間
3 月 5 日から 3 月 11 日まで
1.アンサンブル資料
●アンサンブル(ENS): 期間の前半は、明瞭なリッジが日本の東へ進み、寒冷渦がバイカル湖の東からオホーツク海へ進む。地上高
気圧は日本の東へ移動し、低気圧がやや発達しながら沿海州からオホーツク海へ進む。低気圧や前線、および高気圧後面の暖湿気
の影響を受けて、全国的に雨の降る日がある。その後一旦回復するが、期間の後半は長波のトラフが日本付近へ進んでくる。前線
が本州の南へのびだし、前線上には低気圧が発生して日本付近を通過するため、再び雨または雪の降る所が多くなる見込み。沖縄・
奄美は、期間の中頃は高気圧に覆われて晴れる日があるが、気圧の谷や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多い。
●500hPa基本場(週間予報支援図):実況は、日本付近がリッジで、正偏差に覆われる。予報期間は、日本のはるか東でリッジが強
まるが、中国東北区や華中付近がトラフとなる。北日本と沖縄・奄美が正・負偏差の境界付近となるが、東・西日本は正偏差が続
く。
●7~8日:寒冷渦がアムール川中流からオホーツク海へ進む。これをまわる5400m付近のトラフは8日前半に北日本を通過する。
地上低気圧は発達しながらオホーツク海を北東へ進み、7日は気圧の谷も東へ抜けて、高気圧が西日本方面に張り出してくる。
8日は北日本を除いて高気圧に覆われるが、華中では前線が顕在化する。7日は低気圧や前線および寒気の影響を受けて、東・
北日本では雨または雪の降る所が多いが、西日本では次第に晴れる所が多くなる。8日は北日本では寒気の影響が残り、曇りや
雪の降る所がある。西日本では西から雲が広がりやすくなるが、東日本では概ね晴れる。
●9~11日: 沿海州~中国東北区のトラフが、11日にかけて日本付近へ進んでくる。前線が東シナ海北部から西・東日本の南
岸へのびだし、前線上に低気圧が発生し、西・東日本の南岸を通過して、10日には日本の東へ、11日にはカムチャッカの東
へ進む。日本付近は低気圧の通過した西日本から冬型の気圧配置となる。9日は北日本では晴れる所があるが、その他の地方は
雲が広がりやすく、西日本を中心に雨の降る所がある。10日は全般に雲が広がりやすく、東日本と北日本の日本海側を中心に
雨または雪となる。11日も全般に雲が広がりやすく、北・東日本の日本海側では雪の降る所がある。
●沖縄・奄美:7~8日頃は高気圧に覆われて晴れる所が多いが、その他の日は気圧の谷や湿った気流の影響で雲が広がりやすく、
雨の降る日がある。
・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:9日に予想される低気圧の位置は、西日本付近が全体の約4割、東日本付近が全体の約3割、
北日本付近が全体の約2割ある(重複あり)。10日は すべてのメンバーが日本の東~千島近海に低気圧を予想する。
・ スプレッド:昨日資料と比べて、4、5日目は下降したが、他は同じか拡大した。特定高度線は、期間の中頃までは概ね揃って
いるが、期間の終わりは日本付近へ進むトラフの位相にバラつきがでる。
・ 降水頻度分布:昨日資料と比べて、高降水頻度域は10日は西日本で縮小した。その他大きな違いはない。
・ 予想T850時系列:北日本は、期間の前半は正偏差で、後半は平年並~負偏差となる。東日本、西日本および沖縄・奄美は、期間
の中頃にかけては正偏差、期間の終わりは負偏差に転じる。
2.防災事項等
・ 期間の中頃にかけて、気温が平年よりかなり高くなるため、積雪の多い所では融雪やなだれに注意。
・ 期間のはじめ(6日頃)は、サハリン付近で発達する低気圧の影響を受けて、北日本では荒れた天気となるおそれがある。
3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照)
・ 500hPaでは、日本付近は、南北に連なる優勢なリッジが東へ抜けてアムール川中流域の寒冷渦から南にのびる西谷となる。この
谷の前面を低気圧が沿海州を北東進。低気圧からのびる寒冷前線が日本付近に接近する。また、高気圧縁辺から低気圧に向かって
下層暖気が流入し、850hPaの0℃線は、沿海州の低気圧とともにサハリンまで北上する。
・ 天気は、北・東日本の太平洋側などでは午前中を中心に晴れる所もあるが、低気圧や前線、高気圧縁辺から流入する下層暖湿気の
流入の影響で広い範囲で雲が広がり雨となる。多雪地では融雪やなだれのおそれに留意。
4.全般週間天気予報(案)
・ 北日本は、期間の中頃にかけて高気圧に覆われて晴れる日があるが、気圧の谷や寒気の影響で曇りや雨または雪の日が多い。
・ 東日本と西日本は、期間の前半は高気圧に覆われて晴れる日があるが、気圧の谷や湿った気流の影響で雲が広がりやすく、雨の
降る日もある。
・ 沖縄・奄美は、期間の中頃は高気圧に覆われて晴れる日があるが、気圧の谷や湿った気流の影響で曇りや雨の降る日が多い。
・ 最高気温・最低気温とも、全国的に期間の中頃にかけて平年より高い日が多く、平年よりかなり高い日がある。期間の終わりは、
平年並か平年より低い。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの
形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。